最後の皇帝4-祖父皇帝悲願ならず逝く
2019.10.08 08:50
皇帝マクシミリアンは、不穏な動きを察知していた、仏王フランソワ1世がローマ王を狙って動いているという。それだけでなく、推薦資格を持つ選定候7人のうちトリーア大司教とプファルツ宮中伯が落ち、他もわからないというのだ。皇帝は本気で工作に当たることにした。
そして当然のことながら教皇レオ10世を敵にまわせるわけがない。ルターなんざかまう暇などない。1518年7月7日、機先を制して皇帝はアウグスブルクに帝国議会を招集した。その地に入った皇帝は、デューラーに、あの有名な肖像画を描かせた。後世に残す自分の姿を意識してのことだった。
「会議は踊る」ではないが、表のことよりも華麗なるパーティを含めた票の買収が真の議題だった。皇帝は、縁戚結婚、特権供与を含めて必死に票集め工作を行った。そしてその費用はスペインもち。皇帝の思惑としては、そのまま投票に雪崩こみ、一気に孫カールをローマ王にしてしまうことであった。
しかし最後で教皇が待ったをかけた。先にマクシミリアンはローマで戴冠すべし、というイチャモンである。フランスの入れ知恵、これで精根果てた皇帝は、アウグスブルクを去り、死の床に入ってしまう。その後に、この議会にルターがやってくるのである。
下はデューラー入魂、皇帝マクシミリアン1世最後の肖像