「宇田川源流」 香港のデモが今後長期化し第二の天安門事件のようになるという予想の根拠
「宇田川源流」 香港のデモが今後長期化し第二の天安門事件のようになるという予想の根拠
例年であれば、この時期は日本に「爆買い」中国人が山ほど来ているはずである。東京で言えば銀座や秋葉原に中国人が多く現れ、東京が北京のような感じになっていたであろう。
自宅の近くには、どうやら外国人の宿泊が認められている民泊の場があるようで、普段から比較的大きなスーツケースを持った外国人の家族連れが多いのであるが、この時期は、特に中国人が多く、駅のホームに行くエレベーターが混雑して乗れなかったり、あるいは地下鉄改札前の通路で座り込んで、スーツケースを広げて土産物の整理をしていたり、あるいは道路の端に座り込んで何か食べていたりする。だいたい、朝早くに街を歩くと、そのような場所には必ず中国人が放置したゴミが置いてある。食べかけのウインナーや、場合によってはカップラーメンの汁が入ったままの器がそのまま複数置いてある場合もある。横を通りかかった時の言語で中国人とはわかるが、本当に、近所にとっては迷惑な存在でしかない。
ではなぜこの時期に中国人が増えるのかといえば、当然に「国慶節休み」である。日本語でわかりやすくいえば「中華人民共和国の建国記念日」ということになる。中国は一応建前で労働者(プロレタリアート)の国となっていることから、5月のメーデー休みと10月の国慶節休みが長期間の休みとなる。あとは正月だが、陰暦の正月を使っており、「春節」という。
約8億人の中国人が旅行をするという。その中の人気の国が「日本」「タイ」「シンガポール」であるというから、観光の商売の人にとっては書き入れ時なのかもしれないが、普通の日本人にとっては、「平日の仕事をしているときに、ラッシュ電車の中に大きなスーツケースをのせて、うるさく中国語を話す迷惑な人々」が増える日々となるのではないか。まあ、商売につながっている人がいたり、左翼主義者の中国大好き人間がいるおかげで、そのようなことを本音で言うことが憚れるようであるが、基本的に、中国人を見て迷惑そうに眉をひそめていたり、そのうるさい中国語の方をにらみつけるという人も少なくないのである。
しかし、今年は少し雰囲気が違う。
香港で警察の実弾命中し重体
【香港=田中靖人】香港紙、明報(電子版)によると、香港の九竜半島・セン湾で抗議活動に参加していた高校2年生の男子生徒の左胸に、警察の発砲した実弾が当たった。生徒は病院に搬送されたが重体。一連の抗議活動で、警察の発砲した実弾でけが人が出るのは初めて。
2019年10月01日 19時14分 産経新聞
https://news.nifty.com/article/world/china/12274-422966/
習主席「人民団結を」呼掛け
【北京=西見由章】中華人民共和国の建国70年となる国慶節(建国記念日)の祝賀行事が1日、北京の天安門広場で開かれた。米国との貿易戦争の激化や経済成長の減速、香港の反政府デモ拡大といった問題が山積する中、習近平国家主席は天安門楼上での演説で「全国の各民族人民はより緊密に団結しなければならない」と呼びかけ、求心力の維持を図った。
習氏は対中圧力を強めるトランプ米政権を念頭に「いかなる勢力も偉大な祖国の地位を揺るがし、中国人民の前進を妨げることはできない」と述べて米側を牽制(けんせい)した。香港についても「一国二制度」を堅持し、長期的な繁栄と安定を維持するとし、混乱の早期収束を誓った。
習氏は演説後、車に乗って人民解放軍の部隊を閲兵し、習指導部として3度目となる軍事パレードを挙行。世界2位の予算規模を抱える軍の威容を内外に誇示した。
軍事パレードは約80分間実施。過去最大級の規模となる将兵ら約1万5千人が航空機160機余り、車両など580台と共に参加し、習氏への忠誠を誓った。米本土に届く移動式の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風(DF)41」や、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の「巨浪(JL)2」など最新兵器が初公開された。
