Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ

「人民元の為替ルートは決壊するだろう」と、筆者は2013年頃から早々と予測してきたが、いまや中国の金融専門家のほとんどが口を揃え始めた。(1)

2019.09.19 00:08

  『世界から追い出され壊れ始めた中国』 各国で見てきたチャイナパワーの終わり   宮崎正弘   徳間書店    2019/7/25 <中国金融危機、大恐慌の足音が聞こえる> <中国経済の破局、崩壊は秒読み> ・とうとう崖っぷちに追い込まれた中国。気がつけば四面楚歌となっていた。  ダムや堤防は一カ所が決壊すると、すべての崩壊に至るまでは短時間である。  中国の昨日までの高度経済成長、GDP(国内総生産)世界第2位、外貨準備世界一という荒々しい鼻息はかき消え、大量失業と輸出激減を前にすっかり意気消沈している。ましてや中国国内では、習近平政権に対して経済政策失敗の批判が唸りをあげ始めた。 ・日本人ビジネスマンは、中国経済が現在陥没している惨状をおおまかには知っていても、具体的で正確な破滅のリアルをつかめていない。  習近平の不人気は、反腐敗キャンペーンを掲げての政敵摘発と失脚を、敵対する派閥に狙いをつけて不平等に行い、とりわけ軍人の恨みを買ったことが最大の原因である。 ・まさに露骨で陰惨で、かつ無謀な党内闘争を展開した結果、エリート集団(共青団)は習政権への協力を渋った。それゆえに経済政策は失敗、あらゆる方面で頓挫を繰り返す。その責任は習近平にあり、共青団はむしろ積極的に非協力となって習を孤立させることに成功したとも解釈できる。 ・おそらく中央委員会を招集すれば、習近平は冷ややかに批判されたであろう。強烈に経済政策の判断と対米貿易戦争の失敗を槍玉にあげられて、徹底的な糾弾が行われただろうし、あるいはかつてのフルシチョフのように突然の解任劇となる可能性があった。  共産党が手柄だと自画自賛してきた経済が行き詰まり、党内の空気がささくれ立ってくると、必ず中国は戦争を仕掛ける。古今東西、三流の指導者は立場がまずくなると対外戦争で矛盾を糊塗しようとするのだ。  だから、習近平の台湾恫喝を笑い飛ばすわけにはいかないだろう。また、アメリカはそれがわかっているからこそ、2018年に「台湾旅行法」などを制定し、武器供与を強化し、海兵隊を台湾に駐留させているのである。 ・不動産と株式の暴落が始まり、未曽有のバブル崩壊は世界経済に恐慌を呼びかねない。1997年のアジア通貨危機以来となる人民元の崩落が起これば、ASEAN諸国も日本も無傷ではすまないだろう。  現に2019年5月下旬、内蒙古省が拠点の「包商銀行」が倒産寸前となり、国家管理に置かれた。これは次の導火線になる。たとえば、中国国有企業の代表格で伊藤忠とも提携しているCITIC(中国中信集団)の負債は15兆円を超えている。中央政府、地方政府、国有企業の負債総額は天文学的であり、リーマンショックの10倍にもおよぶ金融恐慌が発生する危険性が日々高まっている。中国経済の破綻は秒読みとなったと見るべきではないか。  じつは中国経済は2013年に事実上崩壊していると、筆者は数年前から書いてきた。 <AIIB、ようやく起債> ・2018年秋のペンス演説は事実上の対中国宣戦布告だったが、次に予定されるペンス演説第2弾は人権と宗教の自由抑圧への制裁を含む激しい内容となるだろう。 ・日本でも「バスに乗り遅れるな」と素っ頓狂なことを主張した、エコノミストなどの論客がずいぶんといた。AIIBには悲惨な末路しかないと主張した筆者などは、「時代錯誤」と罵られたものだった。  案の定、AIIBのその後の経過は悲惨だった。 ・AIIBに払い込まれた資本金はわずか80億ドル(2019年4月現在)。実際は参加表明の国々が資本金の送金をなしておらず、スタートから3年間に決めた融資はたったの4件。残りは世銀との共同融資が10件、ADB(アジア開発銀行)との共同融資が4件、合計で42億ドルだった。 <深刻なドル不足> ・ドルが不足したら、中国は人民元決済を行えばよいと誤解している人がいる。また、保有している米国債を売却すればよいと考えている人がいる。  大いなる誤解である。  