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新旧が楽しい神楽坂

2018.12.01 08:30

※このニューズレターは2018年12月に発行いたしましたものです。 

皆様いかがお過ごしでしょうか、いよいよ今年も暮れてしまいますね。毎年ながら一年

「あっ」と言う間で、振り返ってみても先日の事のようです。寒いのでご自愛ください。


箏曲の名曲「春の海」。その作曲者、宮城道雄さんが晩年まで新宿区に住まわれていた事を知り、宮城道雄記念館がある、神楽坂を散策いたしました。

 秋にはまだまだ早い9月19日、初めて地下鉄大江戸線に乗り、牛込神楽坂駅を降りると、駅からの坂を上りきり閑静な住宅街に入ります。

 突如、「宮城宗家」と書かれた表札の門の隣に、近代的な宮城道雄記念館が建ち並びます。

 早速、館内へ入ると、春の海が緩やかに流れ「あー、いつ聞いてもキレイな曲だな」と、その聖地に来た事に感動いたします。展示室には筝や尺八、また雅楽器などの遺品が展示さてれおります。

「この筝が、越天楽か!」と、中学生の頃より雅楽をお稽古していた私は、雅楽の曲名「越天楽」と名付られた、宮城道雄さんの遺愛の筝を、拝見したいとずっと思っていました。

「美しい木目だ」。と、その筝は蒔絵など施されておりませんが、木目が浪のように美しく

主とはなれ60年以上も経ちますがその清楚で凛とした雰囲気に、とても感動いたしました。

 宮城道雄さんは今から124年前の明治27年4月7日に神戸の三宮で誕生しました。生まれてから200日で目の病気を患います。8歳で失明の宣告を受けた後、生田流の二代中島検校に入門されると、11歳で、免許皆伝を受けられます。家庭の事情で現在の韓国・仁川に渡り、箏と尺八を教えて一家を支えたそうです。14歳になると初めて作曲した【水の変態】で初代総理大臣を務めた伊藤博文公に認められ、後援を約束されますが、その直後に伊藤公が亡くなり、約束は果たされませんでした。

 京城(現ソウル)に進出した宮城さんは、頭角をあらわし、22歳という若さで筝の世界の最高位、大検校となられたそうです。その後、上京すると十七絃や八十絃など新しい筝の開発や作曲、西洋音楽の要素を邦楽に取り入れるなど大活躍をいたしますが、昭和31年25日未明、演奏のため大阪へ向かう途中で夜行の寝台急行列車から転落し、62歳と言うお歳で亡くなられました。

「これが八十絃か、大きいな!」と、初めて見る八十絃はキレイな曲線を描き、とても不思議な形でした。小学校の音楽の授業だったでしょうか、先生から「宮城道雄は鍵盤が沢山あるピアノに負けたく無くて、八十絃と言う何でも弾ける筝を作りました」。と言う話を思い出しました。

 実際にピアノに対抗したか不明ですが、和洋の曲を奏でられるように開発されたのには「すごいな」と思いました。

 第二展示室では「春の海」の演奏のDVDが放映されています。そこでゆっくりと、名曲を聴きました。

 昭和4年に、翌年の宮中歌会始のお題「海邊巖」が発表されると、幼少期を過ごした瀬戸内、鞆の浦の風景を思い起こして作曲されたそうです。

やはり小学校の先生に、「筝でゆったりした波の音や、尺八で千鳥の鳴き声や船の櫓を漕ぐ音をあらわしています」と教わりました。「宮城道雄ってすごいな、楽器を二つしか使わないのに、その風景が浮かぶ」。最初はゆったり、時には力強く、またやさしい鳥のさえずり。この曲をゆっくり聞くと、その情景が頭の中に浮かんできます。

 中庭に出ると、竹や紅葉などが植えられたお庭の中に、検校の間と言う、木造の部屋が建ちます。

 国の登録有形文化財に指定され、昭和23年に建てられた書斎で、このお部屋で作曲などをされていました。

その向かいには防音設備を施したコンクリート作りの録音室が建ちますが、竣工の直前に亡くなられたので、この部屋をお使いになる事は無かったそうです。愛筝やご本人が過ごされたお部屋など、感動とゆったりと心地よい時間を過ごしました。

 時間はもう13時近く。閑静な住宅街から、賑やかな商店街を抜け大きな玉子サンドのお店、京都の喫茶店マドラグさんの神楽坂店へ。マドラグさんは神楽坂駅2番出口からすぐの、商業施設「ラ カグ」の中にあります。

 マドラグさんの玉子サンドは、京都にあった名店コロナと言う洋食店のタマゴサンドを引き継ぐもので、一度食べて見たかったのです。

 テーブルに玉子サンドがくると「えっ、デカ!全部食べられるかな?」と、見てビックリ。想像を絶する大きさです。

 卵4つに昆布だし、牛乳、塩を加えて焼き、半熟になったらじっくりと蒸らすそうで、パンにはマスタードが少し入ったマヨネーズ、その片方にはトマトソースとデミグラスソースを混ぜたものが塗られ、出汁が利いた卵が「ふわっ」と溶けていく様で、きめの細かいパンもしっとりと相性がよく、これが本当に美味しいのです。

 玉子サンドを持ち上げて食べようとしましたが、約 ㌢のあまりの大きさに断念。フォークで真ん中から切り分けながら食べました。「あー、また食べたい」。この文を書いているだけで、お腹が鳴ります。

 神楽坂はまだまだ見るところいっぱい。またいつか続きを書かせて頂きます。皆様、輝かしいお年をお迎えください。


※残念な事に、マドラグさんは商業施設の業態変更により2019年1月31日をもって閉店されるそうです。京都の本店は通常通り営業されるそうです。神楽坂店へは、お早めにお出かけください。