最後の皇帝2-息子カール狂女王の母と対面
2019.10.02 08:08
1517年初め、ブルゴーニュ公カールはスペイン行きの準備で忙しかった。その前年、実質国王フェルナンド2世が崩御。幽閉されていた女王「狂女ファナ」の代行で摂政となったトレド大司教ヒメネスは、国内の反乱ムードにファナの息子カールのスペインでの戴冠を要請したのだ。
新たにスペイン王にもなったカール17歳だが、スペインへは行ったこともない。ともかく叔母マルグリットに留守を任せ、官僚ともども出発。9月に到着したカールは、1カ月かけてトルデシリャスに赴き、幽閉されている母女王ファナと面会した。
ファナといえば、夫イケメンフィリップを亡くしてから時が停まっていた。いや動かしたくなかった。服を着るのも、食事をするのも、眠ることさえ拒否していた。訪ねてきたカールに「少し見ないうちに大きくおなりだねえ、ほんとにお前は私の息子かい?」と言ったという。しかしカールはこの可哀想な母を40年後に亡くなるまで共同君主として処遇するのである。
当時の首都バリャドリードでは、弟のフェルディナンドと初めて面会した。弟は祖父フェルディナンド2世のもとで育てられ、次期スペイン王の期待が高かった。そこで弟をブルゴーニュに送るのだが、これがオーストリアとスペイン2つのハプスブルクをつくることになる。
下はスペインドラマ「カルロス華麗なる帝国の覇者」より母との対面シーン