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退屈と惰性と 改

ギガンティックアームズ ルシファーズウイング レビュー

2019.09.29 08:35

 今回のレビューは、ノンスケール M.S.G.(モデリングサポートグッズ) より、
“ギガンティックアームズ 07 ルシファーズウイング” です。


 フレームアームズ・ガール(以下、FAG)などの搭乗、合体といった連携を前提にしたM.S.G.の大型アイテム、ギガンティックアームズにFAG スティレットの対応機種、
“ルシファーズウイング” が
登場しました・・3ヶ月も前に(笑)。


 そんなわけで、6月に発売されたルシファーズウイングをようやく購入、製作できました。

 予定では、すでにレビュー済みのFAG スティレットXF-3の発売までに作って待機させておこうと思っていたんですが、なんやかんやあって順番が入れ替わってしまいました。

 まぁぶっちゃけ、なかなか値下がりしないので手が出せずにいただけなんですが(笑)。

 結局、XF-3を組んだあとに我慢できなくなったので購入しました。実質25%offくらいで買えたので、上々かな、と思います。


 さて、まずはルシファーズウイングの概要ですが、先日レビューしたオーダークレイドルが基本単体仕様(現在開催中の全国模型ホビーショーにて手脚となる拡張アイテムが発表されましたが)だったのに対し、こちらは第1弾パワードガーディアン、第2弾アームドブレイカーと同じく、2体のマシンが合体して大型のマシンになるという仕様を引き継いでいます。

 前の2アイテムはそれぞれ成型色を変更した分離形態単体でも発売されましたが、今回はルシファーズウイングとして2体セットのみでの発売。

 ただ、カタログなどに載っている商品コード(?)は、ルシファーズウイングがGA07、オーダークレイドルがGA10となっているので、当初はルシファーズウイングも分離形態単体での発売予定があったのかもしれません。

 なお、そのへんの事情のためかオーダークレイドルにはシリーズナンバーが打たれていません(レビュー時には思い込みから08とナンバーを入れていましたが、後に訂正しました)。

 なににせよ、高額アイテムの多いギガンティックアームズでもこのルシファーズウイングが現時点での最高額となっています。


 では、レビューしていきます。

 キットは素組みに一部塗装での仕上げです。



 まずはそれぞれの分離形態から

ハーピー型

ビーストモード

 純白の装甲の要所に入るクリアイエローとクリアブルーが美しい、今回の空担当。

 まぁ、アームドブレイカーはどっちも陸でしたが。

 パワードガーディアンやアームドブレイカーには分離形態にもそれぞれ固有名がありましたが、今回は単品販売が見送られたせいもあるのか、単にモチーフで区別するだけです。

 ハーピーといえば人間の女性の上半身に鳥の翼と下半身、というイメージですが、メカなのでイマイチそういった雰囲気はありません。

 むしろこの形態では頭部がクチバシ型のバイザーで覆われているので、普通に鳥型に見えます。とりあえずファンタジーネタで統一したかったのはわかるけれども・・

 本体はヘキサギアのような感じで、多数のフレームパーツを組んで骨格を作ったところに外装を着せていって完成させるスタイル。

 この型単体でも標準サイズのヘキサギアをはるかに超えるサイズになっており、表面積だけならアグニレイジやウインドフォールすら凌ぐほど。

 主翼に多数取り付けられた羽根パーツ(フェザーユニット)はそれぞれが独立して可動、さらにクリアブルーのブレードパーツがスライド展開(先端部も)します。

 この羽根パーツ、大小2種類あるんですが、左右合わせて大きいほうが6枚(ランナー都合でもう2枚余分に組めます)、小さいほうが16枚もあります。

 この、同じパーツをひたすら組むという作業が、まずなかなかの苦行でした(笑)。


 外装を外しておおよそフレームのみにした状態がこちら。

 なんか、つい最近よく似たシルエットでサイズをグッと小さくしたものを見た記憶が・・(笑)

 

