～ショパンの肖像、アナキーだったピエール・ジョゼフ・プルードン～
ピエール・ジョゼフ・プルードン（1809年1月15日－1865年1月19日）
フランスの社会主義者、無政府主義者。無政府主義の父。
支配する者のないことを主張アナキー
彼は、ブザンソン郊外で生まれました。父は醸造職人・樽製造職人でした。
プルードンは、8歳から宿屋の食糧係として働いていたため、仕事のために授業を時々休みがちであった。彼は貧しいために教科書が買えなかった。そのため、プルードンは、仕事の合間に教科書を筆写したり街の図書館に通ったりし、彼は独学で勉強をしました。
19歳になったプルードンは、ブザンソンの印刷所に校正係として就業しました。この時期に、彼は教会用のラテン語訳聖書の校正をして広汎な神学の知識を身につけ独学でヘブライ語を覚えました。
彼は、1837年に最初の著作『一般文法論』を自費出版しました。その後、彼は3年間パリを独自に遊学しました。
彼は、1839年『日曜礼拝論』を発表しましたが、その内容が財産平等の理想に基づく社会改革思想であるとして聖職者会議で忌避の的となり発禁処分を受けました。
1840年6月『財産とは何か』が「財産、それは盗奪である」などの過激な表現により出版の認可を取り消されたが、プルードンは撤回を拒否しました。
1841年4月に財産に関する第二論文『ブランキ氏への手紙』、1842年1月に第三論文『有産者への警告』が刊行、
第三論文『有産者への警告』がブザンソンの司法官憲に押収され、起訴される。
1843年3月に印刷所の仕事を辞め、1847年10月リヨンのゴーチエ兄弟商会の事務員・法律顧問となる。
経済学者と交遊を重ね、1843年『人類社会における秩序の創造』、
1846年『経済的矛盾の体系、または貧困の哲学』を出版しました。
彼は、ロシアのバクーニンとも知り合い交流し、ヘーゲル弁証法について議論をしました。
【ミハイル・バクーニン1814年5月30日 - 1876年7月1日は、ロシアの思想家で哲学者、無政府主義者、革命家。元正教徒で無神論者。
バクーニンはロシア帝国の貴族で、少年期から青年期にロシア軍に仕官し、1835年に退官。モスクワで哲学を学び、急進派のサークルと交流を持つ。1842年にはロシアを発ってドレスデンへ赴き、パリでフレデリック・ショパンの愛人ジョルジュ・サンドやピエール・ジョセフ・プルードン、そしてマルクスと交流した。
バクーニンはロシアのポーランド弾圧に反対し、フランスを国外追放された。1848年革命ではチェック人の蜂起に加わったため、ドレスデンで逮捕された。ロシアへ移送され、貴族の称号を剥奪され、サンクトペテルブルクのペトロパブロフスク要塞に収容された。1857年まで投獄されてシベリア流刑となった。】
プルードンは1844年から数回会っているマルクスから共産主義通信委員会の通信員となるよう依頼を受けているが、同意しつつも教条主義や権威主義的な傾向を危惧して多くを留保。マルクスは「彼の著作はフランス・プロレタリアートの科学的宣言」と称賛、この頃から軋轢が生じました。
1848年の二月革命で、彼はテュイルリー宮殿の無血占領に参加しました。
2月7日からロシアの社会主義者アレクサンドル・ゲルツェンの協力も得て『人民の代表』『人民』『人民の声』などの新聞を発刊しました。彼は、人民銀行と相互主義的交換組織を試み、6月の補欠選挙で国民議会議員に選出されました。
1849年に大統領ルイ・ナポレオンを反動の権化として自分の新聞で攻撃したため、彼は３年の禁固刑と１万フランの罰金刑を宣告されました。
彼は、獄中生活の中で裁縫師ユフラジ・ピエガールと結婚して子供が生まれました。
彼は獄中生活で『一革命家の告白』（1850年）、『十九世紀における革命の一般理念』（1851年）などの代表作を執筆しました。
出獄後の1858年に出版した『革命の正義と教会の正義』は6000部売れましたが、彼は、公共道徳・宗教・国家を攻撃したとして官憲に押収、再び禁固３年と３千フランの罰金刑を宣告を受け、家族とともにベルギーのブリュッセルに亡命しました。
その後、フランスの政権交代により特赦を利用して彼は帰国しました。1863年『連邦主義的原理と革命党再建の必要について』を執筆。彼の遺著となった『労働者階級の政治的能力』を彼は口述して完成させました。彼は、パリ・コミューンに影響を与え、
（「プロレタリア独裁」による自治政府を宣言したパリ市の自治市会（革命自治体）=パリ・コミューン1871年3月26日は約2か月でヴェルサイユ政府軍によって鎮圧されたが、後の社会主義、共産主義の運動に大きな影響を及ぼし、短期間のうちに実行に移された数々の社会民主主義政策は、今日の世界に影響を与えた。）
1865年1月19日のパリ・コミューン発足の5年前にパッシー（現在パリ16区）で心臓病により亡くなりました。
プルードンは独学、およそマルクスのように体系的な思想家ではない。『哲学の貧困』で行われたマルクスの論難をはじめとして、プルードンの思想はさまざまな方向から批判された。
プルードンは民衆とブルジョアジーの両者を兼ね、不偏不党の立場で社会的矛盾をとらえている。
財産一般を攻撃しているのに、小財産を擁護している
家庭生活と女性の意義について、反動的な考えを持つ
(女性は家事に専念すべきとして婦人参政権を否定した)
フランス人としてのナショナリズムを克服できていない労働者のストライキ権を認めず犯罪と見做している
これらの難点は、1840年代にヘーゲル哲学を受け容れた後も持ちこたえられ、ジョルジュ・ソレルなどのフランスの社会主義者・無政府主義者たちに引き継がれた。
農民の生まれである彼は工業を嫌悪しプロレタリアートを蔑視していたが、1864年に発表された『六十名の宣言書』に関する社会主義者たちとの議論では、労働者を救うのは労働者自身であることを認めた。
プルードンは有能なジャーナリスト・パンフレット作者であり、その雄弁な社会批判と文体の簡潔さは書簡にもあらわれる。晩年の「連合主義」はあらゆる中央集権的な組織への警戒として今日でも顧みられる。