声を出して 16
「おばさん、最近忙しかったのは、式場を探していたからですか?」
夕食の食器を片づけながら、ハニはリビングにいるスンジョに聞こえないようにグミに聞いた。
「そうよぉ~色々スンジョの事情を考えたら、一人前の医師になるまでと言っていたら、30歳になっちゃうじゃない。その間にもしも、もしもよ・・・・ハニちゃんに赤ちゃんが出来たりしたら・・・それに、同居してから4年でしょ?ご近所の方からも、いつお嫁さんに向えるのって聞かれるし・・あまり先延ばしすると、スンジョのことだから面倒だからこのままでって言いかねないし。」
たしかにスンジョ君ならそう言いかねない。
おばさんがこの間、間に合わないと言ったのは、この事だったのかもしれない。
「ハニちゃん、急がせ過ぎかしら?」
「そんな事・・・・おばさんが、お料理教室に通って習うことに間に合わないと言っていたのは、結婚式が来週の水曜日だからですか?」
「そう・・・ハニちゃんに先に話したら、スンジョに気が付かれちゃうから。」
料理も今日のように、おばさんに傍に付いていてもらいながら作ればスンジョ君以外の人には気が付かれなかった。
「おばさんが決めてはいけないとは思うけど、スンジョはあんな性格だし、ハニちゃんも結婚までに何の準備をしたらいいのか判らないでしょ?」
「はい・・・ママがいれば、どんな準備をしたらいいのか判るけど、パパは男だし聞けない事もあるから、おばさんに教えて頂かないと何も出来ません。」
片付けが終わると、グミはダイニングテーブルにハニと向かい合って、顔を近づける様に身を乗り出して、二階に上がっているスンジョに聞かれないように小さめの声で話した。
「明日は日曜日だし、スンジョとデートがてらドレスを選んで、指輪も決めて来たら?お店はこのメモに書いてある所は、結婚を考えている人たちに人気のある良心的なお店で心配ないわ・・・・それから・・・」
グミとハニがヒソヒソと話しているのを、スンジョは二階の踊り場から見ていた。
ふたりが何に付いて話しているのか気が付いてはいたが、妙に急かすような結婚式の日取りに付いて、一応怒って見せたがグミの考えも判らないでもないと思った。