清く、正しく、美しく…春日野八千代の想い『少女仮面』コラム②
みなさんこんにちは!こんばんは!
研修科1年の森寧々です。
只今『少女仮面』の稽古真っ只中!!
段々と『少女仮面』の世界が出来てきています。
真剣な面持ちです。
(ボーイ達のとあるワンシーン)
何かスポーツでもしているのでしょうか。
さてさて、今回のコラム内容はズバリ…
宝塚歌劇団!!!
今回の『少女仮面』の重要なキーワード、
それが宝塚歌劇団!
皆様はご覧になったことがありますでしょうか?
私は兵庫県出身なので、宝塚とは縁があり、何度か観たことがあります。
華やかな舞台で、男役の方はもうもうそりゃあかっこいいんです。娘役の方はもうただただ綺麗!
そしてハイレベルな歌とダンスは大人数なのに綺麗に揃い、とても迫力があります💃
今日はそんな宝塚の歴史や、
劇中に出てくる「春日野八千代」さんについて、お話しさせていただきます。
私と一緒に宝塚の世界へ飛び込みましょう😀!
①宝塚歌劇団って??
宝塚歌劇団はなんとなく知っているけれど、詳しくは知らない、という方もいらっしゃるのでは無いでしょうか?
大正3年に初の公演を行い、今日まで絶えることなく華やかな世界を創り続けてきた、未婚の女性だけで構成された歌劇団。
現在は花(はな)月(つき)・雪(ゆき)・星(ほし)・宙(そら)の5組と、"専科"に分けられています。
専科とは、
特定の組に所属しない一芸に秀でた生徒の集団です。
元々は「舞踊専科」「演劇専科」「声楽専科」「ダンス専科」「映画専科」などに分かれていましたが、近年はそのような振り分けはされていないようです。
この「ダンス専科」は後ほどまた出てきますので、頭の片隅にお入れいただけたら幸いです😀
宝塚歌劇団に入るには、まず宝塚音楽学校の入学試験に合格しなければなりません。
そこで2年間、みっちりとレッスンを受け、卒業認定されたのちに入団式を経て、正式に宝塚歌劇団の研究科1年生(研1生)となります。
また、本人の技量や容姿などの理由で歌劇団から入団を認められないこともあります。厳しい世界ですね、、。
(宝塚音楽学校の生徒) 出典©︎宝塚歌劇団
公演の中心は「本公演」と呼ばれる大劇場作品。現在の公演回数は年9回となっており、各組が年1〜2回の本公演を担当します。
その合間に、バウホール公演・全国ツアーなど他の公演を行います。バウホールとは、大劇場より規模が小さい、宝塚市にある劇場のことです。
これら本公演の間の公演の場合は、たいてい各組ともトップスターが主演するチームと、2番手以下が主演するチームの二手に分かれて公演を行います。
収容数約2000人以上の大規模な劇場で公演し、たくさんのライトが当てられているので遠目からでも演者の表情が分かるように、
大き目の付けまつげ
厚めのドーラン
強いアイライン
などほとんどの演者が華やかなメイクを施しています。
もし文学座のアトリエで宝塚メイクをしたら、お客様はびっくりしてしまいそうですよね(笑)
また、衣装へのこだわりも凄いものです。
「客席からは絶対見えないよ!」というところまで、物凄く精巧に作られ、採寸もミリ単位までこだわって制作するそうです。
男役の衣装の中で人気なのは、
燕尾服!
黒と白のみの、誤魔化しのきかない衣装をどれだけ男役として美しく着こなせるか。
それが男役さんたちにとっても大きな目標のようです。
(燕尾服を着るタカラジェンヌ)
出典©︎宝塚歌劇団
②男役と娘役はどのように決まるのか?
ここで、挿絵として私の描いた絵を入れますが、私は本当に絵を描くのが苦手で、小学生の絵みたい、と言われるくらいなので、
どうかどうか、温かい目でご覧ください。
さて!!!
