声を出して 17
ふぅ~ ふぅ~ ふぅ~ はぁぁぁ~
「緊張するぅ~」
ハニはスンジョの部屋の前で、何度も深呼吸をして気持ちを落ち付かせていた。
ノックをしようと思って腕を上げても、直ぐにだらりと下に降ろしてしまう。
「ゴホン!部屋に入りたいんだけど・・・・」
「ごめんなさ・・・・??」
頭を下げた時にバランスを崩して、トレイに乗っているマグカップがスルリと動いた。
「あっぶないなぁ~オレは熱いコーヒーが好きなんだけど、そこに10分もいるから冷めているじゃないか。」
「すっ直ぐに淹れ直して来る。」
「いいよ。」
スンジョは、マグカップをトレイから取ってベランダの方に歩いて行った。
「明日の日曜日、何か用事がある?」
「あると言えばあるけど、無いと言えば無い。」
「どっち?」
「予約しておいた本が入ったと連絡があったから、出掛ける用はあるけどそれ以外は家で本を読みたい。」
そっかぁ・・・・・ そうだよね。
ドレスは私が着るから一人で行ってもいいけど、指輪はサイズを合せないといけないし・・・ 何て言えばいいだろう。
スンジョ君はきっと・・・・
「何か用事があるのか?」
「うん・・・・」
「本屋に行くついでで良ければ、付き合ってやるよ。」
「ほ・・本当?」
「結婚指輪を見に行くのだろ?」
判ってくれたんだ。
そうだよね、おばさんが結婚式の日取りの事を言った時に怒っていても、スンジョ君は小さな子供みたいに、何があっても結婚式の会場には行かないと言うことはしないよね。
「早く寝ろよ。指がむくんだら、結婚式当日に指輪が大きくて抜け落ちて、参列した人たちに大笑いされる羽目になる。」
「う・・・うん・・・」
“ごちそうさん”と言って、スンジョはハニの手にマグカップを渡して、部屋の中に入って行った。