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【FINOLAB InsurTech ワーキンググループ】 InsurTechスタートアップが主催するミートアップイベント、「InsurTech Startup Meetup Vol.12」

2019.10.02 14:37

2019年9月11日(水)FINOLAB InsurTech ワーキンググループが主催する、InsurTech Startup Meetup Vol.12が開催された。


FINOLAB InsurTech Startup Meetupとは?

FINOLAB InsurTech ワーキンググループが主催する、ミートアップイベント。InsurTechでの起業や新規事業を検討している方や、すでに立ち上げている方々が集うことで、海外から出遅れていると言われる日本のInsurTechを盛り上げていくことを狙っている。毎月第二水曜日の夜に、大手町ビル4階FINO LABにて開催されており、毎回ベンチャー企業や大企業の社員約100人が集う一大イベントだ。

FINOLAB Events HP:https://finolab.tokyo/jp/events/


第12回目の今回は、株式会社アイリックコーポレーション 小林天馬氏、エヌ・ティ・ティ・イフの吉村 忠義氏にご登壇いただき、保険API提供の仕組みや直近の協業の取り組み等について、ご講演いただいた。

後半はhokanの尾花 政篤氏をモデレーターとし、アイリックコーポレーションの畔柳 主税氏と、吉村氏の3名でパネルディスカッションが行われた。Slidoで会場から寄せられたご質問のほかAPI活用のメリットや今後の展望等について活発な議論が行われた。

記事前半では小林氏・吉村氏の講演の内容を、後半ではパネルディスカッションの内容をお伝えする。特に今回は「保険API」を理解する上でおさえておきたいシステム用語が頻出するため、ところどころ解説を加えてお伝えしていきたい。


“顧客にとってわかりやすく”を追求した結果の保険API


株式会社アイリックコーポレーション(以下、「アイリックコーポレーション」)は、1999年に業界初となる来店型保険ショップチェーンをスタートし、2004年には日本発となる保険ショップのフランチャイズ展開を開始したパイオニアである。フランチャイズ展開を始めた頃から保険販売用システムの開発もすすめてきており、2008年には保険事業者向けのシステム開発も開始。昨年には東証マザーズにも上場を果たし、勢いに乗っている企業である。

グループ内で開発をしている保険販売用システムの他、保険会社用のシステムやアプリの受託開発、最近ではAI-OCR(*1)も研究開発も進めている。その取引先は380社以上と多く、保険代理店や一部上場企業の企業代理店以外にも、メガバンクを含む銀行、損害保険会社や共済、生命保険会社と幅広い。近年では保険業界以外からも引き合いがあるという。

小林氏は「保険API」は、API(*2)の開発を目指したものではなく「顧客にとって保険をわかりやすくするためにはどうすればいいのか」を突き詰めた結果だと語る。アイリックコーポレーションに在籍する“保険のマニア”の皆様と保険会社とがタッグを組み、上記に真摯に取り組んだ結果、独自の保険APIが構築されてきた、と言う。

同社が展開する数あるシステムの中で大きな特徴は①保険証券の分析と②保険の比較設計にある。本プレゼンにおいてはその2つを主軸に解説がなされた。


(*1)AI-OCRとは?

OCR(Optical Character Recognition/Reader)とは、印刷された文字や手書きの文字等の画像を、スキャナやカメラによって読み取り、デジタルの文字コードに変換する技術のことをいう。AI-OCRはその名のとおり、AI技術を使ったOCRであり、定型化された文字・画像データ以外についても、特徴を学習することで判断を可能とする。AI-OCRによって大幅に識字率が向上している。


(*2) APIとは?

API(Application Programming Interface)とは、汎用性の高い機能やソフトウェアを一部公開して、外部から手軽に利用できる仕組みをいう。サービス提供者側で特定の指示や命令などのプログラムをAPIとして公開することで、利用者であるソフトウェア開発者がすべての機能を最初から開発する手間がはぶけ、開発工程を大幅に短縮できる。例として、様々なサイトにGoogle Mapが載っているのを想像いただきたい。これもGoogleがGoogle Map APIを公開していることにより、各サイト運営者が各々のページにマップを表示することを可能としているものである。


わかりにくい証券を圧倒的短時間でわかりやすく

証券分析システムは「わかりにくい加入済み保険証券を圧倒的短時間でわかりやすい分析シートにすることができるシステム」である。これはアイリックコーポレーションの年間1万件以上、累計45万件にのぼるビックデータの分析、また、38社600商品以上をデータベース化・テンプレート化することで可能となったものである。募集人にとっては作業時間を大幅に短縮することができ、お客様にとってはわかりにくい保険証券をわかりやすいシートで見ることができる。