男役と娘役、現在は、基本的には自分の希望で選択をするようですが、身長を始めとしたビジュアル面を考えながら、先輩などにそうだんしたりしつつ決めるそうです。
現在だと、
167cmから168cm
ぐらいが「男役か、娘役か」の境目なのだとか。それ以上高いとほぼ男役、それより低いとほとんど娘役となるそうです。
以前は宝塚音楽学校の募集要項に
身長157cm以上
と明記されていましたが、十数年前からこの記載はなくなりました。
つまり受験時には特に身長制限は設けられていません。
しかし、やはり157cm以上ないと合格は難しいようで、現在では、娘役さんでも160cmくらいが普通です。
155cmくらいで合格している方も時折おられますが、歌が飛び切りお上手だとかの身長を補っての余りある何かを持っていないと合格は難しいそうです。
そして、このように「男役」「娘役」が決まっても、実は
「男役」を経験して「娘役」へ転向する人は多数いらっしゃるのだとか。
ただ、逆に、男役になるためには
身につけるべきことや習うことが多く、途中からの転向ではそれらをクリアし男役を演じきることがなかなか難しいというので、
「娘役」から「男役」への転向はほぼないそうです。
しかし!!!!!
その、「女役」から「男役」に転向したタカラジェンヌがいらっしゃったのです…!
それがこの『少女仮面』に登場する
春日野八千代
という方なのでした。
③春日野八千代ってだあれ?
出典 ©︎Nagomi-web.com
こちらが実際の春日野八千代さんです。
すっごく格好良いですよね…!
春日野八千代さんの絵も、私が描こうかなと思ったのですが、辞めました。
まずざっっっくりとプロフィールを!
春日野八千代(かすがのやちよ)
本名、石井吉子
1915年(大正4年)11月12日生まれ
出身 兵庫県神戸市
入団以来
83年
もの長きに渡り、亡くなるまで、宝塚歌劇団の重鎮として宝塚歌劇団の現役生徒(団員)であり続け、宝塚歌劇団の歴史上で最年長の生徒でした。
「宝塚の至宝」
といわれた伝説的なタカラジェンヌ、男役。
月組→ダンス専科(先程出てきましたね😀!)→月組→星組→雪組→花組→雪組→雪組副組長→雪組組長→歌劇団理事
という物凄い経歴をお持ちです。
4組体制(月、雪、星、花)時代において、歌劇団史上珍しい全組在籍経験者でもあります。
(各組のロゴ) 出典 ©︎宝塚歌劇団
端整な美貌から
「白薔薇のプリンス」
「永遠の二枚目」
の異名を取るなど、人気男役スターとして一世を風靡した伝説の二枚目男役です。
そしてなんと春日野さん、
男役デビュー後1年足らずで男役スターになったそうです。
春日野八千代さんは、戦中・戦後の宝塚生徒数の激減期に雪組副組長・組長の職にあったこともあり、後輩の指導にも熱心であり、宝塚歌劇だけでなく戦後の芸能界に対する、その功績は比肩するものがないほど大きいと言われています。
春日野さん自身は、晩年まで
「宝塚歌劇団は時代に呼応した不死鳥であり続けてほしい」
と願い、
「品格と舞台の上での行儀の良さと謙虚さ、この3つのことだけは、宝塚の生徒たちにはどんなことがあっても守り続けて行ってほしい」
と仰っていたそうです。
その強い想いによって、今この瞬間までずっと宝塚歌劇団が続いてきたのだと思います。
そしてこの春日野さんの想いは、『少女仮面』劇中の春日野八千代役にもリンクしているところがあると感じます。
小石川桃子先輩、そして同期の中嶋真由佳の演じる春日野八千代はどのようになってゆくのか。私自身も2人の毎日の変わり様を見るのがとても楽しく、そして何よりたくさんのお客様に是非その目で見ていただきたいです。
そして春日野だけでなく、春日野を取り囲む少女貝、老婆、ボーイ達も奇妙で愉快で素敵な人物です。
是非是非、ご来場お待ちしております!
ここまで読んでいただき、
ありがとうございました☺️
観劇の参考にしていただけると幸いです。
文、絵・森寧々
稽古写真・池亀瑠真
参考文献
Wikipedia 『宝塚歌劇団』
『春日野八千代』元・宝塚総支配人が語る「タカラヅカ」の経営戦略/森下信雄 角川書店
すみれ子の宝塚百科事典
文学座附属演劇研究所研修科
2019年度第3回発表会『少女仮面』
は、
10月10日(木)~10月13日(日)
新モリヤビル一階
にて上演されます。
お電話 03-3351-7265(11時~18時/日祝除く)もしくはwebにてご予約ください!
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