腹部の筋肉と腰痛
腰痛と股関節の痛み、足の痛みで来られた方です。
最初に座った時に何をみるか?
これはとても大事です。
その中でも座った姿勢を見るのは、問診も何もしていない時には重要な情報手段です。
舌は少し胖大で、舌の形も右側に腫れた感じ、それと舌根部が左に僅かな腫れがあります。
舌も身体全体を投射する一つの部位として診断できます。
また、左舌根部には僅かに黄色い苔が生えてます。
熱がある可能性を示唆しています。
舌は舌根部が下半身、舌先が頭部という対応図がありますので、それに照らし合わせると、左の腰付近に熱があると伺うことができます。
そして身体の反応を診てみると、筋肉が関係します。しかし、筋肉と言っても腰痛の時によく問題になる大腰筋や腰方形筋ではありません。
外腹斜筋と言う第五肋骨の高さあたりから、腸骨、恥骨部まで覆っている筋肉の反応がありました。
ただその外腹斜筋全てがやられている訳ではなく、丁度お臍よりやや上の左側のあたりを頂点とした幅も数センチで高さ10センチぐらいのところの異常がありました。
これが「水」の流れと関係し、大腿内側から後内側の筋群、それと骨盤底の筋肉にも「水」の流れの異常が経路をつたうように反応があります。
通常、様々な徒手の治療を行う方は、筋肉を一つの単位として見てしまう傾向があると思います。
何筋が緊張とか、異常とか・・・。
この考え方は、本当に正しいのでしょうか?
本来筋肉は、それぞれが協調しあいながら働くはずです。一つの筋肉全体が異常を起こすということはあり得ないはずです。
そして連携した筋群なので、東洋医学のような経筋という考え方の方が臨床的なように思います。つまりざっくりとしているし、その人に場所に違いがあり、その深さや範囲も違う。
ということです。
たぶん、このような理解の方が、筋肉を部分で考えるより、臨床的だろうと思います。
外腹斜筋が主役で、それと足まで関係する「水」の流れの異常を含んだ筋肉系の異常ということですが、実は、これは胸の方までつながっています。そして、筋肉の影響は限りなく少なくなり、「水」の流れが頚部、顔面部で強くなっている様子がみてとれます。
つまり、経筋という流れでひとまとめにして診るのも問題があり、筋肉という単位で診るのも問題があり、場所や状態によって変化してきている様子がうかがえる。
ということです。
もちろん治療は一瞬です。一箇所、二箇所、鍼をあてるように刺激すると、お腹の筋肉の反応や「水」の流れの反応は一瞬で消失し、腰や足の痛みもなくなりました。
痛みとはなんぞや?
そして、それに関連する筋肉や神経、血管、リンパ、経絡としての流れ等々・・・。
複雑に絡み合っている様は、本当に興味深い。
また、そこまで問題点を把握すると、一瞬で変化させることができるというのも面白い話しです。
とても常識的じゃない。
しかし、その常識的じゃない何かが介在して人体は存在しているのだと言える訳です。
人体に対する興味は、本当に尽きませんね。