20年ほど前からシステム化しているが、昨年6月からは、証券の写真やスキャン結果をデジタル化し、テンプレートにマッピングして分析するAI-OCRも開発した。項目読み取り率は当初50%~60%程度だったが1年で85%近くにまで向上してきているという。

もともとは証券分析システムの一部だったが、今年1月にはOCR技術だけを取り出して外部のシステム・アプリと連携することのできる保険証券OCRサービスも開始したという。具体的には、東京海上日動火災のモバイルエージェントというアプリで導入され、生命保険証券に限らず損害保険証券のデータ化を可能とした。

同社の提供するOCRは非定型のため、保険証券に限らず分析ができるという特長がある。当初は生命保険の証券をターゲットにしていたが、損害保険においても基本項目のマッピングが可能となり、エヌ・ティ・ティ・イフとの協業では自動車保険の見積りにも本技術が使用された。今後もサービスの範囲を順次拡大していく予定だという。


他企業との協業の中で

お客様にとって最適なサービスを生み出したい

もう一つ紹介してくれたのは「複数生命保険会社の商品を一括設計・見積試算ができるサービス」である。A社、B社、C社と本来であれば保険会社毎にフォーマットが異なるものを、同一フォーマットの比較表にすることができる。

比較対象の保険会社は増えており、現在は見積試算可能な企業が22社、そのうちAPI連携をしている企業が12社、申込書印刷をできるのが9社、ペーパレス申込みにも対応しているのが4社であり年内、年明けにそれぞれ数社増える予定だという。全保険会社が対応しているわけではないが、利用者の増加に伴い連携保険会社は増えていると語る。

アイリックコーポレーションのAPIは上記のとおり一括見積比較が強みであるが、CRM(顧客関係管理)領域においても他のサービス・ベンダーと連携しAPI連携サービスをスタートしている。大型の保険ショップや銀行と連携し、それぞれの独自システム等から必要情報を呼び出して保険料の試算、比較表の印刷ができるようなサービスを目下開発中、という。

また、保険会社や戦略コンサルティング会社、システムインテグレータ等と今後も協業をしていくことで、それぞれの企業の戦略の中で同社の持つ保険の分析機能、OCR、比較見積等のソリューションを組み合わせて、新規性のある面白い、お客様にとって最適なサービスを生み出していきたいと締めくくった。



続いては、エヌ・ティ・ティ・イフの吉村氏の講演をお届けする。


システム開発人材も全員募集人、という強み


エヌ・ティ・ティ・イフ(以下、「NTTイフ」)は2000年の創業後、インターネットで保険を検討しているお客様に対して、商品の比較とネット申込みを実現するサービスを提供してきた。保険の見積りや申込み、契約管理等をシステム対応しているが、全てのシステムを内製開発しているという。その開発を担うエンジニアが全員募集人資格をもっているため、専門用語を使いながらシステム開発を進められるのが同社の強み、と吉村氏は語る。

NTTイフのサイト上では自動車保険や海外旅行の比較見積りができ、近年はチャットボットも導入し、更なるお客様への支援を実現している。

この前者の比較モデルを実現するために、NTTイフが各保険会社と共同で構築・運用している仕組みがある。その仕組みを吉村氏は次のとおり説明してくれた。


拡張型インターフェイスで成約率も向上!

まず、NTTイフのサーバーと損保会社13社の保険料計算エンジンをインターネットVPN(*3)等の専用線でつなぎ、そこでEASI(*4)に準拠したXML(*5)でファイルの送受信ができるインターフェイスを運用している。NTTイフ側から保険料の計算要求をすると、各保険会社から10秒以内にXMLが戻り、戻ってきた計算結果を画面に一覧表示させているのが保険料比較を可能としている仕組みである。

各社、商品改定もあるため改定毎にシステムの改良とテストをしているほか、保険料以外にも、その条件でついてくる特約や割増引も統一コードにして送受信している。


(*3)インターネットVPNとは?

インターネット上に暗号化された専用の通信経路を形成し、仮想敵な組織内ネットワークを構築すること。


(*4)EASI(The Electronic Transaction System for Insurance) とは?

電子保険取引システムという、インターネットを活用した電子保険取引の標準基盤。


(*5)XML(eXtensible Markup Language)とは?

