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家賃滞納予備軍を減らす方法

2019.09.21 00:11

 不動産賃貸業務、とくに管理業務を行ううえで、意外とスポットが当たらない割にヘビーな仕事。それが賃料滞納の問題だ。



 最近は保証会社がトレンドになっており、ほぼ初動の賃料滞納は保証会社が代行してくれるケースが増えてきた。それでも保証会社の保証期間を超えてしまうと、不動産会社自身が督促、回収を行わなければいけない。ましてや保証会社の保証期間を超えての督促は、かなり難易度が高い。勿論、任意整理などに持ち込むケースが多いのだが、このあたりは、経験がないと、最初は随分戸惑ってしまう。


 賃料滞納をしてしまうケースはいくつかに分類される。


 まず一番多いのが、「払い忘れ」のケースだ。払い忘れは、早めに督促者が確実に先方に通知すれば事足りる。たとえばそれなりの年収がある入居者でもこの「払い忘れ」、「引き落としができない」ケースは普通に起こりえる。年収の高い入居者が、賃料引き落とし口座に預金をせず放置してしまい、滞納となってしまうケースは、典型的な一例だ。


 しかしこのような「払い忘れ」ケース以外の賃料滞納は、なかなか重いケースになる。


 もうひとつの滞納パターンは、「環境の変化により賃料負担が大きくなり」滞納をしてしまうケース。これは契約者が、転職をしたことにより収入が変化してしまい滞納を引き起こすケースや、離婚などによる所得年収の低下などのケースなどが挙げられる。実際、引っ越しした当時より、収入面の変化があった際、生活資金のコストダウンは割とすぐにできるが、しかし賃料の減額は、引越しをしなければなかなか解決できない。


 また上記のケース以外にも、「そもそも引越しした時点から賃料負担が大きい」ケースもある。元々の収入に対して、借りている賃料が高過ぎて、急な出費などが発生した際に、貯蓄が減り、賃料滞納をしてしまうケース。これは入居者の性格的な部分に起因していることが多い。見栄を張り高い賃料を借りてしまう、身分相応ではない生活の利便さの高い物件を借りてしまう、などのケースが多い。


 家賃滞納の総数は、正確にはわからないが、12戸のうち1戸は発生されていると言われる。おそらく相当な数の滞納が発生しているだろう。ある意味、不動産業界の闇の部分である。しかしながら、なかなかそれを減少する傾向ではなく、むしろ滞納件数は増加する傾向のようだ。

 

 ユーザーが部屋探しを行う際に、実際、自分がどれぐらいの賃料を新居で払うべきなのか、を真剣に考えて部屋探しをするユーザーは殆どいない。今の収入だと、これぐらいの賃料かな、というかなりざっくりした計算で部屋探しを行う。家族暮らしならまだしも、例えば20代前半の独身のユーザーなどは、あまり今後の生活プランなどを考慮しない。そうすると不測の事態が起こった際に、賃料滞納が起こってしまう。


 と考えると、初動の部屋探しの段階で、仲介会社がこのあたりをきちんとユーザーに伝えているが重要になる。たとえば仲介会社は「大手企業に勤務して勤続年数も長く、内容が良いから、審査はオッケー」というところだけをフォーカスをしてしまう。入居審査を通すことが大前提なので、致し方ないかもしれないが、今後のライフプランなどを共に考え、ユーザーが借りられる適正賃料を提示することも重要な仲介会社の仕事のひとつかもしれない。


 また、契約時にこのあたりの賃料支払いの手続きなどをしっかり説明もしなければいけない。残念ながら、重要事項説明書には滞納の際の対応などは記載されているケースはなく、賃貸借契約書にも詳しい記載はない。

 そうなると、賃貸仲介会社も当然、このあたりのことを突っ込んで説明はしない。とりあえず「保証会社に投げれば良い」となってしまう。


 不動産仲介会社で、重要な顧客のカテゴリーに「リピーター」というカテゴリーがある。たとえば賃料仲介をした顧客が数年後に引越しの際に、再度同じ仲介会社に依頼するケースなどがそうだ。この時、初動の接客で、いかにライフプランを共に考えて提案をするのかが重要になる。ユーザーのライフプラン、生活スタイル、家計を共に考え、提案していくことで、次の引越しも頼られる存在になる。


 今後、賃貸仲介の意義は、上記のようなライフプランの相談窓口として機能していくことが大きな意義となるかもしれない。

 賃料滞納予備軍を減らすためには、相対する現場でのしっかりとした不動産会社からの提案が重要なのだ。