繊維について第6回「合成繊維」
こんにちは、株式会社フォーリン、HP更新担当野村です。
今回は「合成繊維」について書いていきたいと思います。
前回の記事はページ最下部にリンクを貼っておりますので、そちらからご覧ください。
「合成繊維」とは合成高分子から作られた繊維で、主に石油を原料としています。
化学繊維の中では後発の繊維ですが、現在合成繊維を使用した製品を一点も持っていないという人はおそらく居ないといっても過言ではない程普及している繊維です。
さて今回紹介するのは三大合成繊維と呼ばれる
「ナイロン」「アクリル」「ポリエステル」の三種類です。
他にも「ビニロン」や「ポリウレタン」など数多くの種類があります。
まず初めに「ナイロン」から見ていきましょう。
1938年に世界で初めて開発された合成繊維はこのナイロンでした。
ナイロンには2種類あり、原子の結合状態によってナイロン66とナイロン6に分けられます。
先に開発されたのはナイロン66でアメリカやイギリスではこちらが主流です。
後発の日本やドイツではナイロン6が主流となっています。国内のナイロン66は旭化成や東レが製造しています。
非常に強い繊維で、フィラメントの引張強さは4.2~5.7(cN/dtex)となっており、同じ合成繊維のポリエステル(フィラメント)の3.8~5.3(cN/dtex)以上であり、麻(ラミー)と同レベルの強さを持っています。
また非常に軽い繊維であり、比重は1.14です。
長所としては、柔らかく、しわになりにい、また汚れも落ちやすく、鮮やかに染まるなどが挙げられます。
短所としては、張りやコシがなく、酸に弱いです。また日光にさらすと黄変してしまうなどが挙げられます。
次は「アクリル」についてです。
アクリルはアクリルニトリルを主原料とした繊維です。
アクリルニトリルが85%以上がアクリル繊維と呼ばれます。
また、アクリル系(モダアクリル)繊維と呼ばれる繊維はこのアクリルニトリルが35%~85%程度しか含まれていない繊維を指します。
ちなみに、弊社が販売しているカネカロン®及びプロテックス®はアクリルではなく、アクリル系に分類されます。
先ほどのナイロンは長繊維が多く使われており、短繊維での使用は少ないですが、このアクリルは短繊維が多く使われており長繊維での使用は少ないです。
その理由はアクリルの長所に由来しています。
アクリルの長所は、かさ高く、しなやかで、保温性があり、染色性が良いなどです。
短所は毛玉ができやすい、静電気が起きやすい、などです。
長所が羊毛と似通っており、セーターや毛布などに使われることが多いです。
最後に「ポリエステル」についてです。
一口にポリエステルといっても様々な種類が存在しており、最も一般的なものが、「ポチエチレンテレフタラート」通称PETです。ほかにも「ポリトリメチレンテレフタラート」や「ポリブチレンテレフタラート」などもこのポリエステルの一部です。
値段、性能共に非常に優れており、衣料はもちろん、インテリアや資材等幅広く使用されています。長繊維でも短繊維でもどちらでも使われており、非常に汎用性の高い繊維です。
ポリエステルの長所は、強度が強い、張り腰がある、耐熱性が高いなどです。
短所は吸湿性が低いことによる染色性の悪さ、堅牢度の低さなどがあります。
ただ高温で染色することで、これらの欠点は補うことができます。
2018年の化学繊維生産量は879611トンで、そのうち合成繊維は696042トン
そのうちポリエステルが200387トンと化学繊維の全体で22%以上、合成繊維の内28%以上このポリエステルが占めています。
これら化学繊維は、人の手によって様々な加工ができるため、上記の欠点を補うような工夫や加工がされていたり、新たに機能を持たせたりすることができます。
例えば、難燃、撥水、抗ピル(毛玉、ピリングの発生を抑える)、吸湿、割繊糸(マイクロファイバー)など様々です。
最近では環境に配慮したサステイナブルな化学繊維として、植物由来の原料を一部使用したり、ペットボトル等の捨てられた原料から再生した繊維などが開発されています。
今回のおさらい
化学繊維とは合成高分子から作られた繊維。
種類は多く、その中でも「ナイロン」「アクリル」「ポリエステル」は三大合成繊維と 呼ばれる。
ナイロンは一番初めに開発された合成繊維。強力が強く、軽い繊維だが張りやコシがなく、日光によって黄変してしまう。長繊維で使われることがほとんど。
アクリルはアクリルニトリルを原料とした繊維。アクリルニトリルの割合が35%~85%程度のものはアクリル系(モダアクリル)と呼ばれる。弊社の取り扱っているカネカロン及びプロテックスはこのモダアクリル繊維に分類される。
かさ高性、保温性が高く、染色性が良いが、毛玉ができやすく、静電気が起きやすい。
ナイロンと違い短繊維での利用が多い。
ポリエステルは様々な種類がありPET(ポリエチレンテレフタレート)が一番有名。安価で性能が良い為あらゆるところで使われている。強力が強く、耐熱性があり、張りコシがある。欠点としては染色性の悪さが挙げられるが、高温で染色加工をすることでそれを克服することができる。
合成繊維は人の手によって作られる繊維であるため、糸の形状であったり有用な成分を練り込むことによって様々な機能を持たせることが可能です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回は「無機繊維」について書いていく予定です。
参考文献
愛知県繊維振興協会(2016) 『TEXTILE HANDBOOK』
一見輝彦 (2014) 『わかりやすい アパレル素材の知識 改訂版』 星雲社
繊維産業の課題と 経済産業省の取り組み
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/fiber/pdf/180620seni_kadai_torikumi_r.pdf」