文章の見た目や構造を記述するためのマークアップ言語の一種。HTMLがホームページ作成に使用されるのに対し、XMlはデータの送受信、設定ファイルの構築等に使用される。


保険料の比較見積を実現するためには、上記保険料を比較・算出するインターフェイスの実行だけではなく、比較のために条件をそろえるコントロールが必要となる。これはNTTイフ側がビジネスロジックとして保有をしている。

例えば、ある企業で引受けできない条件のときはその企業のプランを提案しなかったり、会社毎に異なる各種条件を、ビジネスロジックで変換した上で同じ条件での比較に修正したり、完全に合致する補償内容がない場合には一部上位項目に変えて提案をしたりする。さらには、どのくらい希望にそった内容になっているかを顔の絵を出しながら、わかりやすく表示するような仕組みも含まれる。

拡張型のインターフェイスとして、保険料の計算だけでなく、個人情報を含む試算情報をもう一度データベースに送ると、自動で保険会社のデータベースに書き込み、お客様がデータベースにアクセスするためのURLやIDを応答するような仕組みも一部の保険会社と運用している。これによりNTTイフのサイトで見積りをした内容が、保険会社側に既に連携されている状態になるので、お客様は加入に際して一から契約情報を入力する手間が省け、結果として成約率が大幅に向上する、と吉村氏はいう。


APIを標準化して有効活用をしたい

今年8月下旬にはアイリックコーポレーションと保険証券をスマホ等で撮影することで、見積りに必要な条件入力を代替するというソリューションを発表した。アイリックコーポレーションの持つAI-OCRの技術に、NTTイフが20年間の自動車保険販売に基づくノウハウを実装したことで、証券を読み込んで得られたデータに対して、自動車保険に必要な見積情報の解析をしてお客様の画面に返すというソリューションを開発することができた。

保険証券をスマートフォン等で撮影するだけで必要な情報が自動入力されるため、これまでお客様がご自身で数十項目を入力していたところ、そのロードなしに簡単・迅速に見積もりを作成できるようになる。

最後に、吉村氏は2点今後の展望を語ってくれた。

一点目は「保険料試算APIの様々な業界内での有効活用」。保険APIをより標準化することで、色々なサービス事業者が使える状態にし、特に、消費者向けサービスを提供している事業者からの保険提案と組み合わせたいといった要望に対し柔軟な対応をしていきたい、と語った。

もう一つには「ビックデータの活用」。NTTイフ内には創業からの見積り・契約データが200万件を超えて存在しているという。これらをビックデータとして活用し、他業種を含め業界を発展させるために使っていきたい、とプレゼンを終えた。


最後に尾花 政篤氏をモデレーターとし、アイリックコーポレーションの畔柳 主税氏と、吉村氏の3名でのパネルディスカッションの様子をご紹介する。


保険APIのメリットとは?

尾花:そもそも、消費者、代理店さん等にとって保険APIをつくるメリットとは何なのでしょうか?

吉村:保険の加入方法は対面販売から通信販売へ、そしてインターネット販売に遷移していっています。そして、保険加入をAPI化すること、というのは、決してセキュリティを甘くしているものではなく顧客体験、顧客満足度の向上に紐づくものだと考えています。

API化することでより便利に、お客様の生活に密着したサービスの中に保険が寄り添える環境を作り出すことができます。API化は銀行で先に進んでいますが、保険業界でもすぐに導入していくべきだと思っています。

畔柳:弊社のシステムは代理店の募集人さんが使うシステムです。お客様から各社の比較をして欲しいという要望を受けた際に、従来だと、各保険会社のシステムに入って、試算結果を打ち出して比較をする必要があります。また、保険会社からも正確な比較を要求されるので、勝手に表を作るわけにもいけません。ですが、弊社のシステムを利用すると一発で比較でき、かつ打ち出される比較表は募集文書もとれているので、募集人さんはかなり効率的に、わかりやすい資料を提示できるようになります。お客様からすると、ひとめでわかる資料を得ることができるわけです。

保険会社様目線、特に後発の保険会社様にとっては、代理店に売ってほしいと思った際に営業にいくのは大変ですが、システムに掲載できれば販売ができるので、代理店チャネルに参入しやすくなるというメリットもあります。

今は比較に絞ってお話をしていましたが、API化という観点では比較のみならず、リコメンド機能を追加するといった応用がききやすいこともメリットだと考えています。


営業マンがいらない世界はくるのか!?

