声を出して 20
デート
デート
初めてのデート
初めてのデートを、初めて両想いになった人とデート
どのカップルを見ても、スンジョ君と私が一番幸せに見えるし、どの人の彼氏を見てもスンジョ君が一番素敵
でも・・・・・・
でも、どうして?
「どうしてよぉ~少し遅れるって・・・・30分過ぎてるじゃない!!」
思っていた事を声に出して言うことはよくある事だけど、今のは声に出して言わないとすごく頭に来て気持ちが落ち着かなかった。
ちょっとだけ恥かしかったけど、それよりもほんの少しだけスッキリとした。
プップゥ~ クラクションの音で飛び上がるほどびっくりしたハニは、もしかしてコレが人生初めてのデートにすっぽかされた自分が、人生初めてナンパされたのだと思った。
「ナンパには掛りませんから。私には世界一素敵な婚約者がいるのですから。」
振り返れば言えないと思い、ハニは背中を向けたままナンパをして来た人に気がない振りをした。
「そう言ってくれると嬉しいけど・・・・」
「?」
飛び上がるほどにクラクションの音でビックリしたのに、それよりももっとその声でビックリした。
それは、ハニが父の次に大好きなスンジョの声だったから。
いや違う、今は父よりも大好きになったスンジョ。
父は大好きと言うのとは違う大切な人。
「遅い・・・その車はどうしたの?」
「会社の車を借りて来た。一応会社の車を借りるから、届けを出してガソリンを入れて来たら遅くなった。」
免許は持っていても、学生だからと言う理由でスチャンから言われた時に、自分専用の車を持つことを断った。
今になって買ってもらえば良かったとも思わないのは、車でどこかに行く事もないから。
「もしかして、運転免許試験も満点?」
「当然だ。そんなに難しくないから。」
「じゃぁ・・・・私も免許を取ろうかな?」
「止めとけ。」
「どうして?」
「北はどっちだ?」
「こっち・・・違った、あっち・・・」
「そっちは西だ。東はどっちだ?」
「ひ・・・東は・・・・・横に曲がらないでよ。」
「ハニが判るように、東の方に曲がったんだ。運転している最中に、東西南北が判らず混乱をするのなら、助手席にいた方が楽だろう。」
「確かに・・・・」
スンジョに言われなくても判ってはいたし、助手席にいた方が楽ではあるのも事実。
でも、ミナもジュリもみんな運転免許を持っていないから、少しだけ軽い気持ちで言ってみただけの事だった。
軽い気持ちで言った事でも、さすがにあっさりとスンジョに言われてしまうと運転に不向きな性格だと自覚していても凹んでしまう。