初冬に咲く
年の瀬。木々はすっかり葉を落とし、早朝には白い霜も見られる季節です。
寒いのはまったくもって苦手なのですが、毎朝必ずしているのが、どんなに寒くても寝室の窓を開け放つこと。
暗いうちに起床する朝であろうと、やっぱり窓を開けます。新しい一日の空気には、なんだか酸素がたくさん含まれているような気がする。寝ているあいだのモヤモヤが吹き飛んで、良い「気」も取り込むことができそうですし。冬の朝はほかの季節より余計に「よしっ!」という気合いが入ります。
いちばん好きなのは緑の季節ですが、こんな冬でも目を楽しませてくれるが初冬の花々。
サザンカは代表的な冬の花です。
子どものころによく歌った童謡「たきび」の二番の歌詞に「さざんか さざんか 咲いた道 たき火だ たき火だ 落ち葉たき」という一節がありました。サザンカが咲いているのを見ると、この歌のこの歌詞がいつも頭に浮かんでしまいます。わたし的な条件反射です。
ベランダも冬の花でにぎやかです。
今年初めて植えてみた、このシリーズ。バラみたいな咲き方をするのが可愛くて、きれいな色のものばかり買いました。名前をチェックするのを忘れましけど。ご存知の方は教えてください。葉っぱは桜草に似ています。これからますます厳しくなる寒さを乗り越えて、春まで咲いてくれるでしょうか。
このシリーズと一緒に買ったのが、金魚草。
これこそ、厳冬を越すことができるかどうか大心配。顔を近づけると、早春のような甘い香りがかすかにします。
日本は四季がはっきりしている美しい国ですが、冬も夏もこれでもかというほど厳しい。最近は夏の猛暑の厳しさが若干異常な感じになってきましたが。冬がまともも寒いという正常な状況に感謝しなくてはいけないのかも。春まで頑張れ、金魚草。
春まで間違いなく頑張らないだろうと思われるのが、この小菊。
河川敷のゴルフ練習場でミントの苗をもらったとき、自然に混じっていてスクスク育ってしまいました。毎年、秋も深まって寒くなるころに咲き出します。もうそろそろ菊の季節も終わりです。ミントは今年の猛暑に負けて、ついに絶えてしまったのですが、この小菊は強い。水やりを忘れて枯れそうになっても、「あ、ごめん!」とコップ1杯の水をあげるだけで即、復活。しかし、水やりは忘れちゃいけないですよね(^^;
ベランダには、一見、華やかじゃないけど楽しみなものがまだあります。
赤くなるのが待ち遠しい苺。
肥料をしっかり与えてやると、白くて可愛い花をつけます。そしたら、古くなった歯ブラシでそおっと花の真ん中を撫でてやります。ミツバチもチョウチョもやって来ないので、「人工授粉」です。これ、意味もなくやりながらちょっと照れたりする作業(笑)。
そして、今いちばん楽しみなのが、これです。
日に日にふくらんでいく沈丁花のつぼみ。
数年前に両親が実家からお土産に摘んできてくれた沈丁花の花をプランターに挿し木にしたら、40センチ以上も丈が伸び、立派な灌木へと成長してしまいました。もとは亡くなった祖父が晩年、わたしが上京して初めて住んだ大学の女子寮の庭から、管理人さんに頼んで分けてもらった沈丁花の枝を挿し木にし、実家の庭で増やしたものです。それが今、巡り巡って東京のわたしの住まいのベランダでまた咲こうとしています。そうやってつながっていく花の命が、とてもありがたく、美しく、得がたいものに思えます。
ベランダは台風や春先の強風が怖いので、念のために添え木をつけてあります。今年はたくさんつぼみをつけています。年が明けて、もっと寒さが厳しくなるころに、新春のめでたさを告げる甘い香りが楽しめそうです。