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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

万能の人18-ダ・ヴィンチの世界の終末図

2019.09.19 02:00

「アンギアリの戦い」を完成させず、フィレンツェを離れてミラノに行ったダ・ヴィンチはフィレンツェから契約不履行で、金を返せと言われたが、ダ・ヴィンチはもちろん払わなかった。ミラノでは、第2作目の「岩窟の聖母」他、フランス人総督ダンボアーズの別荘を建設した。

この頃ダ・ヴィンチは洪水と終末の絵を描いている。ミケランジェロも天井画に「ノアの洪水」を描いたが、その頃終末論が出ていたようである、終始我が道を行くのダ・ヴィンチが巷の思想に影響されたのはこれだけと言われている。しかし彼はその終末を科学的に解析しようとするのである。

ダ・ヴィンチは、万物を循環する水を世界の基本的なものと以前から考え、絵画を貫く思想としている。彼は終末を、雨や風、雷から起こるものと考えている。手稿にはその風景がかなりリアルに書かれている。どうやら審判の日を描こうとしたようだ、もちろんミケランジェロも描くのである。

1512年にミケランジェロは天井画を完成したが、ユリウス2世は翌年亡くなってしまい、廟墓の計画は大幅に縮小された。レオ10世はラファエロを寵愛して、ミケランジェロはフィレンツェに行かされ、メディチ家礼拝堂を建設することになる。ルネサンスの理想はどこに行ったのか、ミケランジェロの作品にも憂鬱や戸惑いが表れてくる。