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黒稜山岳会

魚野川本流

2019.08.10 15:00

【日程】2019/08/11-13
【メンバー】L川村、友部、浅原
【レポート】
先月の3連休に魚野川本流を計画したが悪天のため佐渡に転進したが、今回、友部さんが加わり再チャレンジ。 

8/10(土)
22時東所沢駅集合。友部さんはここのところの猛暑のせいで風邪気味。川村さんは連日の猛暑&社畜状態でグロッキー気味。大丈夫か、このメンツ??
仮眠場所は湯沢ICを降りてすぐの某所。屋内は暑くて外の庇の下に銀マを敷き入山儀式。

8/11(日)
コンビニで朝食をとり切明温泉に向かう。車窓から見える鳥甲山がかっこよくていつか登りたい山のひとつ。川村さんはかつて2月に猛ラッセルで登攀したとのことでやっぱりレジェンドだ。

7:40雄川閣の駐車場に車を置かせてもらい、スタート。入渓地点の渋沢ダムまでは約3時間の距離だが、木陰でいい風がくるし時々小沢や清水があって気持ちがいい。足元にはタマゴタケやチタケなどの夏キノコもある。

10:18渋沢ダム。先行の若者5人Pあり。

10:40いよいよ入渓。対岸に渡るのにいきなりのスクラム渡渉。真ん中の私はつま先立ちの深さだった。そこを過ぎると広い川原が続き、夏の陽ざしが水面を輝かせていた。

11:16滝が千くらいあるという難渓の千沢出合。千沢の出合を過ぎると桂カマチのゴルジュ。膝程度の深さだった。ゴルジュが続くが右に左に岩をへつったり水に浸かったりで進む。

13:27高沢出合。

14:14大ゼン、大きな釜をもった滝だ。ここで竿を出したがボウズ。この滝は右のガレから取りつき滝上に出る。そろそろテンバを探しながら歩こう。

15時ごろ、右岸に広い川原と台地があったのでここを今晩の宿とする。タープを張り、薪を集め、対岸の清水で水を汲み、ビールを冷やし、米を研ぐ。テンバについてもやることはたくさんあるがなかなか楽しい時間だ。5人Pと2人Pが過ぎて行った。ダメもとで竿を出したら1尾釣れた。なかなかいい型だった。

8/12(月)
朝方、シュラフカバー+シーツの私は寒かったが、他の2人はしっかりシュラフでぬくぬくだったようだ。朝食に、昨日採ったキノコをソテーにして食べた。おいち。

7:04出発。すぐに現れるナマリ岩は、大岩の頭に木が生えていて魚野川のシンボリックなポイントだ。ここのテンバは砂地で気持ちがよさげだが増水時には危なそう。

先行の5人Pが深い釜を越えるのに時間を食っていた間、うちらはひと休み。どうやら右岸を越える際、落ちて胸を打ったらしい。大事には至らなかったようだ。確かに屹立した岩だが、うちらは残置の洗濯紐のようなのを使って巻き上がった。

さあ、いよいよ魚野川のハイライトが始まる。原生林に囲まれつぎつぎと現れる幅広の美しい滝群だ。まずは、カギトリセン。右岸の水流際のスラブを川村さんが空身で上がり、ロープをFIXした。後続はゴボウで上がった。

次は、魚野川一といわれる美しいイワスゴゼン。岩菅山にちなんでいるのか? 右のスラブがヌルヌルでいやらしいが川村さんが上がりロープを下ろしてもらった。滝上はナメ続きの美しい沢床になっていた。すり鉢のようなスリバチゼンは、釜の右をへつっていくが傾斜がありズルズルドボンしたら濡れるね、っていって左岸を巻いた。ヘリトリゼンは左岸を易しく登る。

10:13左から小ゼン沢が出合い、本流の燕ゼンを右の岩場から越える。流れが平瀬になり周りはブナやミズナラの原生林の森になる。 

10:36庄九郎沢と出合い、時間に余裕があるので、この沢に入って釣りをすることにした。庄九郎沢に入ってすぐの釜で3尾ゲット。今晩の貴重なタンパク源だ。1時間ほど遊び、再び遡行11:45。

やがて庄九郎大滝が現れる。豪快な滝で、直登するなら右岸だが、うちらはおとなしく左岸を巻いた。といっても結構シビアな巻き道だった。かつてはここで死亡事故が起きたらしい。