尾花:API化が進むとゆくゆくは営業マンがいらなくなるといった世界も来るのでしょうか?

吉村:個人的には種目と商品によるものと考えています。何がお客様にとって一番いいのか、という軸で決まるものであり、API化が進むからといって営業マンが決していらなくなるわけではないと思います。営業マンがお客様に寄り添いながら判断をするほうが適している商品もあれば、API化してインターネットから入るほうが良いものもあります。

優先すべきは、お客様が満足できるか、顧客体験を向上できるかに尽きるので、それ次第でどちらの手段を使っていくのかが決まっていくと考えています。

尾花:もう少し具体的に種目の中でここはオンラインでいいのは?というものがありますか?

吉村:生保と損保を比較した場合では、損保のほうがやりやすいのではないか、というのが私の感覚です。すでに少額短期のような期間が短い損害保険では実施をしていますし、弊社目線では自動車保険もそうあるべきだと思っています。

対して、モノや建物をみないと加入が難しいもの、もしくは生保のように十分なコンサルティングが必要になるものはAPIとの対極にあり、募集人さんがお客様に寄り添ってご加入いただく商品だと思います。

畔柳:

言いたいことは吉村さんがほとんどおっしゃってくださいましたが、弊社は保険ショップもやっているので、募集人が必要ないとは口が裂けてもいえないですね(笑)。

損保と生保の違いからいうと、自動車保険に加入しない人はいないですよね。一方で生保に自ら進んではいる人というのはまだあまり多くない。まだまだ人がコンサルティングをしている商品です。そのような保険にはいっていただく際には①ニーズ喚起をした上で②最適な保険が何かを選んでいただくという2つのステップが重要になると思っています。個人的な意見ではありますが、②最適な保険が何かを選ぶのは、AIのリコメンドで代替されていくと思います。一方で、①ニーズ喚起の部分は、信頼・感情の把握等など人格・対人スキルが重要で、営業が活躍するプロセスだと思います。


保険料比較以外でのAPI活用領域とは

尾花:少し話題をかえさせていただいて、保険料比較見積以外の領域でAPIが活用できそうな領域、もしくは他にこんなデータがあればこんなことができるのでは、といったご意見がございますか?

吉村:一つは保有データのハンドリングです。代理店であれば、お預かりしている契約の状況、個人であれば自分が加入している保険の情報を、APIを活用することでシームレスにかつリッチに取得できるインターフェイスがあるといいと考えています。

弊社も代理店として各保険会社様から保有データの情報を1700バイトデータでもらっていますが、領域の制限から表現できる特約にも限りがあります。もう少しシームレスにリッチな情報がとれるようになれば、代理店としてもお客様に対してリコメンドの仕方が変わってくると思いますし、

お客様自身も自分の保険の内容を手早く取り出し、見直しや補完がしやすくなると思います。

もう1つ、外貨建ての生保等、運用の側面を持つ保険に加入しているお客様が、かけている保険料に対してどのような運用がなされているのかが把握できるAPIがあるとよいと考えております。

銀行に預けている預金や証券、株の資産状況を管理できるアプリは既にありますが、保険で行っている資産運用が見える化されているものはありません。当然保険での資産運用もできるため、本分野においてもAPIの活用できると考えています。お客様にとってのメリットだけではなく、年に1回はがきでご案内していた運用情報をリアルタイムに連携できるようになることで、保険会社様にとってもサービス性の向上につながるのではないかと思います。

畔柳:募集人が使うシステムの次には一般消費者の方が使うシステムとの連携になるかとは思っています。一方で保険会社様が非対面で売る商品、対面で売る商品をわけている、というのが課題にはなってくると考えております。

また、今の生命保険は募集人がじっくりコンサルをするもの、となっていますが、例えばジムにいき健康増進しようとなったタイミング等で、気軽に考えられるものになってもいいのではないかとも思っています。健康増進意欲が高まり、その他身体のチェックや遺伝子検査をした際に、ヘルスケアや健康増進の一部として保険を考えるというのが、最終的な形態としてはよく、それを実現するためにヘルスケア業界等ともAPI連携ができるといいのではないかとも考えています。

もう一つの軸は、繰り返しになりますが、リコメンデーションです。既存の証券の分析からAS ISの状態を、そしてロボアド等によりTO BEをリコメンドしていきたいと考えておりますが、ここに更にライフデータや、物品の購入データ等、保険とは一見直接結びつかないような生活データを組み合わせ、その全体の中でリコメンドができるような仕組みが将来的に構築できれば良いと考えております。


個別APIの開発は、惜しい。

尾花:今ライフデータやヘルスケアデータという話がありましたが、その他異業種サービスとコラボの観点でなにかございますか?

