【ご来場感謝です☆神泉 薫・Semaison ことばの庭へ】
秋の風の匂いが、季節の移ろいを感じさせます。
今日はお彼岸、見えぬ人との対話も、柔らかに色づく気が致します。
先日21日に開催されました、「神泉薫・Semaison ことばの庭へ」、ご来場下さった皆さま、ありがとうございました。
ことばの種まきをテーマとした“Semaison” 第2回目の開催は、明治から昭和期に活躍した、歌人・詩人、与謝野晶子の作品と人生をテーマに、晶子の詩、短歌のご紹介や晶子の作品からインスパイアされて書いた私の詩「晶子の螇蚸(ばった)」などを、お送りしました。
ご紹介した晶子の詩や短歌を、以下に書き記してみます。
与謝野寛(鉄幹)との秘めた恋を表現した「恋」「帰途」、『みだれ髪』より、広く知られた短歌の一つ「やわ肌のあつき…」。
文芸誌『青鞜』創刊号に掲載された「山の動く日」、日露戦争に赴いた弟へ向けた詩「君死にたまふことなかれ」。
パリ洋行の思い出を優雅に詠った詩「巴里より葉書の上に」、貧しい暮らしをまっすぐ描いた「冷たい夕飯」。
創作への真摯な思いがあふれる「机に凭りて」「歌はどうして作る」、そして、人間存在の孤独と宇宙の広がりを詠った魅力的な一篇「宇宙と私」。
これらの作品を、晶子の人生の折々を見つめ、年譜をたどりながら、さまざまなエピソードと共にお聴き頂きました。
歴史に残る華やかな作品ばかりではなく、貧しい暮らしをつづった詩「冷たい夕飯」も、人が確かに生きた証として、大切な一篇と感じます。
女性として、ことばを紡ぐ人として、1人の人間として、そのパワフルな人生は、時代を超えて、今を生きる私たちへ、力強いメッセージを授けてくれるような気が致します。
与謝野寛主宰の『明星』についてもお話を。
晶子のデビューを飾った詩誌です。
会の最後には、最近読んだおススメ本を1冊ご紹介しています。
レティシア・コロンバニ著・齋藤可津子訳『三つ編み』(2019/早川書房)。
3人の女性たちが「髪」をキーワードに、それぞれの人生を果敢に切り拓いてゆく物語。
暮らす国や置かれた立場、年齢も境涯も異なる女性たちの人生が、一本の三つ編みのように、力強い意志と化して編み上げられていくストーリー。
晶子の強さ、たくましさにも通じる一冊です。
これからも、詩や文学に親しみ、ことばの存在に心を傾ける時間を、創造していきたいと思います。