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枇杷舎

【ふるほん紹介】いろいろの天使

2019.09.04 10:32

余分なもののなにひとつない、ただひたすらに詩である。

静かな装い、佇まい。

 この一冊には百篇の詩が収められている。

 そのうち、はじめの「芽」から八十七番目の「山小屋」までは、

 FM東海での放送分として書かれたものである。それに雑誌などに発表した詩が加わって、百篇。

 

 放送される詩は、耳だけによるもので、制約もあるが、

 これが却って目で読まれる場合とは異なった効果を齎すこともある。


 と、串田さんご本人があとがきでおっしゃっている。


 言葉を文字にして視覚を通じて読むことが前提の詩と

 言葉そのものを聴覚を通じて聞くことが前提である詩はおのずと異なってくるであろう。


 多くが聞くために書かれた詩だからだろうか。

 この詩集は、余分な音のない真夜中がよく似合う。


❖『いろいろの天使』 ¥2,000

 串田孫一/著

 彌生書房 1968年 初版

 状態:保護紙にすこし破れがありますが、中はとても良い状態です。