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Donuts Films

Beyond Borders

2019.10.11 06:01

初めての監督作『カノンの町のマーチ』が横川シネマで上映された。

Beyond Borders!『カノンの町のマーチ』Collabo Live

映画の上映と、出演アーティストの

ドッグフード買い太郎(エンディングテーマ)、

ミカカとアカノタニン、

N-グランカッサ吹奏楽団、

のライブ演奏、という内容のイベントだ。

備忘録としてこの日のことを記しておきたい。


なんて奇跡みたいな夜だったんだろう。
他に言いようがなかった。

映画なんて、たくさんの人が関わっているし、途中で完成できなくなる、なんて悲劇もたくさんあるし、じゃぁ無事完成させた、というところでそう簡単には映画館で上映なんてさせてもらえないのが現実だ。

私は女優としてもそんな有名な人間ではないし、バックに組織がついてるわけでもない、そして「初監督しました」って言ったって、監督や映画の演出”いろは”を学んだわけでもないんだ。
東京にいたときに、いろいろな監督の現場にキャストとして関わらせてもらったというだけ。

それなのに、映画を撮ることができて、もちろん経験の浅さ故至らないところだらけの映画ではあるんだけど、なんとか無事完成までこぎつけて、そして、たった一夜限りとは言え、横川シネマで上映させてもらえたんだから。

もうそれだけで奇跡なんだ。

その奇跡を、打ち上げ花火の自殺みたいに終わらせるのだけは嫌だった。
(故郷では打ち上げ数世界一を誇る花火大会が夏に催されるのだけど、曇り空の無風の煙の中に花火を打ち上げると、空まで上がって花火が見えないという現象が起こり、これを我が実家では「花火の自殺」と呼んでいる)

せっかくの機会、自負している映画の魅力がしっかり伝わるような、そして、映画に関わってくれたミュージシャンたちの魅力ももっと広く届くような、そんなイベントにしたいと思った。

準備はもちろん大変だった。
出演ミュージシャンの彼らには誰一人損な役回りをしてもらいたくなかったし、魅力が活きてくるものがよかった。そうすると、映画を観てもらって、一人で歌う買い太郎→バンドのミカカとアカノタニン→30名越えのN-グランカッサ吹奏楽団というように、ボリュームがどんどん増していくのがいいに決まっている。

ただ、時間の効率性で行くと、機材や楽器の移動から考えて逆を行く方が、事前に準備もできる故、圧倒的に楽だし確実だった。

ただ、そこは私のわがままを言わせてもらって、前者の順番がいい、し、ミカカとアカノタニンにも、ソロじゃなくてバンドで出てほしい、というのをお願いした。

じゃあ、実現するにはどうするのか、ということで、2時間というリハーサル枠の中、5分刻みのリハスケジュールと転換練習、からの、イベント本番の転換も5分刻みのスケジュールとなった。

つまり16:30のリハスタートから22:00のイベント終了まで、一切気を抜けないスケジュール。鬼である。アホである。何かあったら終わるじゃねえか、である。
可哀そうに、ミカカさんなんか、この日はダブルブッキングで午前中は別で組んでいる3人ヴォーカルのユニット”深夜兄弟"で西条の酒まつりにてライブだったのだ。日本酒が大好きなミカカさん、そっちだって楽しみたかったろうに、多分数日くらい前からいろんな意味でものすごいプレッシャーだったろう。

その緊張感を、総勢約40名の出演者たちが見事にバトンを繋ぎあってくれて、まさかのオンタイムにて終了。そんな裏事情だって奇跡みたいなことだったのだ。

しかしもちろん、段取りがうまくいったということだけでこの夜を奇跡だ奇跡だと言ってるわけではない。

ライブも本当にすばらしかったんだ。

出演者の3組は、私が好きでお願いしているわけだから、私はもちろん何度もライブを見たことはあるし、普段からそれぞれに全然違う個性でもって素敵だと思っている。
わかっていることだったけど、改めて「うわ、、、かっこいいわ、、、」って、グッと胸に届くような、みんなの力量に呆然とするような感覚に襲われた。
主催イベント故の思い入れもあったろうけど、親友はドッグフード買い太郎のCDを買って帰ったそうだし、その嫁さんもミカカとアカノタニンで半泣きだったそうなので、単に自分のフィルターだけでもないんだと思う。

N-グランカッサ吹奏楽団は、もう圧巻だった。スクリーン前にズラリと並ぶ楽団の姿はまるで映画のワンシーンのようで、そこに感動的な演奏が加わるのである。私が見るNグラさんは、一般的に聞き慣れた選曲が多いのだが、そんな慣れ親しんだ曲を改めてかっこいいと思わせてくれた。

そんなわけでもう、最後、この日の出演者によるコラボライブは素晴らしい多幸感に包まれたよね。映画『カノンの町のマーチ』メインテーマであるガール椿『4のカノン』をドッグフード買い太郎くんが歌う、ミカカさんがギターをやる、J魂兄弟もクラリネットで参加する、N-グランカッサ コラボオーケストラ!
もう二度とないだろう組み合わせでのコラボ演奏、素敵で楽しくて仕方なかったよ。

本当に、何度も言うけど、
今回の企画に賛同して動いてくれた、
ドッグフード買い太郎、ミカカとアカノタニン、N-グランカッサ吹奏楽団、横川シネマ、
本当にありがとう。

この日、横川シネマに来場してくれたお客様、応援してくれたみなさま、映画に関わってくれた、そんな全てのみなさまに感謝します。



以下、このイベントについての記事やトレーラーの記録。

産経ニュース:

中国新聞:


RCCラジオ「おひるーな」:

広島ホームぽるぽるTV「ぶちアゲ↑7↓ダウン」:

ドッグフード買い太郎は、名前こそユニークに過ぎるが独特の優しい歌声と物語のような徒然日記のような曲はいつもすばらしいなと聴き入ってしまう。物語のようでいて、ひとつひとつのフレーズが耳に残る。「パンの焼ける音」ってどんなだったっけな?とか、ライブへ聴きに行った翌朝に思い出したりするのだ。

彼はSUEZENというバンドでも活動していて、映画のエンディングにはバンドバージョンの『パーティはきらい』という歌を使わせてもらった。

劇中ではパッヘルベルのカノンとガール椿の『4のカノン』が主にメインテーマとして流れているのだが、実は冒頭に流れている曲も『パーティはきらい』。冒頭とエンディングで追いかけっこ、つまり「カノン」になればいいな、と。

ミカカとアカノタニンもこれもこれでユニークな名前だと思うけど、こちらはミカカさんという歌い手率いるパンクバンドである。メンバーのみんなもそれぞれに個人でも音楽活動をしているアーティストたちである。映画の制作時は、ドラムのはやーんさんと私はまだ知り合っておらず、映画へのお声かけができなかったことが残念だ。

ミカカさんの歌にはいつも力強さを感じる。ただ、強いだけじゃなくて押し出されるエモーションの芯の部分には優しさが溢れているようにも思える。劇中では、そんなミカカさんの『遠くの友達』という歌を、バンドではベースを務める久保モリソンさんが歌っている。指揮者役の久保モリソンさんに「物語の中では指揮者は音楽を教える人物。新しく物語の町にたどり着いた人が指揮者の歌っているのを聴いて音楽に魅力を感じるようなシーンを撮りたく、弾き語りをしてほしい」とお願いしたところ、自分の曲ではなくミカカさんの『遠くの友達』がぴったりだと思う、と提案してくれた。なんだよぅ、愛。