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『(三人連れ) HONらんだむうぉーく♫』-5-本日10/4映画公開!「ヒキタさん!ご懐妊ですよ」

2019.10.01 06:32

ヒキタさん!ご懐妊ですよ(光文社文庫)

ヒキタ クニオ

2019.5.14発売


10月4日公開の同名映画で話題の一冊。(表紙が映画オシしてますね~ありがちw)

 作家ヒキタ クニオ(中年男、映画では49才になってるけど、本では45才です)の妊活ドキュメント

産科に関わっている者として、不妊の話題は避けて通れない…っていうより避けちゃダメなので、こういう本などは好んで読んでます。


本の中、つまり実際のヒキタさんはロックな強面のオヤジ。(デビュー作は「凶気の桜」、窪塚洋介主演で映画化。ヤクザさんやゲイさんを描くことが多い)

一方、映画キャストの松重さんは服装などやや大人しめに演出されている印象ですね。 

なるほど、ロックなコワモテだとビジュアルの熱圧高すぎてストーリーに集中できないかも(笑)

不妊治療には戸惑いや羞恥心や、重圧や落胆や、、、圧し掛かるものがたくさんありますからね。

活字の本ではほとんど気になりませんから、字面と画面、それぞれが語り出すものの違いを感じちゃいました。

才女のヒキタ妻役には北川景子を起用。ナイスキャスティングな夫婦かも。


さて本書の主題である不妊治療って、プライベートなこと過ぎて今まであまり世間に知られていなかったですよね。

「不妊には男性因子もかなりの確率でありますよ」とか、

「高齢になると精子の数が減ったり、奇形率上がったり、運動能力落ちるよ」とか…、

本作品はそういう産科の常識や妊娠・出産の現実を、ウェットでなくどこか軽ろみを持たせて面白く世間にアピールしてくれており、助産師としてまず嬉しい(良き良き^-^)。

不妊治療は女性に多大な負担があること。それを夫目線でしっかり書いてくれています。


ネタバレ(もう題名が既にです)すると、最後はハッピーエンドです。

でも、現実は授からないカップルも多い。

本には、不妊治療に途轍もなくお金がかかることも切々と書いてあります。


子供を授かりたい思いと金銭的な負担、当事者にとってはどちらも大きい。身体的負担も大きいけれど、今では治療法はものすごく進歩しています。

少子高齢化の日本で、そこに国がどれだけ援助できるのか、するべきか。

負担の大きい不妊治療の悩ましい問題を、少しでも軽くできることを願うばかりなんだけど、、、


同時にまた一方で、産科医療従事者として(誤解を恐れずに言うと)、やはり妊娠出産はあまり高齢になってからはおすすめ出来ないかなぁ…という思いもあるんですね。

29才なら徹夜が平気でも39才になったらツライ、とか、健康診断でBやCをもらっちゃう項目も出てきたりしますから。

妊婦は体に大きな負担がかかるし、子育ても体力要るし。現実には軽視できない‘適期’ってあるんですよね。

不妊治療ももちろん早くからはじめた方がいいんだけど、若い頃には思いが伴わなかったり、お金の余裕がなかったり、と適期を過ぎるケースも少なくない。

時期というのもまた悩ましい問題なんですよね。


こんな色々を改めて思った本作品。

強面な著者ヒキタさんのピュアさが出ていた記事があったのでご紹介しますね。

「子どもが出来ない、という理不尽な思い。それを乗り越えるのは、身体合わせではなく、夫婦の心合わせでした|ヒキタ クニオさん」(不妊情報ポータル)


“心合わせ” って何かいいなぁ。(コワモテがちょっと可愛らしく見えてきた 笑)

不寛容な世の中だもの、不妊治療や夫婦に限らず、相手を思いやることがハッピーのもとかもしれないですね。

もしかしたら、職場の同僚や部下、周りには人知れずな悩みを抱えている人もいるかも。

本書を読んで、そんな悩みを理解する人が増えるといいな。


先日結婚会見した城島リーダー、築49年ですって言ってましたが、奥様と子供のためにも “心合わせ” て是非とも健康で長生きしてほしいですね。 

ミーハー山崎

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