声を出して 18
スキップをしながら階段を下りて行くと、グミがふたりの様子を気にしていたのか、ハニの方にスススッと寄って来た。
「どうだった?」
「明日、指輪を見に一緒に行ってくれるって。本屋さんにも用事があるみたいだから、そのついでに・・・・」
「ついででも何でもいいわ。あの子は、そういった当たり前の事には全く無関心だから。」
無関心と言うよりも、スンジョ君は自分にとって必要が無い物には興味がないだけ・・・・
同じかな?無関心と。
「いい?指輪は、誰から見ても結婚指輪だと判らせるためにも必要なの。特にスンジョは、アクセサリーは腕時計で十分だと言う子だから、古臭い感じの物かプルタブみたいなのを選ぶかもしれないわ。」
「プルタブ・・・・いくらそんな・・・」
「言い過ぎかもしれないけど、輪ゴムでも丸い物ならいいと言いかねないわ。スンジョが何か言ったらこう言うのよ『スンジョ君だけを愛していると言う証ではめるから、スンジョ君も私だけを愛していると言う証に』って言ったら・・・ダメね。あの子だったら、物と人と比べるのがおかしいと言いそうね。」
確かにそうかもしれない。
人の価値は物では測れないと言うことは、私だってそれくらい想像がつきそうな言葉。
「ドレスもハニちゃんが気に入ったものを選ぶのよ。スンジョが何か言っても気にしないの。結婚式の主役は、花嫁さんなのだから。もし、それでもスンジョが駄々っ子みたいに何か言っても引かないのよ。」
ファイティングポーズをして気合を入れて、ハニを励ましているグミは、やっと念願が叶うことに、まさかスンジョとハニがこの結婚式間近で、言い争うとは思ってもみなかった。
明日、指輪とドレスを見に行くと言っても、事前にどんな物を選んだらいいのか調べておかないと、待たせてしまってはスンジョ君がイライラしてしまう。
「女の買い物に付き合うのなんて、面倒。好きな物を適当に選んでくれ。オレはそのカフェで本を読んでいるから・・・・・なんて言って一緒に選んでくれないわよね。今までだってデートらしいデートもしていないのだから、明日の日曜日が独身最後のデート・・・・・独身最後・・・・・キャー!!!!!」
ハニが叫ぶと、隣の部屋にいるウンジョがうるさいと言って、壁を叩いているのが聞こえた。
ハニは舌をペロッと出して、口を覆った。
独身最後のデートと言うより最初で最後の恋人としてのデート。
出来る限りスンジョにイライラとさせないように、指輪とドレスを選ぼうとハニは事前にネットで下調べをする事にした。