人民元スワップには限界があり、ロシアとの原油とガス代金の決済にしても人民元による支払いはごく一部で、武器購入などはドル決済である。ドル不測の中国は、決済に保有した金塊で充当した形跡がある。 ・人民元はドルペッグ体制をとっており、簡単にいえば、中国が保有する外貨の範囲内でしか人民元を国内金融市場に流通させることができない仕組みになっている。それを2017年から、ドルの裏付けのない人民元を発行して国内の景気浮揚のためにバラまいてきた。ということは、ドルに裏打ちされた人民元の国内流通が30%を超えており、このまま推移すれば人民元の対ドルレートは下落する。下落どころか、大暴落に突き進むだろう。 ・中国の表向きの外貨準備は2019年6月現在、3兆1000億ドルだとか。ここから対外債務を差し引き、さらに過去の外貨流出を勘案すると、事実上ゼロに近い。これまでは貿易黒字と外国企業の直接投資が増え続けてきたため、まさかの外貨制限などは想定外のことだった。 ・こうした抜け道による外貨流出が続こうが続くまいと、今後、さらに輸出が減って輸入が増えていくことになるから、外貨が完全に底をつくのは時間の問題となる。「人民元の為替ルートは決壊するだろう」と、筆者は2013年頃から早々と予測してきたが、いまや中国の金融専門家のほとんどが口を揃え始めた。  中国企業は銀行から金を借りられなくなった。外貨が払底し、高金利でも海外市場での社債の起債に方針を転換した。2018年度だけでも中国企業のドル建て社債の起債は1兆ドル、外国の金融市場から調達した。それほどの窮状に陥っているからには、カネを貸すほうも警戒態勢に入る。 <激しさを増す中国制裁> ・2018年に、インテルが半導体の供給をやめたためスマホの組み立てができなくなったZTEは倒産寸前に陥った。  ファーウェイとチャイナモバイルのアメリカ市場からの排斥も決まった。ほかにも監視カメラ3社、ドローンのメーカーなども排斥が決まった。 ・繰り返すように、中国経済の自滅はいまや秒読みである。 <灰色のサイが暴れ出す> ・かねてから筆者は、ウォール街の債権専門家などの数字をもとに「中国の債務は3700兆円前後だろう」と見積もってきた。2018年8月のBIS(国際決済銀行)総計で、中国の過剰債務は220兆元(邦貨換算で3740兆円)と出され、奇しくも同じ数字をBISが用いていることがわかった。  ところが、中国の債務は9900兆円ではないかと言い出したエコノミストがいる。石平氏と渡邊哲也氏の『習近平がゾンビ中国経済にトドメを刺す時』(ビジネス社)を読んで驚きの声をあげた。  中国の負債総額は9900兆円という計算が存在するというのだから、歴史開闢以来の大借金である。2018年6月に発表された中国政府の「公式数字」では国有企業の負債は1800兆円だが、朱鎔基元首相の息子が言いだしたといわれる中国の負債額は9900兆円。中国GDPの600%に膨張した可能があるというではないか。 ・こうなると渡邊哲也氏が指摘するように、「中国の経済成長は『債務膨張』という砂上に立つ楼閣そのもの」であり、石平氏は「中国の不動産の時価総額が7310兆円に達しており、それはアメリカ、日本、EUをあわせた不動産時価総額(6750兆円)」よりも多い。二人は前掲書で「集団的幻想」に陥っている事実をえぐりだした。このまま行けば中国経済がペシャンコになるシナリオも考えられるだろう。 <貿易戦争はしょせん関税のレベル> ・長い目から見れば、米中貿易戦争はしょせん関税を掛け合うレベルでしかなく、これからは5Gが象徴するハイテクの覇権戦争に移行する。したがって、ファーウェイ問題が貿易戦争の行方に大きなファクターとしてのしかかった。 ・中国発「金融恐慌」への対応が、西側で広く議論されるようになった。  習近平が1月21日の党中央学校における講演で、「黒の白鳥も、灰色のサイにも気をつけろ」と発言したことが事態の深刻さを象徴したと前述したが、「灰色のサイ」は中国が抱える過剰債務問題の危険性を習近平が示唆したことであり、アジアのメディアは大きく報じた。 <2018年の企業倒産は、上半期だけで504万社> ・製造工場の生産ラインが次々と止まり、座り込み抗議集会が中国全土に拡大した。大躍進を遂げシャープを買収した鴻海精密工業も騎虎の勢いをまったく失い、2018年だけでも10万人をレイオフした。 ・かように中国で起こっている大量失業の実態を目撃すれば、どうやってGDP成長率6%台が可能になるのか。あまつさえ「金の卵」といわれ重宝された「海亀派」(海外留学からの帰国者)が就職難という異変が加わった。 <三流の指導者は行き詰まると戦争に打って出る(?)> ・アメリカ統合参謀本部のダンフォード議長が地政学的要衝として重視したのは、アフリカ北東部のジブチだった。「ジブチはGDPの80%に相当する金額を中国が投資したことにより、中国初の海外軍事基地を認めた。そして同じ危機はエクアドルに迫った。エクアドルに迫った。エクアドルは2024年までに中国に原油の80~90%の輸出と50%の免税特権を与えた」  この発言を大きく報じたのが「ザ・タイムズ・オブ・インディア」で、ネット上の反応を見ると、「パキスタンは永久的に中国の奴隷となり、(中国からの借金が少ない)インドはいずれ大国となる」あるいは「パキスタンは物乞い、中国は土地漁り」。いかにも中国を敵視するインドらしい意見が並んだ。 ・そのイギリスが見る影もなく衰退した。  2019年にイギリスのGDPはインドに抜かれる。BREXITの交渉が難航しているのは、EUの「イギリス虐め」である。イギリスはEUの通貨同盟に加わらず、経済主権を尊重して、ヒト・モノ・カネの移動の自由を選択した。予想に反して呆れるほどの大量の移民が流入し、イギリス人の職を奪い、行方不明になりかけていたジョンブル精神のナショナリズムに火がついた。 <民主派弁護士も人権擁護の知識人も不在となった> ・中国の大学教授、良識派のインテリ、文化人など、西側の価値観を重視する知識人らが次々と辞職に追いやられている。  人権派の弁護士らも300名余が拘束され、獄中転向を余儀なくされている。信念を曲げない弁護士数名がまだ拘束されているが、民主主義擁護の法律家たちが中国では不在となった。  アカデミズムの場において言論の自由は圧迫され、習近平を遠回しに批判しただけで大学、シンクタンク、メディアから解職処分となる。こうした事態が連続しているため、中国語のネットで話題となっている。 「まるで暗黒政治だ」という批判が、欧米在留の中国人留学生の間に拡がった。なにしろ最大の投資家でリベラル論客の代表でもあるジョージ・ソロスが、「西側にとって習近平は最悪の敵だ」と発言したほどに、欧米の中国を見る目は日に日に厳しくなっている。 <ダライ・ラマ法王が抱くチベット仏教の深刻な存続危機> ・米中貿易戦争で関税を25%もかけられた中国が直面しているのは、未曽有の「産業空洞化」だ。  時間の問題とされる「人民元大暴落」を目の前にして、党内からは習近平の外交に賛意も上がらず、むしろ、党内の雰囲気はひたすら沈黙という不気味で激烈な批判に遭遇している。おそらく党内の誰もが、習近平は早くやめろと望んでいるのである。 <トランプ「非常事態宣言」の意味> ・時計の針を、2019年5月15日に戻す。 この日、トランプ大統領は「国家非常事態」を宣言した。 国家安全保障上、極めて脅威となる「外国企業の通信機器」をアメリカ企業が使用することを禁止する。 ・議会では上院司法委員会のリンゼイ・グラハム委員長が「鍵は中国だ」と言明した。というより、順番は逆である。  中国製品の排斥は、まずアメリカ議会が圧倒的多数で可決して法律を制定したのだ。 <バノン砲が「まだ中国を助けるアメリカ企業」を名指しで非難> ・アメリカに渦巻くのは中国への露骨な敵対姿勢であり、メディア、学者から政治家、それも共和党より民主党の面々が、激しく中国の不正を攻撃している。パンダハガーとして知られたアメリカ人学者、たとえばディビッド・シャンボー、マイケル・ピルズベリー、エズラ・ボーゲルらの対中強硬派への変節を見よ。 <中国国内はイナゴの大群のような失業者> ・世界各地で中国人の移民の夥しさが目立つが、中国国内で数千万人の失業が出ていることと関連がある。  2019年3月の全人代でもはっきりと、「1100万人の失業対策」が謳われた。それまでの看板「中国製造2025」には一切言及がなかった。公式に1100万人ということは、潜在的にこの3倍、さらに退役軍人が5700万人!  大学新卒834万人にましな職場がないというのに、ここへ51万人の海外留学生がイナゴの大群となって帰国した。