声を出して 24
「そう・・・・選べなかったの・・何も・・」
「はい・・・すみません、おばさん。」
「どうしてハニちゃんが謝るの?謝らないといけないのは、おばさんの方じゃない。それにしてもねぇ・・・・どうしてスンジョは女の子の気持ちが判らないのかしら。ハニちゃんじゃなかったら、誰もスンジョと結婚なんてしてくれないのに。」
「そんな・・・私の方こそ、スンジョ君じゃなかったら結婚できなかった・・・・・」
と言っても、ジュングとギテ先輩にだけは告白されたけど。
本当の私を知っているのはスンジョ君しかいないし・・・・
でも・・・・
「間に合わない・・・・」
「大丈夫よ。ドレスはハニちゃんが気に入ったのがあるって言っていたから、黙って納金してくればいいのよ。指輪は、刻印なんてなんとかなるわ。大丈夫だから・・・ね?」
「喧嘩しちゃったし、それにスンジョ君、結婚するのを止めるって言っていたし・・・・」
「大丈夫よ!」
食事を作りながら、こうしておばさんと話をするのはもう4年もしている事。
いつか私の家が出来たら、この家を出て行くつもりでいたけど、その時が来なくてよかった。
小さい頃にママが亡くなったから、こうしてママと一緒に食事の準備をするのを夢見ていた。
おばさんは、娘が欲しかったからスンジョ君と結婚する事になって、やっと夢がかなったと言って喜んでいた。
「ご飯が出来たわよぉ~」
ダイニングテーブルにセッティングをすると、おばさんがみんなを呼ぶと、リビングで待っていたウンジョ君が、お腹が空いていたのか走って来ると続いておじさんがパパと話をしながら、ダイニングテーブルに着いた。
「スンジョォ~」
呼びに行ってと言われたらどうしようと思っていたら、おばさんが私の気持ちを知っていてくれたから、カトラリーを並べながら呼んでくれた。
「大きな声で呼ばなくても時間が来れば判る。」
「だったら、リビングで待っていればいいじゃない。」
私もそう思ったけど、喧嘩をして気まずいから余計な事を言いたくなかった。
「ハニ、ドレスは決まったのか?」
「うん・・・何とか・・・・あとで話すね。」
ドレスショップの人が試着した写真と見積書を書いてくれたから、それをパパに見せてお金を貰うだけ。
でも、スンジョ君とドレスと指輪の事で喧嘩をした事だけは伝えないといけない。
いつも無言で食べているスンジョ君は、いつも通り食べてサッサと部屋に入って行った。
さすがに、パパがドレスの事を聞いたから、いつもみたいにサッサと部屋に行ったら、判っちゃうじゃない。
喧嘩をした事を・・・・・