美しさのまとい方 習慣性便秘
【習慣性便秘】
便秘とは、一概に毎日便の出ないことではない。
3日以上排便のないこと。あるいは、毎日排便できていても便が硬く、残便感がある場合。またそれが1~2ヵ月以上続く場合を、臨床的には便秘とよんでいる。この中で、直腸肛門奇形や器質的閉塞のないものを習慣性便秘という。
思春期は、習慣性便秘としての小児期の便秘が遷延したものと、体形を気にする食生活の影響などによって発症してきた場合などが多い。
成熟期から更年期にかけては、ストレスが関連する場合が多い。
老年期は、骨盤底筋群の筋力が弱まり、消化機能の衰えが影響する場合が多い。
どのライフステージであっても、排便は、食事・身体活動・睡眠などの生活習慣やストレスなどの影響を受ける。
排便異常や腹部不快感などを主症状とする機能性便通異常者は、一般人口の10%程度を占め、男性よりも女性の発症頻度が高い。男性よりも女性の方がストレスを感じている者の割合が多く、成人の約半数が何らかのストレスを抱えている可能性がある。
近年、排便と密接な関わりがある腸管機能や腸内細菌、ストレスとの関係が明らかにされつつある。心理的・社会的影響も大きく、下剤を使えばよいという単純な病態ではない。便秘と下剤を繰り返すという場合も多い。
【習慣性便秘の漢方治療】
便秘は主観的な訴えによる個人差が大きく、個別化医療である漢方のよい適応である。
<腸内の潤い不足>
♦大承気湯(だいじょうきとう)・・・強い便秘、口渇、心下圧痛、膨満感が強い、煩躁、高血圧、神経症、肥満体質
♦三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)・・・赤ら顔、目の充血、鼻血、胸・心窩部のつかえ、腹壁の緊張、痔出血、高血圧の随伴症状(のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭重、不眠、不安)、更年期障害、イライラ、痔出血
♦防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)・・・じんましん・湿疹、大食肥満、中年肥満、腹部の皮下脂肪、高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、むくみ
<心身のストレス・運動不足>
♦大柴胡湯(だいさいことう)・・・比較的体力のある人の便秘、のぼせ、耳鳴り、肩こり、みぞおちの張り、胸脇苦満、胃酸過多症、食欲不振、肝機能障害、高血圧症、糖尿病、抑うつ感、怒りっぽい、不眠
♦大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)・・・嘔気、嘔吐、食欲不振、胃痛、心下部急迫症
♦桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)・・・比較的体力のない人の便秘、腹部膨満、腸内停滞感、腹痛、しぶり腹、急性腸炎、大腸カタル
<胃腸機能の低下>
♦麻子仁丸(ましにんがん)・・・老人や虚弱者の弛緩性便秘、虚弱体質、口渇、皮膚乾燥、多汗、腹壁軟弱、尿意頻数
♦潤腸湯(じゅんちょうとう)・・・やや体力が低下した者の弛緩性便秘、虚弱体質、皮膚乾燥、顔色が黄色くツヤがない、腹壁軟弱、腸内の潤い不足 ※麻子仁丸より大便密結の程度が軽症
♦桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)・・・痙攣性便秘、腹部の冷え、腹部膨満感、しぶり腹、腹痛
♦小建中湯(しょうけんちゅうとう)・・・胃腸の虚弱児の便秘、疲労倦怠、動悸、腹部の冷え、腹部軟弱、腹痛、手足のほてり、冷え、頻尿、多尿、小児夜尿症、夜なき、神経質
♦八味地黄丸(はちみぢおうがん)・・・著しい疲労・倦怠感、耳鳴り、口渇、下腹部の中央部軟弱、手足に交互的に冷感と熱感、排尿障害、腰痛、坐骨神経痛、高血圧、糖尿病
<血行障害>
♦桃核承気湯(とうかくじょうきとう)・・・体力が充実した者の便秘、頭痛、のぼせ、めまい、顔色が赤黒い、にきび、吹き出物、肩こり、腰痛、左下腹部に著名な圧痛、下腹部硬満、月経不順、月経困難、月経時や産後の精神不安、不眠
♦通導散(つうどうさん)・・・比較的体力のある者の便秘、頭痛、頭重、のぼせ、めまい、耳鳴り、顔色が赤黒い、シミ、アザ、肩こり、動悸、下腹部圧痛、腰痛、月経不順、月経痛、更年期障害、やや肥満体質
♦桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)・・・しっかりした体格の者の便秘、頭痛、赤ら顔、肩こり、腹部圧痛、下腹部に抵抗痛、腰痛、子宮内膜炎、月経不順、月経困難、更年期障害、冷えのぼせ、打撲症、痔疾患
♦加味逍遥散(かみしょうようさん)・・・体質虚弱な女性の便秘、疲れやすい、肩こり、軽度の胸脇苦満、腹壁軟弱、下腹部に軽い抵抗圧痛、月経不順、月計困難、更年期障害、肝機能障害、精神不安、イライラ、不眠
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