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この道往けば act2

檔鳥坂隧道

2019.10.09 06:35

さて今回が短期集中となった滋賀県北部の隧道探索、最後となります。

村田鶴とのかかわりが噂される、当ブログとしては外せない隧道の一つです。

そして今回の道は初の国道!


しかしその場所は歴史に彩られ、現在では3本の国道と2本の旧道が絡み合う迷宮の奥。

さながら巨大迷路のような罠が仕掛けられています。


その奥にあった隧道、見てもらいましょう!

レポスタート!

ここは滋賀県長浜市木之本町。北陸自動車道木之本ICです。

今いる道は国道365号、正面の道は国道8号303号の重複区間。

そして国道365号はここを左折するので、先の区間は国道8号、303号、365号の3本が重複する区間ということになります。

そしてここには全国的に珍しいものがあるのです!

串刺しおにぎり3兄弟!

全国を見れば意外と3路線の重複区間はありますが、どれも距離が短くわざわざ3路線全てのおにぎりを設置している場所は少ないのです。

ここの他には栃木県日光市での国道118号、349号、400号の串刺しおにぎりが有名でしょうか。

まぁ何を持って有名かって話でもありますが(笑。

この道も他の3路線重複のご多分に漏れず、重複区間は短いもんです。

このカーブを曲がった先に接続するバイパスで国道303号、365号は重複を離れます。

しかしここでこの3路線に絡む道が出現します。

それがこの直進の道。


実はこの道は国道303号、365号の重複区間の旧道。

僕が目指す隧道は当然こっち!

直進です!!

ここから先は栃ノ木峠編でも述べたとおり、重複する国道365号が踏襲する北国街道の雰囲気を色濃く残すエリアです。

この辺りは歴史的にも重要な場所で賤ヶ嶽や小谷山も近く、合戦も多かった土地柄です。

歴史探訪に訪れても十分楽しめますよ。

突き当たった所には木之本地蔵院というお寺がありました。

何でも境内には高さ6mにもなる地蔵菩薩大銅像があるらしく、日本三大地蔵の一つだそうです。

興味はありましたが、今日の目的は隧道!

卒塔婆おにぎりに従って、右折です!

再び道は突き当たりに、ここは左折です。

卒塔婆おにぎりが仲良く重なっていて微笑ましいですね。


この交差点には復元された石碑がありました。

「ひだり江戸」と書かれていました。

現代の国道と同じ道案内というのがちょっと感動・・・。

まぁあたり前と言えばそれまでですが・・・。

ここで再び旧道の迷宮が牙をむきます。

地図はこの三叉路、3方向全て国道303号ということになっています。


実際は、

直進:国道303号旧道
右折:国道303号現道バイパス連絡路および国道365号旧道
現在地:国道303号旧道および国道365号旧道

こんなのよっぽどマニアじゃないとわからんよね・・・。

僕が進むべき道は直進。

そう、ここまでもったいつけてみましたが、僕の目指す隧道は国道303号旧道にあるのです!

さぁもう迷路は抜けた!

後はひたすら進むだけ!

進むだけなんだけど・・・

なんか・・・

やばくないかこれ!?

仮にも現役国道だろ!

冬期通行止めなんて書いてなかったぞ!

旧道(というかバイパス区間に対する現道)に対するやる気の無さがはっきりとわかります。

雪中行軍をある程度こなすと一昔前のF1のガードレールみたいな重装備なガードレールがありました。

奥の倉庫の持ち主のお手製と思われます。

過去にトラックでも突っ込んできたのか・・・?

このカーブを曲がるといよいよ・・・

すんごい絵になる立地の隧道!

道の狭さも相まって、新道建設は地元の切なる願いだったのかもしれませんね。

まぁ落ちつけ、自分。

まずは隧道の主であるお地蔵様に御挨拶だ!

建屋は後年建てられたものでしょうが、お地蔵様はなかなかの年代物でした。

ここには街道時代の峠も残ってるようなので、そちらから移設されたのでしょうか?

しかし今も信仰されているお地蔵さまはやっぱいいですね。

アセボ峠のお地蔵様を思い出しました。

両側の崖が道にせり出す、迫力ある景色。

しかし大概の場合、「迫力ある=危険」であるわけで。


その荒れた両斜面を押さえつける翼壁。

隧道の顔ともいえるアーチ。

最小限のしゃれともいえる笠石。

そしてそれらを統合する扁額。


基本に忠実に最小限の装備を備えるこの隧道の名は、

檔鳥坂隧道


さぁこれを一発で読めれば、あなたも立派な難読地名マニア!

地名としても存在するんですが、「読めねえよ」ってことなのかカタカナ表記になってます。

正解は・・・、

あっとりさかずいどう


略字では「档鳥坂隧道」とも書きますが、そもそも「档」この字は日本語では「とう」としか読みません。

中国では書棚とかそういう意味らしいですが、いまいち意味がわからないですね。

詳しい方、教えてください!

扁額には「道通天地」と書かれています。

これは北宋の程 明道という詩人の作品「秋日偶成」の中の一文、「道通天地有形外」からとられたものでしょう。

「全ての道は有象無象の区別なく天地の間に通じている」

という意味です。

これは比較的、全国的に隧道の扁額に用いられている言葉ですね。

隧道内はさすがに補修されていました。

さすがに一応国道です。

しかしコンクリートじゃなくて、シャッターみたいな鉄板に覆われてました。

妙な施工だな・・・。

東口もほぼ同じポータルでした。

ただしこちらの扁額は隧道名でした。

両側で扁額が違うというのはままあることです。

イガードレールも無い崖の下には、国道303号の金居原バイパスが近づいてきました。

ということはもうすぐこの探索も終了。

そしてバイパスと旧道が合流するのがこの地点。

左が岐阜方面、右が木之本方面です。

しかし道のレベルの違いが凄いな・・・。

最後に、こちが旧道をあんな状況に追いやった新檔鳥坂トンネルです。

トンネル名も漢字なのがせめてもの救いですね。

しかし個人的にはやっぱり、旧道の檔鳥坂隧道の方が大好きです。


以上、檔鳥坂隧道編