所得捕捉率について
こんにちは。ご質問、ありがとうございます。
所得捕捉率というのは、「税務署がどれだけ国民の所得を把握しているか」という割合になります。これが、職種によって違うので「クロヨン」や「トーゴーサン」という言葉が生まれてくる訳ですね。
なんで職種によって税務署の把握している割合が違うの??という話ですが、それを理解するには、まずは日本の納税方法から見ていきましょう。
基本的に、日本の税制度(直接税)は、申告制です。例えば、所得税などを見てみると、
「私の今年の所得は〇〇円でしたので、〇〇円納税します。」
という申告をします。これが、「確定申告」です。2月くらいにCMでやってますよね?
この申告制というのが、所得捕捉率の差を生み出すのです。
基本的に会社員(サラリーマン)は確定申告を行わず、会社がその代行を行います。会社は「この人には〇〇円を給与として支払いましたよ」などと税務署に申告する訳ですが、当然正直に申告します。法令遵守(コンプライアンス)は企業のCSRの一つですもんね。
そして、会社員はほとんど副業を持っていません(少なくとも、今まではそうでした)。なので、所得は会社の給与所得のみです。
ということは、所得の全額(少なく見積もっても9割)を税務署に把握されている訳ですね。
ところが、これが自営業者になってくるとどうでしょう?
自営業者は会社に属してはいないので、自分で確定申告を行わなくてはいけません。もちろん、嘘をつくことはいけませんが、ある程度自分に都合よく書類を操作できるのも事実です。
ここで、一番操作しやすいのが、「経費」です。
所得=売上ー経費(売上を得るのにかかったお金) です。
つまり、いくら売上がよくても、経費を莫大に計上することで、いくらでも所得を減らすことができます。
例えば、
プライベートでも使う自転車を、仕事で使うものとして「消耗品費」として経費計上する。
友達との食事会に取引先の人が混ざっていれば、「交際費」として経費計上する。
などということが考えられます。
なので、個人事業主は「これホンマに仕事か?」っていうことまで経費計上できちゃうんですよね。悪く言えば、「ごまかしが効く」ってことです。
ごまかしが効くなら、ごまかす人も多くなってきます。なので、税務署がどの程度個人事業主の所得を把握できているか?というと、大体6割(5割)ぐらいかな、と言われています。
で、一番ひどいのが農家です。
農家は個人事業主のような経費計上ができる上に、作った野菜を「これは自家消費分です!」といって売り、お金を儲けることができます。(本当はダメなことですが)
ということで、税務署がどの程度農家の所得を把握できているか?というと、大体4割(3割)ぐらいかな、と言われています。
ここから、クロヨン(サラリーマンの所得捕捉率9割:個人事業主6割:農家4割)とかトーゴーサン(サラリーマンの所得捕捉率10割:個人事業主5割:農家3割)とか言う言葉が生まれてくるのですね。
なので、本来同じ金額の所得があるハズの人達でも、様々な「ごまかし」によって税務署の把握率(捕捉率)が違ってくるのです。税務署の捕捉率が違うということは、納めなければいけない税金の額も変わってきますよね?
ここから言われてくるのが、「水平的平等」という概念です。
全体としては、こんな感じですかね。もし「ここを突っ込んで教えて欲しい」みたいなのがあれば、またご質問ください。
よろしくお願いします。