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SYM JAPAN

#奄美感想文 No.5「神の業」

2019.10.08 23:00

 毎年夏に行われるSYM夏合宿では、合宿終了後、参加した青年に感想文を書いていただき、それらを文集にして、お世話になった方々へお送りしています。

 今年2019年も、8月23日(金)~27日(月)の4泊5日で「SYM夏合宿2019 in 奄美大島」を開催し、感想文集をつくりました。合宿に参加した青年たちが受けた恵みをより多くの人と分かち合うべく、感想文のいくつかを、1つずつ分かち合っていきたいと思いますので、ぜひご覧ください。

※WEB上での公開にあたって、本人の希望によりペンネームを使用する場合があります。


人の目には不思議なこと


えん(25歳女性・社会人)


 「人が想像する範囲のことはすべて現実に起こりうる」。私の頭の中心には、常にこの思考がドンと座っている。おかげさまで、たいていのことに驚きがなく、悲しいかな感動も少ないのが常だ。それでも、そんな私であっても、まったくの思いもよらず、心を動かされる時がある。喜瀬教会でのサトさんとの出会い、そして過ごした時間が、私にとってまさにその時だった。

 徒歩巡礼の1日目、少し遅れを取りながらも、灼熱の太陽の下、一所懸命に歩みを進めて喜瀬教会に辿り着くと、真っ白なみ心のイエス像と、サトさんお一人が私たちを待っていてくれた。ここで、誰かに会う予定はなかったので、少し驚いていた。「やっぱり島の人は温かいな~」などと思いながらお話を聞いていると、「若い人たちがわざわざ来てくれるのに、このままじゃ恥ずかしいと思ってね、ここを片付けたり、ご像を塗り直したりして」と。……今、なんて? ご像を塗り直しただって? 聞けば、喜瀬教会は今は機能しておらず手付かずの状態だったところ、私たちが6月の頭に送った奄美巡礼のポスターを見て、人が来てくれるのだからとご家族ともう一人の信徒さんと協力して聖堂の中を片付け、掃除をして、そして煤で黒く汚れていたご像をも、白いペンキで塗り直し、きれいにしたのだと言う。「日本人はやっぱり恥の文化だなと思いましたよ」と、サトさんは言っていた。聖堂の壁には、奄美のさまざまな顔が切り取られた写真(サトさん撮影)がしゃんと飾られ、塗り直され美しくなったご像の写真もポストカードにして一人ひとりにプレゼントしてくださった。さらに用意された紅白のドラゴンフルーツと、自家製の梅ジュースに心と体を癒やされながら、「こんなことがあるのか?ありえるのか?」と、とても信じられない気持ちでいた。皆でロザリオを1連祈った後、サトさんが大好きな歌をプレゼントしてくれた。私たちもお礼に、一緒に歌をうたった。こんなふうに、祈りの言葉や歌声が聖堂いっぱいに響いたのはいつの日か、と考えたりもした。「共に祈れてよかった」「ポスター作ってよかった」「悩んだけど、ここへ来てよかった」と、いろいろな思いが込みあがって、心がジーンとした。このとき、私は長い長い感動のうちにいたと思う。

 東京へ戻る飛行機の中で、島の余韻に浸りながら、予想外のことばかりだったなと考えていて、ふと気づいた。「そうか、これが神さまの業なのか」。それは、幸せな発見だった! 私の頭の中心にある「人が想像する範囲のことはすべて起こりうる」という考えの上に、「人が想像することのできない恵みをもたらすのが、神の業である」という思考が覆いかぶさったのだった。

 「これは、主がなさったことで、わたしたちの目には不思議に見える」(マタイによる福音書21章42節)。サトさんをはじめ、奄美大島の方々が私たちにしてくださった、すべてのことに感謝して!


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