インディオの使徒4-摂政シスネロスへの嘆願
2019.10.01 01:58
新大陸では、回心したラス・カサスがいくら説教で言っても、当然のことながらスペイン人が回心するはずがなかった。そこで彼は国王に直接訴えようと帰国を考える。現地のドミニコ会士やフランシスコ会士の支援を得て、1515年10月、帰国。先に植民者を批判する説教をしたモンテシーノスの紹介で国王に謁見することができた。
当時の国王は狂女ファナだったが実質国王はフェルナンド2世、しかし彼も余命いくばくもなく、宮廷は植民地から莫大な利益を得ている者達が牛耳っていた。翌16年フェルナンド2世が崩御し、トレド大司教シスネロス一時的摂政となった。シスネロスは真面目な改革派で、ラス・カサスに耳を傾け、改善策を諮問した。
3月、ラス・カサスはモンテシーノスと当代一の法学者フアン・ロペスの協力を得て、14の改善策を作成した。この中では先住民の強制労働を禁止し、先住民の村を再建して、スペイン人の村と共存させることが記された。シスネロスは、利益を得ていた者を抜いた審議会を開催し、修道士3名を調査のために派遣することを決めた。
この人選と監察がラス・カサスに任され、12月に彼らとラス・カサスはハイチに到着したが、本国では利益取得者が反対運動を展開、アメリカでも先住民を取り上げれば反乱を起こすと脅し、現地修道士も、先住民だけで何もできないと言ったため、彼らは改善を棚上げしてしまった。
下は解放されたキリスト教奴隷を祝福するシスネロス