黄色いぼうし
2016.04.06 02:11
黄色いぼうしがまぶしいのです。
すれ違う大人ごとに
「おはようございます。」
大きなランドセルに
沈丁花の甘酸っぱい香りまで背負って
横断歩道で空まで伸びたまっすぐな右手。
黄色いぼうしがまぶしいのです。
背中が反るほど歓びに胸を張り
まわりの空気までリンリンと揺らして
走ってゆく。
誇らしいりんごのほっぺ。
黄色いぼうしがまぶしいのです。
世の中は知らないことで満ちている。
それが喜び。
世の中は知りたいことであふれてる。
それが希望。
出会うものすべてが夏のサイダーの
しゅわしゅわみたいに澄みきっている。
その先に何が見える?
世界の希望を丸ごと詰め込んだ
黄色いぼうしをかぶって
あたしたち、オトナになった。
あたしの中の黄色いぼうし。
今でもまぶしく輝いていますか。