大量失業のうえに、エンジニア級の失業が拡大する。かつて「海亀組」といわれて重宝された欧米留学からの帰国組にとって、これからの職探しは難儀を極めるだろう。 ・ところが、習近平は全人代で公言した1100万人雇用対策として、とてつもない反動的政策、すなわち「現代版下放」を打ち出した。時代錯誤の極みともいえる。  文革時代の下放政策を思い起こす。知識青年を憎んだ毛沢東は、用済みとなった紅衛兵らを「農村に学べ」と言って都会から追い払い、北京大学などは10年間閉鎖された。習近平も陝西省北部の農村へ追いやられた。  「1000万人学生を農村へ」と習近平が呼号する。これ、すなわち共青団つぶしであり、紅衛兵追放の再来という悪夢。しかし、同時に1100万人の失業対策につながる。一説には李国強イジメという見方もある。 ・そうした動きと並行するかのように、日本企業の中国からの撤退が本格化した。SONYは20年間運営してきた北京工場を2019年3月末に閉鎖した。最盛期には1万人の従業員を抱えた組み立て工場だが、生産ラインを徐々にタイへ移管させてきた。賃金の高騰で中国では採算がとれなくなり、経常赤字はじつに1億4000万ドル(約156億円)に累積していた。工場では従業員のストライキが発生した。 <中国の金融危機が表面化、「包商銀行」の倒産回避、国家管理策は裏目に出る> ・中国で金融暴発の前兆が出た。  2019年5月24日、倒産寸前だった内蒙古省を拠点とする地方銀行、包商銀行を中国は国家で管理するとし、89%の株式を取得した。つまり国有化された。具体的には中国銀行保険監督管理委員会(CBIRC)が「公的管理」とし、元本の30%削減という措置をとった。電光石火の措置だった。 ・中国にはおよそ4000の銀行、地方銀行、信用組合があるが、このうち420の金融機関がリスクを抱えていると中国の金融業界は見ている。  二番目、三番目の「包商銀行」は、中国各地にごろごろと転がっている。この事件によって、長く隠蔽されてきた中国の金融危機がついに表面化した。 <1ドル=7元を中国は死守できるのか?> ・国際金融市場では、これからの米中貿易戦争激化、険悪化がもたらすであろう金融恐慌の可能性に関して深刻な懸念が拡がっている。  深刻というより中国発の金融恐慌はいつくるか、それはどのくらいの規模になるのか。ひょっとしてリーマンショックの10倍になるのではないか、という激甚な懸念が現実になるという恐怖に近い。 ・第一の懸念は、中国人民銀行が人民元為替レート、すなわち1ドル=7人民元をいつまで死守できるかという問題である。  ドルレートの死守は中国経済にとって死活的である。人民元が安くなれば、輸出競争力が高まる反面、原油、ガス、鉄鉱石、食糧を輸入している中国は爆発的な物価高に襲われるからだ。  第二は、習近平が面子にかけてどぎつい報復に出た場合の最悪シナリオとして、中国が保有する米国債を売却するのではないかという、懸念である。米中貿易戦争が第3幕(3000億ドル分にも25%の課税)に移行するや、上海の株式市場は大きく下落を演じたが、人民元も対ドル相場を下落させ、1ドル=6.9人民元となった(韓国ウォンはもっと下落した)。逆に、安定感のある日本円は上昇した。  中国にとって為替の死守線は1ドル=7人民元であり、これをいったん割り込むと、下落は底なしになって1ドル=8人民元をあっけなく割りこむだろう。 ・ASEAN諸国は、1997年のアジア通貨危機の二の舞を演じかねないとして、中国の金融当局の出方を注目している。  中国は最後の報復手段として保有する米国債を売却すれば、かえって中国の首を絞めることになる。なぜならドルを調達するにあたり、中国の事実上の担保が米国債の保有額である。この範囲内で中国はドルを外銀から借りられる。つまり、命綱であることを世界の銀行ばかりか中国の金融界が重々承知している。 <ボキッと何かが折れた音がした> ・ヨーロッパのバンカー、アナリストらは公表された数字からも、当該国家のGDPと輸出統計、外貨準備を精密に比較しつつ、次の8カ国がデフォルトをやらかしそうだと警鐘を鳴らしている。  すなわち、モンゴル、モンテネグロ、パキスタン、ラオス、キルギス、モルディブ、ジブチ、タジキスタンである。いずれも、中国が最大の債権国である。