一連の祝賀行事は、香港政府トップの林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官も見学。香港の「逃亡犯条例」改正問題をめぐる抗議活動に対峙(たいじ)して負傷した警察官らを招待した。
2019年10月01日 12時44分 産経新聞
https://news.nifty.com/article/world/china/12274-422533/
なんだか久しぶりに中国人観光客の悪口を書いたような気がする。私などは講演などで、結構中国人の悪口(まあ、本音なのであるが)を言っている方なので、意外とストレスはたまっていないのであるが、基本的にストレスを貯めている人が少なくない。多くの日本人が本音では中国が嫌い。私の知っている中国の専門家や評論家も、中国人の友人がいる場合が少なくないが「自分の知っている中国人は良いが、爆買いに来る中国人と中国共産党はい嫌い」という。基本的に「共産主義」つまり「何でも共有財産で使ったもの勝ちという感覚」と、「史的唯物論」つまり「信頼とか、努力とか、約束とかそういった不文律や感覚など目に見えないものを大事にしない感覚」という二つを併せ持った人物が嫌いなのである。安倍晋三氏が一回目の首相の時にマスコミは「空気が読めない(KYという言い方をしていたが)」と批判していたが、そのマスコミが中国礼賛をしているのには非常に大きな違和感を感じる。
そのために「中国共産党が批判されている」ということを見ると喜ぶ日本人が少なくない。そのトップが香港である。
この香港のデモについては今後も語ることが多いし、ネットラジオなど様々な場所で話をすることが多いのであるが、実際に、考えてみれば「中国のデモ」というのは、そもそも共産党独裁の体制に対する反対運動ということになる。つまり「政権批判」にしかならず、それがそのまま「政局論」になるのではなく「国家批判になる」ということになる。中国共産党に限らず、独裁政治というのは、その政権の批判はそのまま国家批判になる。そして国家批判は「政権を打倒する」か「自分が逮捕または鎮圧または亡命」するか、あるいはどこかで妥協するということしかない。民主主義ではないということは「野党が存在しない」ということであり、批判はそのまま国家政府の否定になるのだ。
そして「弱者がより弱い弱者を傷つけた」場合、先週のブログでも書いたように「男性よりも女性」「女性よりも子供」「子供でも少女が最も大きい影響力」というように、少女が傷ついたり犠牲になった場合は、その強大な国家権力に対する批判がより強くなり、大きな批判または国際社会を巻き込む結果になるということになるのである。
さて、今回「高校生が実弾で討たれた」ということになる。当然に10月1日以降、警察に対して行政が「実弾射撃の許可」をしたということになる。そのことがわかっていない高校生などの学生が、最前線に出て、そのまま警察の放った銃弾に倒れるということになる。大人は、ある程度様子を見ながら行うし若者でも2014年のデモに参加した人々は、警察の出方がわかっているのであるから、当然に警察の実弾射撃もわかるということになる。そこで経験の浅い、なおかつあまり慎重ではない十代の若者が犠牲になるということになるのだ。しかし、その犠牲が「デモに対する共感」を生むことになる。
しかし、共産党政府は、実弾射撃をしたものを否定することができない。そのようなことをすれば、統治機構が完全に崩壊する。独裁政治において、自分の出した命令が間違えていたということになれば、統治における上位の命令が全く下位に到達しないことになってしまい、そのために、統治の基本が崩れることになるのだ。法治国家ではないということはそのようなことになる。
そのうえで、「覆面禁止の緊急条例」ということになる。現在のままでは政府打倒まではかなり難しい。しかし、犠牲者が出て国際的な意見のまとまりや中国本土への飛び火を期待しているということになるのではないか。そのように考えれば、今回のデモは長期化することが見える。内政干渉はできないというか、デモを応援すれば当然に共産党独裁体制を批判することになる。まあ、私のように共産主義を批判している人はそれで良いかもしれないが、皆さんはどのように考えるのであろうか。