10月末のマジックアワー
マジックアワーとはウィキペディアによると「日没後に数十分程体験できる薄明の時間帯である。光源となる太陽が姿を消しているため自然環境としては限りなく影の無い状態が作り出される」ことなのだそうです。
わたしは今の住まいに越してから、数えきれないくらい素晴らしいマジックアワーを見てきました。「見た」というのか、「その中に溶け込む体験をした」というのか。東京の空がこんなに大きく、広く、見事な色に変わって、こっちにぐいぐい迫ってくるとは、ここに越してくるまで知りませんでした。
「毎回ちがう。一秒ごとにちがう」
見事な夕景の写真を撮るたび、その言葉を繰り返したものです。世界一巨大なキャンバスに描かれる名画は、刻々と色を変え、そのたびに別の美しさを見せてくれる。Mother Nature is such a great artist. 何度そうつぶやいたか知れません。
10月最後の土曜日、日が暮れる前から、ステキなマジックアワーの予感がしていました。
南西の空に浮かぶ雲が金色がまばやく輝く日は、たいてい日没後に赤が強く出ます。
赤が強く出るということは、空気中にある程度の湿度がある証拠です。空気中の水分に反射して波長の長い赤がこちらまで届くのです。冬は空気が乾燥するので、富士山や秩父の山並みを眺めるのにはもってこいなのですが、ピンクやオレンジのグラデーションを楽しむなら、ちょうど今ぐらいの季節。
いよいよ日が沈みました。お楽しみはこれからだ!
本当にこんなふうに、太陽が半分に分かれて見える日没でした。
9月に買ったばかりのカメラは、以前のコンパクトデジカメに比べて、はるかに肉眼で見ているのに近い写真を撮ることができて嬉しいです。ただ、やっぱり肉眼を超えるカメラなんてあり得ない。広がり。奥行き。空気感。そういったものを表現しきるには、ものすごく大きな「場」が必要なのでしょう。
この人型の雲があらわれ、そのオレンジの輝きがなかなか撮影できなくて、何度もカメラを調整しました。
でも、そういう作業が楽しかった。カメラに凝る人の気持ちがちょっとわかりました。そっち方向の趣味にははしらないように気をつけねば。
そして、この日の最高傑作がこれ。
ちょっとエロチックな雲の揺らぎと霞みかた。はんなりと浮かぶ富士山のシルエット。
きれいだったなあ。ひとり占めなんて、もったいないでしょ?
そして訪れた、待望のマジックアワー。
このブログには実際の写真を縮小しないとアップできません。
でも、今日は少し大きめのサイズに縮小しました。写真をクリックすると、もうちょっと大きく見ることができます。本当は、もっともっと大きいのです。空いっぱいの、目の前の世界いっぱいの大きさなのです。