吉村:異業種とのコラボレーションは既に起き始めていますよね。保険会社様と異業種サービス提供会社、例えば旅行会社様とのコラボ等色々なところでみられるようになってきました。API相当のものを使ってサービスにご加入いただいた際に保険に加入できるような仕組みが出てきていいます。

賛否両論ありますが、各協業で開発されているのが個別のAPIになっているのが少し課題、というか、ジレンマだとは思っています。もちろん各社の戦略もあるのは理解していますが、すでにEUや中国に目をうつすと個別開発ではなくなっていますし、業界の未来を考えたときに個別に開発していくことがいいことなのか、と考えてしまう部分はあります。

尾花:まさに前回のMeetupイベントでも、jinjerと東京海上の協業事例で同様の話がありました。

吉村さん:そうですね。それでも、個別のAPI開発をするのはやはり惜しい気はします。

マーケットは自社で開拓したいという考えはあるとは思いますが、お客様サービスを広げていくという観点では、できれば共通の仕様があってうまく活用できるといいな、と思います。


両者が語る、保険APIの展望とは

尾花:最後に今後のInsurTechもしくは保険APIを業界としてどう盛り上げていきたいとお考えでしょうか?

吉村:弊社は保険料の試算、ネット申込につなぐAPIを使用して事業を行っていますが、このAPIを業界全体でつかえるようなインターフェイスにしていきたいと考えています。

先日、Fintech協会の保険分科会の中にもAPIワークショップができ、一緒に考えていく企業様が増えることへの期待感があります。既存のビジネスモデルはありながらも、APIを活用した新規のビジネスの創造、そして新たな顧客体験の提供を通じて、マーケット全体が拡大していけばよいと思っております。

それを視野にいれながら、参画される企業様と議論をして、いいAPIのルール作りをしていきたいと考えております。

畔柳:3つの観点があります。

第一に足元では、AI-OCRの活用です。日本人は紙が大好きなので、何かとデジタル化のハードルが高いです。馴染みのある紙からの画像データをデジタル化することでAPIの代替にしていきたいと思っています。

二点目は、弊社も先ほど吉村さんのお話にあったワークショップへの加入を予定しております。それ以外にもAPI活用に興味のある代理店さんからお声がけをいただいているので、そちらとも連動して普及をしていきたいと思っています。

最後に、長期的な話にはなりますが、Amazonのような企業が保険に参入してくることが一番の脅威だと思っています。その前に、弊社の技術等をうまく活用し、特にプラットフォーマーと言われる皆様と協業をさせていただくことで、彼らに負けないような枠組みを作り、しっかりと対抗していければよいと考えております。


最後に

「保険API」の波は確実に押し寄せている。

ご講演の中にもあったが、近年、保険業界の様々な協業事例でAPIが活用されている。かくいう筆者自身も、保険会社の商品部門に属し、自身の担当案件においても協業先とAPI連携をすることでお客様にとって簡便にご加入いただける導線を作る、というようなことも実は検討をしたりしている。今回のMeetupではまさにその「保険API」の有用性を再認識し、その活用における展望を再考することができた。

筆者が特に耳が痛い、と感じたのは「個別API開発は惜しい」というご意見である。販売方法が変遷している過渡期において、かつ今後人口減少や自動車保険の縮小による保険業界全体としての縮小が見込まれる中で、どのようなAPIを作成・利用していくべきなのか、どのようなルールのもとで運用していくことが業界全体、個社、ひいてはお客様にとって最適なのかはしっかりと議論をして結論を出していく必要があると感じた。

※保険会社としての見解ではなく、有志団体Tibメンバー一個人としての見解です。

登壇の後には懇親会もあり、多くの参加者が交流を深めた。


【本記事のライター】

東京海上グループ有志団体”Tib”の「東京海上のイケてる感を社内外に伝えるチーム」(通称:イケチー)。 

本日のライターはあつこ。

普段から東京海上や保険の面白さ、ワクワク感を伝えるための広報活動を研究しおり、現在はSNSによる記事の発信に加え、インフォグラフィック(「Tibのこれまで歩み」公開中)・動画コミュニケーションなど様々な領域に挑戦中。

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