つまり、どれか一つでもデフォルトを宣言すれば、直接の被害は中国となる。  このほかにIMFに救援を求めたか、あるいは近い将来にIMF救援を求めざるを得ない国にベネズエラ、ニカラグア、コンゴ共和国、とうに破産しているジンバブエがリスト入りするだろう。そうなると最も困惑するのはカネの貸し手である。つまり中国である。IMFは債権国に80%前後の債権放棄を迫るからだ。  アメリカのロジウム・グループの報告書によれば、中国の一帯一路融資案件のうち、すでに38件、500億ドル強の債務のリスケ(リスケジュール)があったという。このうち14件は債権放棄だというのだが、秘密の2国間交渉だったために詳細は公表されないままである。  中国発の金融危機は、まもなく爆発する。 ・世界の債務は、GDPの3.2倍の金額である。これは誰が見ても、もはや制御不能である。 <あとはもう時間の問題> ・2019年3月8日、上海で講演したマイケル・ペティス(北京大学教授兼カーネギー国際平和財団客員研究員)は、「中国のGDP成長率(2019年は6~6.5%)の実態は、おそらく公表の半分だろう」と警告した(中国の有力経済学者の向松祚(こうしょうそ)教授は、GDP成長率を1.67%と言った)。 ・いちばん重要なことは、ペティスが「経済統計は中国の場合、経済データ統計というより、『政治意図』を表現する数字である」と規定していることだ。 <中国の海外債権も、本当は不良債権だ> ・中国とパキスタンは、半世紀を超える軍事同盟を結ぶ関係である。中国はパキスタンにすでに620億ドルを注ぎ込んでいる。  そのパキスタンが、中国の頭越しにIMFと救済案の準備交渉で合意した。 <断末魔の叫びをあげる「一帯一路」> <400万国民が脱走したベネズエラを見限って8万人の華僑も中国へ帰還> ・このベネズエラに大金を注ぎ込んで、支援してきたのが中国だった。すばしっこい華僑は早くからベネズエラ社会に溶け込み、とくに小売り部門、流通、そして金融にちゃっかり進出していた。最盛期には40万人の中国人がベネズエラ各地で暮らしていた。なにしろ中国の対ベネズエラ投資は200億ドル、融資額は500億ドル、原油価格暴落によって利子の支払いさえ滞り、マドゥロ大統領が北京を訪問して追加救援融資を要請したが、中国は首を縦に振らず、「中国はあらゆる協力を惜しまない」というリップサービスでおしまいにした。 <道徳のない中国は最悪最大の脅威> ・共和党はとうにトランプ再選でまとまっており、民主党の出方を待った。すると「居眠りジョー」こと、ジョセフ・バイデン元副大統領が3度目の正直で大統領に挑むことになる。 <これから起こる泥沼の中国危機から日本はどう逃れるか> <日の丸テクノロジーはいったいどうして衰退したのか?> ・「少子高齢化」どころか、いずれ「無子高齢化社会」に日本は突入する。  出生率1.44。生涯独身が増え、結婚しても子供を産まないカップルや、離婚率も急増した。戦後の日本は伝統と分断されて、まるで別の国になったかのような印象がある。そして移民が増え続けていけば、日本の将来はどうなるのか。 ・現在、在日外国人は270万人。留学生が34万人強、このうち中国人留学生が12万3000人、ベトナム人が8万人強。彼らのうちの半分近くが真面目に学校に通っていない。  コンビニ、居酒屋などのアルバイト戦線で主要な働き手となっているが、国を出るときにブローカーに法外な手数料が支払われる。だから日本語学校に70万円とか100万円の高い授業料を納めても学校に通わないで蒸発するのだ。 ・つまり、行政指導が失敗を演じていることであり、しかも誰も責任をとらず、かつての通産省という、アメリカの脅威だった行政機関は機能不全に陥った。日本のものづくり世界一という面影が消えかけている。 <「日米安保条約は不平等、破棄すべきだ」とトランプ大統領が発言していた> <「われわれが押しつけた、あの憲法を日本はまだ守っているのか」> ・昨今の政界は改憲論議がやや遠のき、小手先の加憲論とか、国民投票の方法などの枝葉の議論に時間を空費してきた。歴史原則にたち還ると、占領側が被占領国の基本法を強要すること自体は重大な国際法違反である。したがって、「日本国憲法」なるシロモノは早急に破棄するだけでよい。