竜巻(突風)時の防災・減災
2019.09.23 04:10
日本の国土はいろいろな災害に見舞われる国です。地震においては全世界の国土の0・3%しか無い日本において地震でマグネチュード6以上の地震が2割の確率で起こります。また台風も毎年幾つも日本列島に上陸して被害をもたらします。
今年も台風15号では千葉県・伊豆諸島において甚大な被害をもたらし、また大雨による被害も8月末九州北部、そして17号による被害はこの宮崎県延岡市で竜巻(突風)の被害が発生しています。
延岡市の竜巻は私も現場を見回ってきましたが、予想以上に被害が広範囲に出ていました。竜巻の場合は発生してから通過するコース数キロにて家の瓦やトタンなどを吹き飛ばしていきます。自動車も横転しました。今回は竜巻発生後に雨も降っていましたので、復旧作業が大変だったと思われますが、雨の中電力会社や市の職員、地元の方々が素早い対応をされていました。
十数年前にも延岡で起こった竜巻はJRの電車が脱線しています。このときは家屋の崩壊もあり、死者も出ています。天候は晴天の日に突然竜巻が起きていました。私の所属支部のすぐ近くを通ったとき、急に当たりが暗くなり、突風が吹き、地震のように揺れたのと覚えています。
竜巻とは発達した積乱雲で上昇気流を伴う高速の渦巻きが発生し、それが地上付近にまで伸びたものだとされています。気象庁の定義は「激しい空気の渦巻で、大きな積乱雲の底から漏斗状に雲が垂れ下がり、陸上では巻き上がる 」となっています。また、竜巻は中心付近に向かって風が吹き込む収束性の回転を持ち、帯状、線状に移動します。アメリカの竜巻は規模も大きく、発生率も高く、被害も甚大な場合が多いです。
日本の竜巻
アメリカでは年間平均約 1,247 件(1994 年から 2013年までの平均)の竜巻が発生しているのに対し、日本では約 26 件(2007 年から 2013 年までの平均(海上竜巻を除く))と、アメリカの発生件数の約 50 分の1となっています。日本で発生する竜巻の認識としては「滅多に起こらないまれな災害」ではなく、「発生はまれだが起こりうる災害」と捉えるべきです。起こりうる災害であるものと認識し、積極的に対策を進めるように習慣化する必要があります。
竜巻の発生確認数を月別に見ると、5月に発生数のピークがあるアメリカとは異なり、9月の発生確認数が最も多く。竜巻は台風に伴って発生することがありまる。台風の接近・上陸数自体が秋に多いことや春・秋には低気圧が周期的に移動してくることが多く、低気圧に伴う前線付近で竜巻が発生することがあります。因みに宮崎県は竜巻の発生件数は全国でも多い県で北海道、沖縄、高知についで宮崎と続きます。
竜巻に対しての避難
自宅にいる場合
1階の中央部の部屋で毛布を被って床に伏せて身を守ること。がれきが飛来するため窓を閉めて可能な限り窓辺から離れることが基本です。日本ではシェルター数が少ないですが、海外では建物にいる場合でもシェルターが設置されていれば、シェルター内に移動し、飛来するがれきから身を守ります。プラス毛布を被って頑丈な家具やベンチなどの下に身を隠す事が進められています。
古い住宅や簡易住宅にいる場合は竜巻に対して脆弱な作りで危険なため、直ちに近隣の頑丈な建物に避難することがおすすめです。しかし、日本の場合は発生してからあっという間に通り過ぎるため、事前に竜巻を認識することは難しいように感じました。気象庁などの竜巻注意報を受け止めて、防災・減災の準備を怠らないことです。
・車で移動中又は屋外にいる場合
車で竜巻から逃げ切ろうとするのではなく、直ちに近隣の頑丈な建物に避難することです。野外にいる場合も同じです。竜巻が接近し、近くに避難できる建物がない場合は、車内に留まりシートベルトを着用してコートなどを被って窓より下に身を隠すことです。屋外の溝などに身を隠すことも他の方法としてはあるようですが、竜巻に対する保護効果はあまり期待できないようです。橋や高架下への避難はかえって危険です。それより低く平坦な場所の方が比較的安全です。飛来物による被害も多いため、飛来物・瓦礫について十分に注意することが必要です。
竜巻は突然発生するので事前に避難する時間がないのが普通です。竜巻(突風)警報等が出たら備える習慣をつけることが大切です。