声を出して 31
「ゴメンね、ハニちゃん。この子ったら幼稚園でも先生の胸を触るの。」
「だって、ママよりもオッパイ大きい人はいないも。」
ボラとそっくりな顔で、ボラが男の子だと思っていたら女の子だったから、この子は女の子?
え?
このジウンという名前の子・・幼稚園と言っていたよね?
「紹介するね、おじさん。ジオン!ジオンちょっと来てくれる?」
「ジオンって?」
「私の旦那・・・大学一年の時に入籍をしたの。」
ハニもスンジョも自分たちは早い結婚だと思っていたら、ハニの幼馴染は大学一年の時に入籍をしていたのだった。 「随分早い入籍だったのですね。」
スンジョも余程驚いたのか、珍しくハニが聞くよりも早く訪ねた。
「親元を離れて何の規制も無くなったからって言うわけじゃないけど、同じ大学の卒業生でね、私の行きつけのカフェのバイト君だったの。」
美人なボラの旦那さんでカフェに勤めていたのなら、きっと格好いい人だろうと、ハニは思っていた。
それでもスンジョには叶う人はいないと自信を持っていた。
「ボラ・・・・・」
トレイに三人が頼んだ飲み物を乗せて、ボラの夫のジオンが店に出て来た。
人柄が良さそうで、朗らかな笑顔で、怒ったことなどないようなクマのぬいぐるみみたいな男性だった。
ギドンは去年来た時に会ったから【久しぶり】と挨拶をして、ジウンも懐いているのかギドンの膝の上にチョコンと乗った。
「ボラの旦那さん?」
「ええ・・まぁ・・・・」
少し照れた顔が誰かに似ていた。
「スンジョ君のお父さんに似ている。ジウンちゃんもママに似てるし、いい家族ね。」
美人な妻と妻とよく似た可愛い顔の娘に人の良さそうな夫。
スンジョ君は男の子だったから、子供の性別が違うけど・・・・
「大学に入って直ぐに妊娠してね・・・・・」
「え!え~~~~~!!」
「ハニちゃん、そんなに驚かないでよ。大変だったの、父さんに勘当だと言われるし、母さんは泣くし・・・ばあちゃんは引きこもりになるし・・・・ジウンが産まれたら、息子が欲しかった父さんはジジ馬鹿になるし・・・・」
「息子って・・・・ジウンは、女の子じゃないの?」
「男の子よ。よく女の子と間違われるの。髪の毛も切らせないから、肩まで伸びているし・・・いっその事、女の子の服を着せようかと思った事もあったわ。」
ハニは即効でスンジョの顔を見ると、眉間にしわを寄せてコーヒーを一口飲んだ。
「親の遊び半分な気持ちで、女の子の服を着せない方がいい。」
「なんだか、実感がこもった言い方ね。」
「知っている人だからよね~スンジョ君!!」
さすがに今の一言はまずかったと思ったが、他に客が入って来たからそれ以上話が続く事はなかった。