声を出して 15
「誰が結婚をするって言ったんだよ。」
「お兄ちゃんが、私達の前で言ったじゃない<ハニと結婚がしたい>って。」
開いた口がふさがらないと言う言葉は、スンジョ君とは無縁の事だと思っていたけど・・・・面白い・・・口に出して言ったりは出来ないけど、口をパクパクさせて目までパチパチとしている。
「確かに言ったけど、ハニが大学を出て親父の会社が軌道に乗って・・・オレが医師として一人前になるまでは結婚をするつもりは・・・」
「ない・・・と言いたいのでしょ?そんな事をしていたら時期を逃しちゃうし、スンジョがそのままでいてハニちゃんが他の人を好きになったら・・・・・」
「なったらなった時だろ?オレへの気持ちが冷めた・・・って言う事だ。それに同じ家に住んでいるのだから、何も結婚式をしなくても変わらないだろう。」
そんな事を言ってもね。
私だって、女の子だから花嫁さんになりたいよ。
レースをふんだんに使った真っ白なドレスを着て、パパとバージンロードを歩いてスンジョ君の元に行く。
「スンジョ、結婚式をしなくても・・・と言うけど、ギドンの気持ちも考えて見ろ。確かにママが勝手に式場を押さえてしまったのは、いい事だとは言えないけど、同じ家にいるのだからこそ、けじめをつけて結婚をした方がいいと思うよ。招待する人も親戚は勿論の事、2人の友人と・・・ギドンの仕事関係にワシの取引先の社長数人には披露しないと。」
おじさんが言い出したらスンジョ君もそれでもって・・反対をする事はしない。
「と、言う事で私は明日から、色々と忙しくなるわ。ハニちゃんもブライダルエステの予約やドレス選びに行かないとね。」
グミは自分の息子と結婚する事になったハニを、やっと嫁として公に連れて歩けるようになったことが嬉しくて仕方がなかった。
「なんだかんだ言っても、あのお兄ちゃんが交際したいと言う言葉を通り越して、結婚がしたいと言ったくらいだから、たまりにたまった欲求を抑えきれなくなって、ハニちゃんのお腹が大きくなったりしたらドレスどころじゃなくなるじゃない。娘のウェディングドレス姿を見たいのは、ギドンさんばかりじゃないわ。私だって見たいのだから。」
グミは、食べ終わった食器を食洗機に入れながら、明日からの事を考えて笑いが止まらなかった。