庄九郎滝を過ぎると巨岩帯となり右に左に越えていく。 今回、私はラバーを履いてきたが、魚野川の中流以降はなぜかヌルヌルの岩が多く、よく滑った。巨岩帯もふだんはひとっ飛びするような流れも滑ってぼちゃんしたり、いちいち水流に入って抜けたりして時間がかかった。30-40分してやっと落ち着いたころランチ12:58。

川村さん流山行は、前の晩にご飯を多めに炊いて、翌日のランチ用にタッパに詰める方式。おかずはランチ時に川村さんから配給される。今回のおかずは梅干し、たらこふりかけ、昆布の佃煮。うまし!

お昼で活力を得、出発。1時間ちょっとで左岸にテンバ適地あり14:20。芝沢出合に幕営適地ありとの情報だがここか?肝心の芝沢はわからなかったが。テンバそばの倒木には、志賀高原漁協の「イワナ20cm以下放流」の看板が張られていた。いつものようにタープを張ったり薪を集めたりしてまったりと過ごす。3尾のイワナは塩焼きとムニエルにしていただいた。今晩は昨夜以上に寒かった(私だけ)。

8/13(火) 5時起床。気持ちのいい青空が広がっていた。お茶が沸く前に朝まづめ。糸を垂らしたらすぐにかかった。友部さんも私の竿で1尾ゲット。友部さんが、私の竿をみて「よくこんなんで釣れるねえ」と感心していた。私の竿は、6mと長いが、糸はせいぜい1.5mほど。木々が覆っている沢向きなのです。2尾のイワナはブツ切りにしイワナ汁にしていただいた。朝からぜいたく!

7:35出発。30分後には南ノ沢の出合に着いた。ここは右の北ノ沢へ入る。簡単な滝や釜を次々と越えたりへつったりする。水流は少なくなり蛇行してきて源流のおもむき。

c1800の二又を右に入る。ここはネットでは木に赤ペンキあり、とのことだが付近の木を探してみたら消えかかったペンキあとの木があった。

c1900には地形図では三又になっているが実際は二又でまっすぐ(左又?)を行く。窪状で笹のトンネルで苦ではなかったがやがて窪は終わり、根曲がり竹の壁となった。稜線まで標高差30mほどだが極太で密な根曲がり竹が要塞のごとく立ちはだかって前に進めない。猛烈な根曲がり竹でおニューのパンツにも穴が開いた。ちっ! 藪漕ぎのコツは前の人にできるだけ付いて、前の人が漕いだ藪が閉じる前に漕ぐことだ。

密藪から青空が開けてきて稜線が近いことを感じた。30分ほどで登山道に出た。ああ、こんな藪漕ぎは久しぶりだなあ。パンツの穴は悲しいが楽しかった。

沢装備を解き、寺小屋峰に向かう。重い足取りで着いた山頂は展望がなかったがここでランチタイム。米がうまい。寺小屋スキー場のゲレンデは色とりどりのお花が咲きのどかな気持ちになった。ゴンドラ乗り場では観光客がたくさんいて小汚い3人組はそそくさとゴンドラに乗って下界の人となった。

タクシーを呼び、切明温泉まで向かった。17400円。切明温泉で風呂に入り、途中でとんかつを食し関越に乗った。3日とも晴天に恵まれた。長年、行きたいと思っていた魚野川本流にやっと行けた。お魚もよく釣れた(私は4尾!)。

今回、私はラバーの靴を履いてきたが苔の岩が多くよく滑った。靴のせいでなく実力かもしれないが、今度来るときはフェルトで臨みたい。沢のレジェンド川村さんとクライマー友部さんのおかげで、紐が下りてきたり手を差し伸べてもらえたりとめったにないお姫様あつかいの山行でシアワセでした。

【コースタイム】
8/11(日) 7:40切明温泉出発-10:18渋沢ダム-10:40入渓-13:27高沢-15:00ナマリ岩手前テンバ
8/12(月) 7:04テンバ-8:28カギトリゼン-10:13小ゼン沢-10:36~11:45庄九郎沢-14:20芝沢出合?テンバ
8/13(火) 7:35テンバ-8:03南ノ沢出合-9:38c1800-11:12藪漕ぎ開始-11:40登山道-12:25寺小屋峰-13:30ゴンドラ乗り場

記録/浅原