ヒューマノイドモード

 今回は分離形態でもそれぞれ人型への変形ギミックを備えています。

 まぁ、変形というか組み換えですが。

 ハーピー型ではビーストモードの翼を脚部に、脚部を腕部にそれぞれ入れ換えます。もちろんほかにも細かい組み換えはありますが、ざっくりと言えばそれだけ。

 細身なので、ビーストモード時よりは幾分女性的に見えなくもないです。しかし全高は並のFAをはるかに上回るので、存在感はかなりのもの。

 そのタッパにして細過ぎる脚に不安が過ぎりますが、ご覧のように自立は可能。意外とそれなりのポージングでもバランスを保ってくれます。

 頭部はクチバシ型バイザーを後頭部に回すことでフェイスが露出。顔付きはちょっとULTRAMANに似てる気がする。

 画像ではほとんど映っていませんが、目の部分だけ色分けされていないので、指定通りゴールドで塗装しています。

 羽根パーツは腕部と脚部に位置を変えて取り付けますが、小さいほうが6つ余ります。脚は両側に付ければいいのに・・

 ハンドパーツは1種のみ(ビーストモードのクローは付けたまま)ですが、穴の空いた武器持ち手になっているので、各種M.S.G.などを持たせることができます。


ユニコーン型

ビーストモード

 陸担当。
 モチーフとしてのハーピー型というのは若干疑問でしたが、こちらはカラーリング含めてユニコーンのイメージにぴったりです。

 僕は、馬モチーフのメカの立体物で格好いいものをほとんど見た覚えがないんですが、これはわりといいセンいってる気がします。

 できれば角もクリアパーツにしてほしかったけど、強度的な問題があったのかなぁ?

 ハーピー型と同様にかなりボリューミーなことになっていますが、翼のような派手な記号がないので、相方よりは多少大人しい印象。

 FAGなどの騎乗前提で手綱(モーショントレイサー)や鞍、鐙(スターラップ)が取り付けられていますが、単体で楽しむぶんには外してしまうのもいいでしょう。

 なお、手綱と鐙のロープ部分は軟質パーツになっています。


 フレームのみにした状態がこちら。

 基礎となるパーツはハーピー型と共通で、それぞれに専用パーツを追加する仕様になっています。

 ご覧になればおわかりの通り、ビーストモードのボディ部分はほぼ張りぼてです。

 四肢の基部となるフレーム部分にもとくにロック機構などはないため、これはハーピー型もそうですが、いずれ劣化して形状や姿勢を保てなくなる可能性が高いです。

 コトブキヤの大型キットには常について回る問題ですね。


ヒューマノイドモード

 こちらも人型に変形。

 ハーピー型がほぼ手脚の位置を入れ換えるくらいだったのに較べ、こちらはけっこうなところまでバラして組み直す必要があり、なかなかに面倒。

 それほどに苦労して組み換えた結果・・細身ながら普通に人型に目えたハーピー型とは対照的に、こちらは太ましいというか、一歩間違えれば異形ともとられそうな独特のシルエットになってしまっています。もう少しスマートにできなかったかなぁ?

 ただ実際には、前掛けをしてスカートを履いたような奇抜な外装配置がそう見えるだけで、本体フレームはほぼ共通なので細身であることには違いないわけですが。

 ただその歪なバランスのせいで自立はかなり困難。一応ビーストモードの蹄から踵と爪先が展開する仕組みはなっているんですが、それでも設定面積が狭過ぎます。

 ビーストモードの下顎部分を開くことでフェイスが露出。こちらも目に当たる部分が色分けされていないのでゴールドで塗装しています。

 ほかの部分はちゃんとパーツで色分けできてるのに、なんでここだけサボったんだろう?

 ハンドパーツは1種のみ。ただ、なぜかこちらは平手になっているので、余所から武器を借りてきて持たせたりはできません。槍とか盾とか持たせれば似合いそうな雰囲気はあるんですけどね。

 まぁ、接続部が3㎜なので、ハンドパーツごと借りてくれば万事オッケーです。ワイルドハンドとかが合うかな。


ケンタウロスモード

 ユニコーン型のビーストモードとFAGなどを組み合わせた公式バリエーションです。

 ユニコーン型のビーストモードから首とお腹の中身(腹部外装の固定と隙間を埋めるためのパーツ)を取り外し、できた空間にFAGの脚部を通し、鞍パーツを展開したジョイントアームを背面に取り付けて固定します。

 ルシファーズウイング公式対応FAGはスティレットですが、ルシファーズウイングの発売が6月、スティレットの事実上のVer.2であるXF-3が8月発売のため、マニュアル等の公式画像では旧版が使われていますが、もちろんXF-3にも対応しています。というか、おおよそすべてのFAGやメガミ、そしてFAでもほぼ同様の感覚で組み合わせることが可能です。