法律的には明治憲法に復元改正となるが、枢密院もない現在の状況では無理が多い。とりあえず「五カ条の御誓文」に戻し、もろもろの付随法を自動的に考えればよい。もっと正論をいえば、イギリスのように日本には成文法は不要である。慣習ならびに伝統で解釈し、あとは法律を整備していけばすむことではないのか。  むろん、法律家、裁判所、そして内閣法制局なる「法匪」が跋扈する現況にあって、上のような正論が迅速に受け入れられることはないだろうが、歴史的原則だけは忘れるべきではない。 ・過去30年、アメリカは政権が共和党であろうと民主党であろうと、日本に対して防衛負担増大を要求してきた。日本は憲法を盾にして、防衛負担増を拒み続けてきたことは周知のとおりである。だから、こうした対日認識はアメリカ人政治家に共通している。大統領選挙の予備選でトランプは、「日本が核武装しても構わない」とも主張してきたことを思い出したい。  いつしか、こういう場面がくるだろうと予測してきた筆者にとって、驚きでもなく、いや歓迎すべき事態の到来といえる。(拙著『日本が在日米軍を買収し第七艦隊を吸収・合併する日』(ビジネス社)参照) ・目前に現れた中国の危機、同時にそれは日本への一大覚醒となる潜在力を秘めているのである。 『結局勝ち続けるアメリカ経済 一人負けする中国経済』 武者陵司  講談社   2017/8/18 <日本に吹く地政学的な追い風> ・では、いまの世界情勢を解き明かすカギはどこにあるのでしょうか。私はアメリカ経済分析に尽きると考えています。 ・本書の明確な主張は、アメリカの卓越した経済力が一段と強化されているので、アメリカが決意しさえすれば、アメリカ主導の世界秩序再構築の可能性は高い、というものです。 ・では、アメリカ経済の何がすごいのか。それは技術革新、イノベーションを次々に生み出す活力です。グーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップル、マイクロソフトなど新興の大企業が続々登場し、インタ―ネット・サイバー空間(私は「第7大陸」と呼んでいます)を作り上げ、ビジネスと人々の生活を一変させています。 ・さらにアメリカがすごいのは、この企業が作り出した価値を消費に落とし込む力、人々の生活水準の向上につなげる力です。格差が生まれ、一部白人の肉体労働者にしわ寄せがいっている問題はあるにせよ、アメリカ経済を引っ張っているのは消費です。 ・この歴史的フロンティアたるインタ―ネット・サイバー空間(第7大陸)をアメリカが支配していることにより、経常収支が大幅に改善し、ドル高が続くことが見えてきました。それがアメリカの帝国的覇権をより強める方向に働くと予想されるのです。 ・とはいえ、アメリカ・ファーストというスローガンで大統領当選したドナルド・トランプ氏が世界の混迷に背を向けて、孤立主義的、排外主義的な傾向を執り続ければ、世界秩序はますます乱れていくでしょう。  しかし本書のもう一つの主張は、トランプ政権の政策は大きく進化・成長していかざるを得ない、というものです。  トランプ氏が戦略目標として明確にしている、①偉大なアメリカの復活、②安全な世界、③国内雇用の確保、を実現するためには、メディアや評論家が説明しているような、孤立主義、排外主義、保護主義、人種差別主義といった傾向を拒絶せざるを得ません。  アメリカには覇権国を自任するに足る経済力が備わっており、トランプ政権が世界の警察官としての役割を果たそうとするなら、2020年にかけて、アメリカ主導による世界秩序の再構築が進展していくでしょう。 ・世界の技術、市場、資本のただ乗り(フリー・ライド)によって成長を遂げた中国は、アメリカによってこのフリー・ライドを禁止され、成長が期待できなくなるでしょう。  こうして、フリー・ライドを前提とした中国経済とそのビジネスモデルは一気に機能を停止し、経済成長が止まる「中進国の罠」に陥ることは確実です。 ・そもそも中国に欠けているものは資本主義のDNAです。ビジネス成功のカギがアメリカと中国とでは180度異なっていることをご存じでしょうか? ・国営企業は共産党官僚が営む政府機関そのもの。そして中国では、民間企業も政治の支援なしには成り立ちません。