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玲子のカルペディエム

家を建てる

2015.01.31 04:21








今週の初めに地鎮祭が執り行われました。
いよいよ自分の家の工事が始まるという実感が湧いてきました。
実家の母屋の隣にゴタゴタと並んでいた数棟の物置を撤去し、更地にしてもらったところに家が建ちます。更地にするまで、物置にこだわる父親との確執に疲れ果てました。ようやくここまで漕ぎ着けたことに感無量です。

一昨年の夏まで住んでいた東京のマンションが売却できたので家を建てることにしたわけですが、その頃までの写真を眺めていると、そこに住んで暮らしていたころのことが遠い昔のような気がします。当時はそこの暮らしに終止符を打って実家に戻ることなど、想像さえできませんでした。今でもときどき、「なぜ自分は東京にいないんだろう」と不思議な気持ちになります。年に何回か、かつて住んでいたエリアに戻る機会がありますが、マンションの建物を見るたびに「うちへ帰って来た」という安心感を覚えてしまい、そこに戻ることはもうないのだという現実が信じられません。

実家にはかつて茅葺き屋根の家が建っていました。
脇にあった納屋を壊して父が自分の家を建て、やがて畑の一部もつぶして大きな家にしました。
祖父が亡くなってから祖母はそちらに移り、住人を失った茅葺き屋根の家は自然にゆっくりと朽ちはじめてしまい、屋根を葺き直すことは現実的な選択ではないと判断した父が取り壊してしまいました。
当時は私も弟もすでに東京で暮らしていて、取り壊しに反対することもなかったように記憶しています。しかし、今ある母屋には実際に暮らした歳月が短いために愛着もなく、今はもうない茅葺き屋根の家のほうに懐かしさがつのります。昔も今も、夢に出てくる故郷は必ずこの茅葺き屋根の家です。
今、こうして故郷に戻って暮らしているのに、まだ茅葺き屋根の家が夢に出て来て、「帰っているのにまだ帰っていない」かのような不思議な感覚にとらわれることもあります。

新しい家を建てて、わずかに残った祖父母の住まいの遺構である現在の離れも壊したら、昔の生活の名残はすべて消えることになります。上記の不思議な感覚はこれからも消えないかもしれないのですが、前へ進むための基盤をしっかりしたものにするためには必要なことです。亡くなった祖父母も賛成してくれることと信じています。

早く暖かい季節が巡ってきて、新しい家で健やかな生活を送ることができますように!
そこをベースに、これからもいろいろなことにチャレンジしていけますように!