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【ESSAY #3】「コミュニケーション」の本質とは?

2019.10.02 19:00

(※以下、出産前の2016年6月ドイツにいた頃に書いたものです。)


 7月2日は、コロンビア人のKの結婚式。

こちらでできた初めての友達で、親友と呼べる子だ。

 

彼女の結婚式前に、非ドイツ出身の女友達4人で、「バチェロレッテ・パーティー(同性だけで祝う独身最後のパーティー)」を、企画することになった。

 

 幹事は、コロンビア出身のD。

メンバー4人で、早速チャットで準備の相談が始まった。

彼女のリードで日時・場所・サプライズ等を

決めていきたいのだが、これが、上手く進まない。

 

個々の伝達情報に、決定的な間違いはないのだが、何だかしっくりこない。

”気持ちのいいコミュニケーション”という

感じがしないのだ。

 

  なんだろう。この感じ。

最初は、英語ノンネイティブ同士の言語の問題だと思った。

私を含め、全員が全員と直接面識が無いという状況もあった。

 

でも、それだけじゃない。

 

その話はもう終わったのに…。

そんなことを、なぜ聞いてくるの?

元々自分からやるって言い出した役割なのに、何故まだやってないの?

 

日本の友達同志のコミュニケーションには無い、なぜ?というイライラ感がつもるばかり。

 

何だろう、この感じ!?

きっと、誰もがそう思っていたに違いない。

チャットのやり取りを、最初からもう一度見直してみた。

返信のタイミングや、質問意図を理解すること、発言の背景を汲んで、前に進めようとすること。

それらが、見事に少しずつずれている。

とはいえ、皆「新婦の彼女を喜ばせたい」という気持ちは同じ。

 

ビジネスならある程度、割り切れただろう。

でも、プライベート仲良しグループとなると、急に、自分の思いは暗黙で理解してくれて当然!

という気がしてくるから、恐ろしい。

 

そうだ、自分も含め、

「相手を受けとめる気持ち」が少しずつ欠けていたんだ。

 

皆、其々、国や育ってきたバックグラウンドは違う。

時間の感覚や物事の優先順位は、異なって当然のこと。

 

 例えば、ラテンアメリカ人と日本人。

勿論、個人のパーソナリティーにも拠るが、

プライベートの時間感覚や、発言への責任感の差は、驚くほど大きい。

 

今まで、直接の言動でうすうす気づいてはきたが、文字メッセージのやりとりを目のあたりにすると、価値観の違い、何よりそれに対して拒否反応を示す自分が、如実に現れた。

 

 恥ずかしながら、日本人である自分は、

誰よりも全体の調和を考え、

誰より思いやりをもって発言していたつもりだった。

 

(日本の)常識的には○×だけど、

ラテン系の彼らは、(全然違って)

××と考える節があるから、

それを配慮して▲▲と言っておこう、など。

 

 でも、気がついた。

それじゃだめなのだ。

最初から相手を自分の常識で図り、

その違いを、一旦突き放してしまっている。

 

心底で「本当は違うのにな。」

と思いつつ、納得できない、ジクジクした中で相手を思いやった”ふり”をしているだけなのだ。

”なんちゃっての思いやり”だから、

こんなにどんどん違和感が出てくるのだ。

 

 

まずは、自分の物差し(常識)を捨てること。

そして一旦、丸ごと相手を受け入れる。

日本の常識、自分の理想を一旦捨てて、

”なるほど!

ラテンアメリカンカルチャーってこうなのか。

新しいぞ。面白いぞ。”と取り込んでみる。

 

 それから、改めて「相手を思いやること」が重要なのだ。

その前の【自分をゼロにして、一旦全部受け入れる】、

このワンプロセスが必要だったんだな。

 

何だか、とてもしっくりくる自分がいた。

 

 特に、”おもてなし”文化で育った日本人は、

後者の「思いやること」は得意だが、

”自分をゼロにして受け入れる”という前者のプロセスは、案外、苦手なのかも知れない。

 

 また、年齢や経験を重ねるほど、

”自分をゼロにする”ということがより難しくなっている、と感じる。

かなり強く意識しないと、できないことも多い。


 自分の理想やこれまでのルールがゼロになる瞬間、戸惑い、脅威にさえ思う、そんな怖がりな自分がいたのだな。

 

自分が思い込んできたものを、必要な時には、喜んでゼロにできる。

そんな、身も心もしなやかな人になりたいな、と思う。

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