 ただ、このケンタウロスモードについては脚部の収納に限界があるので対応アイテムは限られるかと。例えば轟雷はそのままだと脚が入りません。


ルシファーズウイング

 ようやくの真打ち登場、ということで、ハーピー型とユニコーン型を合体させた大型パワードスーツモードです。

 ユニコーン型のヒューマノイドモードをベースに、ハーピー型のビーストモードを被せたようなイメージですが、実際にかなり複雑に各パーツをバラして組み換える必要があります。ハーピー型とユニコーン型、それぞれのすべてのパーツを使うわけではありませんが、ほぼ2体分のボリュームは圧巻。

 ハーピー型の翼が肩アーマーとなり、翼の先端と通常の腕部とで4本腕のように見えるのは面白いですね。

 一方で、脚部はユニコーン型ヒューマノイドモードのまま。ハーピー型の体幹フレームとユニコーン型の頭部を組み合わせた尻尾を加えた3点で支えることでなんとか自立は可能ですが、それでもかなり不安定です。

 また、腕部一組がとくに機能もなさそうな状態で脚部の後ろに下がっているだけというのも、少しもったいない気がします。

 全体的にまとまったデザインとは言いがたい・・というのが正直な感想です。その点ではアームドブレイカーには勝てなかった印象ですね。

 

 それぞれの間接強度は(現時点では)決して弱くはないんですが、やはりもっとも重量のかかる脚部はふとしたきっかけで曲がってしまうこともあるので、ただ立たせておくだけでも汎用スタンドなどの補助はあったほうが無難でしょうね。


 スティレットを乗せて、武器を持たせて。

  うん、やっぱり誰か乗せてたほうがしっくりきますね。

  搭乗方法は、胸部固定用パーツの軸を乗せたいキャラの背部ハードポイントに差し込むだけ。手綱や鐙に関してはご自由に

 コトブキヤのこのテの搭乗ギミックのなかではかなり簡単です。それだけでも十分評価に値します。

 軸は上下にスライドするため、キャラの体格に合わせて微調整が可能です。さすがにいろいろ干渉するのでFAGやメガミならば素体に近い状態でないと乗せられません。髪形に特徴のあるキャラもちょっと乗せにくいのはいつものこと。

 公式FAGのスティレットについては、接続ジョイントに角度の付いた新規ツインテールが付属しますが、今回はツインテールの根元に可動部が追加されたFX-3に乗ってもらっているので使用していません。

 専用武器のギガスラッシュエッジはハーピー型の尾羽を変形させ、柄を付け足したもの。M.S.G.メガスラッシュエッジの発展型という設定と思われます。


比較画像

 公式対応FAG、スティレット(XF-3)を挟んでビーストモードで。

 あらためてそのでかさを実感。

 この構図だとハーピー型の翼のインパクトが際立ちますが、ユニコーン型も奥行きがあり、総合的なボリュームは実はユニコーン型のほうが勝っているんですね。

 スティレットに退場してもらって、今度はヒューマノイドモードで。

 こうなるとはっきりとユニコーン型のほうが大きいですね。

 でも実はこれ、ユニコーン型は体幹のフレームパーツを1個使っていません。ハーピー型は2個直列に繋いでいるんですが、ユニコーン型はその半分。つまり、胴体は短くて脚が異様に長く、頭もでかい、という妙な体型なんです。やっぱ異形だな。

 まぁ、体幹のフレームを1個にしたのは、ルシファーズウイング時との体格差を演出する必要もあったためで、結果的にこうなったというだけかもしれません。


以下、画像

 まずはハーピー型単体で。

 ビースト、ヒューマノイド両モードでよく動きます。

 腕や脚の基部となる部分も複数のフレームパーツの集合体なので、それらも含めた可動範囲はかなり広いです。まぁ、その分強度や保持力への不安もあるわけですが。

 ハーピー型ではとくに多数の羽根パーツにそれぞれ独自に表情を付けられるので、ハッタリの利いた派手なポージングが可能です。

 唯一残念なのはヒューマノイドモード時の頭部。後ろに回したクチバシ型バイザーが干渉するため、あまり自由に動かせず、目線が決まりません。


続いてユニコーン型単体で。

 こちらはハーピー型と違って可動面で優れているとはいいにくい状況です。

 ビーストモードでは、背骨となるメインフレームが腹部外装で固定されるため、例えばヘキサギアやHMMでは定番の胸部や腹部、腰部の分割可動はありません。動くのは首から上と四肢のみとなります。

