檔鳥坂隧道
さて今回が短期集中となった滋賀県北部の隧道探索、最後となります。
村田鶴とのかかわりが噂される、当ブログとしては外せない隧道の一つです。
そして今回の道は初の国道!
しかしその場所は歴史に彩られ、現在では3本の国道と2本の旧道が絡み合う迷宮の奥。
さながら巨大迷路のような罠が仕掛けられています。
その奥にあった隧道、見てもらいましょう!
レポスタート!
ここは滋賀県長浜市木之本町。北陸自動車道木之本ICです。
今いる道は国道365号、正面の道は国道8号と303号の重複区間。
そして国道365号はここを左折するので、先の区間は国道8号、303号、365号の3本が重複する区間ということになります。
そしてここには全国的に珍しいものがあるのです!
串刺しおにぎり3兄弟!
全国を見れば意外と3路線の重複区間はありますが、どれも距離が短くわざわざ3路線全てのおにぎりを設置している場所は少ないのです。
ここの他には栃木県日光市での国道118号、349号、400号の串刺しおにぎりが有名でしょうか。
まぁ何を持って有名かって話でもありますが(笑。
この道も他の3路線重複のご多分に漏れず、重複区間は短いもんです。
このカーブを曲がった先に接続するバイパスで国道303号、365号は重複を離れます。
しかしここでこの3路線に絡む道が出現します。
それがこの直進の道。
実はこの道は国道303号、365号の重複区間の旧道。
僕が目指す隧道は当然こっち!
直進です!!
ここから先は栃ノ木峠編でも述べたとおり、重複する国道365号が踏襲する北国街道の雰囲気を色濃く残すエリアです。
この辺りは歴史的にも重要な場所で賤ヶ嶽や小谷山も近く、合戦も多かった土地柄です。
歴史探訪に訪れても十分楽しめますよ。
突き当たった所には木之本地蔵院というお寺がありました。
何でも境内には高さ6mにもなる地蔵菩薩大銅像があるらしく、日本三大地蔵の一つだそうです。
興味はありましたが、今日の目的は隧道!
卒塔婆おにぎりに従って、右折です!
再び道は突き当たりに、ここは左折です。
卒塔婆おにぎりが仲良く重なっていて微笑ましいですね。
この交差点には復元された石碑がありました。
「ひだり江戸」と書かれていました。
現代の国道と同じ道案内というのがちょっと感動・・・。
まぁあたり前と言えばそれまでですが・・・。
ここで再び旧道の迷宮が牙をむきます。
地図はこの三叉路、3方向全て国道303号ということになっています。
実際は、
直進:国道303号旧道
右折:国道303号現道バイパス連絡路および国道365号旧道
現在地:国道303号旧道および国道365号旧道
こんなのよっぽどマニアじゃないとわからんよね・・・。
僕が進むべき道は直進。
そう、ここまでもったいつけてみましたが、僕の目指す隧道は国道303号旧道にあるのです!
さぁもう迷路は抜けた!
後はひたすら進むだけ!
進むだけなんだけど・・・
なんか・・・
やばくないかこれ!?
仮にも現役国道だろ!
冬期通行止めなんて書いてなかったぞ!
旧道(というかバイパス区間に対する現道)に対するやる気の無さがはっきりとわかります。
雪中行軍をある程度こなすと一昔前のF1のガードレールみたいな重装備なガードレールがありました。
奥の倉庫の持ち主のお手製と思われます。
過去にトラックでも突っ込んできたのか・・・?
このカーブを曲がるといよいよ・・・
すんごい絵になる立地の隧道!
道の狭さも相まって、新道建設は地元の切なる願いだったのかもしれませんね。
まぁ落ちつけ、自分。
まずは隧道の主であるお地蔵様に御挨拶だ!
建屋は後年建てられたものでしょうが、お地蔵様はなかなかの年代物でした。
ここには街道時代の峠も残ってるようなので、そちらから移設されたのでしょうか?
しかし今も信仰されているお地蔵さまはやっぱいいですね。
アセボ峠のお地蔵様を思い出しました。
両側の崖が道にせり出す、迫力ある景色。
しかし大概の場合、「迫力ある=危険」であるわけで。
その荒れた両斜面を押さえつける翼壁。
隧道の顔ともいえるアーチ。
最小限のしゃれともいえる笠石。
そしてそれらを統合する扁額。
基本に忠実に最小限の装備を備えるこの隧道の名は、
檔鳥坂隧道
さぁこれを一発で読めれば、あなたも立派な難読地名マニア!
地名としても存在するんですが、「読めねえよ」ってことなのかカタカナ表記になってます。
正解は・・・、
あっとりさかずいどう
略字では「档鳥坂隧道」とも書きますが、そもそも「档」この字は日本語では「とう」としか読みません。
中国では書棚とかそういう意味らしいですが、いまいち意味がわからないですね。
詳しい方、教えてください!
扁額には「道通天地」と書かれています。
これは北宋の程 明道という詩人の作品「秋日偶成」の中の一文、「道通天地有形外」からとられたものでしょう。
「全ての道は有象無象の区別なく天地の間に通じている」
という意味です。
これは比較的、全国的に隧道の扁額に用いられている言葉ですね。
隧道内はさすがに補修されていました。
さすがに一応国道です。
しかしコンクリートじゃなくて、シャッターみたいな鉄板に覆われてました。
妙な施工だな・・・。
東口もほぼ同じポータルでした。
ただしこちらの扁額は隧道名でした。
両側で扁額が違うというのはままあることです。
イガードレールも無い崖の下には、国道303号の金居原バイパスが近づいてきました。
ということはもうすぐこの探索も終了。
そしてバイパスと旧道が合流するのがこの地点。
左が岐阜方面、右が木之本方面です。
しかし道のレベルの違いが凄いな・・・。
最後に、こちが旧道をあんな状況に追いやった新檔鳥坂トンネルです。
トンネル名も漢字なのがせめてもの救いですね。
しかし個人的にはやっぱり、旧道の檔鳥坂隧道の方が大好きです。
以上、檔鳥坂隧道編