そもそも中国の主要企業には、表の組織の他に、裏の組織、つまり共産党企業委員会があり、裏の委員会が経営の決定に深く関与、徹底した監督、監視、検閲を行っており、党との良好な関係なしにはビジネスは成り立たないのです。   <政治との関係性によって、企業はいつ富を奪われるか分からない、そんな恐怖政治が支配しているのです。> ・この権力との関連性でビジネスも生活も律せられるのは、古代からの中国の伝統です。権力に対する絶対的服従という太古からの行動様式と、最先端技術、そして市場経済との奇妙な融合が、現代中国の強さであると同時にアキレス腱になっています。 ・しかし習近平政権は、汚職・不正撲滅を口実として対抗勢力を叩き潰し、日本のかつての治安維持法を想起させる国家安全法を制定しました。また学問の自由も否定し、大学を「マルクス主義や中国の偉大な夢、社会主義の革新的価値観の最前線」と位置付け、党思想を宣伝する道具にしてしまいました。 ・この自立を欠き、権力に服従する中国人の特徴は、現在の中国企業のDNAにも色濃く影響しており、政商的なビジネスモデルの背骨になっています。それがアメリカの起業家精神を涵養するDNAの対極にあることは、論を俟たないでしょう。   ・すでに日本企業は、バブル崩壊の後遺症から立ち直り、過去最高の利益を上げる力を備えています。この企業の儲けが、デフレ脱却の進展とともに、個人の消費に結びついていくでしょう。 「失われた20年」といわれた苦難を抜け出したとたん、地政学的な追い風が吹くという僥倖が、日本に訪れています。株価も本来の価値から大きく下振れした、いわばマイナスのバブル状態にありましたが、今度は大きく是正されていくでしょう。私は日経平均株価の4万円突破もあると見ています。 <アメリカが獲得した「第7大陸」> <強みはピカピカの価値創造> ・現在のアメリカでは、株式市場が時価総額構成の大幅な変化を通して、将来の青写真を作っているのです。  これは、アメリカが健全な価値創造力を有していることの、何よりの証拠でしょう。そして、新たに生み出された価値が世の中全体に受け入れられ、そこに新しい市場が作られ、より大きな市場価値に育っていくのです。  この部分がピカピカであれば、実体経済や政治は放っておいてもきちんとワークします。 ・このような見方をすると、中国経済がなぜ厳しいのか、その理由が分かります。確かに、表向きは共産党一党独裁のもと、強い政治力によって国全体がまとまっているかのように見えますが、中国企業には健全な価値創造力がありません。つまり、国を支える基盤が極めて脆弱なのです。 <「第7大陸」とは何か> ・しかし、いまのアメリカ経済および世界経済においては。リアル経済圏とはまったく異なるバーチャル経済圏がどんどん成長しています。これは、インタ―ネットを介した新たなビジネスや生活の空間のことであり、私はこれを「第7大陸(=サイバー空間)」と称しています。 ・現在ではインタ―ネットは、水や空気と同じように、私たちの生活活動において、必須ともいうべき経済資源、生活基盤であり、価値創造の最大の源泉になっています。 ・では第7大陸の発展が、どのように経済に寄与しているのか、それを考えてみましょう。第一は、人々に著しい便益を与えるとともに、劇的なコスト削減を可能にしていること。第二は、まったく新しい商品(=欲求を満たす仕組み)を生み、新産業や新企業を勃興させていることです。それはマクロ経済的には企業収益の著しい向上をもたらし、生産性上昇による物価の下落と、それに伴う購買力の増加を引き起こす。 <減税策がアメリカを好景気に> ・トランプ大統領が打ち出している減税策がもたらす、成長加速の連鎖効果が注目されています。 ・これらがすべて実施されれば、10年間で5兆ドル規模の増収となり、それはアメリカの名目GDPの2.8%に相当すると推計されています。  加えて、1兆ドルといわれるインフラ投資と国防支出増により、アメリカのGDP成長率は、リーマン・ショック後の2011年から2015年までの平均値である2.1%を大きく上回り、容易に1990年以降の長期成長トレンドである3%に戻っていくでしょう。  もちろん、これほどの大風呂敷ともいえるプランがすべて実現することはあり得ません。 ・いうまでもなく、ドル高はアメリカ金融の支配力を強め、トランプ大統領が狙っている世界覇権の強化にも結び付くのです。