 四肢の可動に関しては、前脚はかなり雰囲気が出ていますが、後脚がなぁ・・これ脛(パッと見膝間接に見える部分)がもう少し長ければよかったんですけど。

 一方のヒューマノイドモードですが、これはもうかなり特殊な構造になっているので可動にはほとんど期待できません・・というか、破損が怖くてあまり動かしたくありません。

 下半身はとにかく外装が干渉しまくります。一応、それぞれはジョイントアームでの接続なので、ある程度逃がしてやることはできるんですが、そもそもの接続位置がこれまた独特なので、ちょっと動かすだけでもシルエットが破綻してしまうので気が進みません。

 頭部もこれまたほぼ固定みたいな感じですし、気兼ねなく満足に動かせるには腕くらい?

 その腕にしてもハンドパーツが平手・・それも指を真っ直ぐ伸ばしたなんの表情もない平手なので様になりません。

 むしろハーピー型に平手でこっちに武器持ち手だろう、と。


 スティレット XF-3と絡めていくつか。

 パワードガーディアンに轟雷、アームドブレイカーにバーゼラルド、オーダークレイドルにアーキテクトという組み合わせはそれぞれしっくりくるんですが、このルシファーズウイングにスティレットの組み合わせだけは正直ピンときません。

 カラーリングもとくに合わせているわけでもないし、航空機的なイメージの強いスティレットに何故ファンタジーモチーフを絡ませようとしたのか・・

 まぁ、そこはあくまで公式の推奨というだけのことですから、各ユーザーが自由に絡ませるキャラ、キットを選べばいいと思います。


 ルシファーズウイング(スティレット搭乗状態)で。

 可動性能は決して悪くないんですが、ユニコーン型のヒューマノイドモード以上に動かすのが怖いです(笑)。

 どう考えてもこのサイズ、重量に対して脚が細過ぎます。尻尾での支えも決してアテにはできないので、ポージングのたびにヒヤヒヤです。

 地味に怖いのが、羽根パーツのブレード。非常に鋭いのであわやのときに破損が心配なのと、ときどき手に刺さります(笑)。いやマジで。これがけっこう痛い。

 翼を拡げた状態は、さすが堕天使の翼を名乗るだけのことはありますけどね。

 上半身と下半身は専用のアタッチメントパーツで接続するのですが、そこも案外外れやすいので注意です。

 そんなわけで、下半身をパージした状態で(笑)。グライダーみたいでしっかり成立してます。

 下半身だけでもなにかかたちにならないかいろいろ試してみましたが、ギブアップしました(笑)。

 ハーピー型の背面パーツ(ヒューマノイドモードでは前腕に装備)はブレード付きのハンドガン、ユニコーンモードの胸部装甲はシールドとしてそれぞれFAGなどに持たせることもできます。

 

 以上、“ギガンティックアームズ ルシファーズウイング” でした。


 その名の通り、大型アイテムが居並ぶギガンティックアームズのなかでも現状最大となるだけのことはある、圧倒的なボリュームと相応の扱いにくさ(笑)を誇るキットでした。

 いやまぁ、わかってはいたけれども・・組み換え前提でガシガシ動かすキットなのに、ここまで気を遣わないといけないのはどうなのか?

 FAG等の搭乗時にはさほどストレスを感じずに済んだのはよかったんですが。

 とりあえず合体状態での脚部はもっと太くして、問題なく自立できるようにしてほしいです。

 あと、パーツが鋭過ぎる(笑)。剣一振り、角1本とかならいいんですけど、これだけ密集してたらもう凶器です。
 結局、分離状態のビーストモードが1番デザインとしてもまとまってますし、FAGやメガミと絡ませるのにもちょうどいいサイズ、モチーフになっているので、おそらく僕個人は今後単体ビーストモード以外で遊ぶことはないかと思います(笑)。


オマケ

 ユニコーン型のビーストモードにハーピー型の翼を付け、カラー的にもモチーフ的にも1番似合うと思うメガミデバイス BULLET KNIGHTS ランサーを乗せてみました。

 イメージはファイアーエムブレムのペガサスナイト。

 髪色的にエストかな? さすがに3姉妹を再現できる経済力は僕にはありませんが・・(笑) 

 といったところで、今回は終了。

 またのご訪問を。