エヌタスTカード
場所:長崎バス 新地総合サービスセンター
手段:窓口担当者より購入
長崎自動車グループが発行するハウスICカード。長崎スマートカードの後継で、サービス開始は2019年9月16日。交通系ICカード全国相互利用サービスには対応していませんが、Tポイントカードも兼ねている珍しい交通系ICカードです。事業者コードは「KA」となっています。
エヌタスTカードは長崎バスの各事業所で購入できますが、県外から来て購入する場合はココウォークサービスセンターか新地総合サービスセンターの2択だと思います。私はすっかり失念していたのですが、9月末といえば定期券更新の時期ですよ。どちらのサービスセンターも長蛇の列で、土曜日の購入は諦め、日曜の朝から30分ほど列に並ぶ羽目になりました。
名前のN+の由来は「ナガサキに便利なことや楽しいことがプラスされていく」ことを表現したんだそうです。私は「長崎+Tカード」という意味だと思っていました。実際に「エヌタス」という略称で呼ばれていたり、電子マネー機能も「エヌタスマネー」と名付けられていたりと、やはり「エヌタス」という1つの固有名詞として扱われているようです。
券面デザインはちょっと他と雰囲気が違いますね。ポップな絵柄にTマークをあしらったせいで、交通系ICカードというより、Tポイントカードという印象の方が強く受けます。表面下部にはTカード番号が印字されるので、余計にTポイントカードっぽいです。裏面右側の白い部分はおそらく記名用、左側の銀色で四角い領域は定期券情報が印字されるのだと思います。表面にポイントカード番号、裏面に定期券情報という仕様は、同じくポイントカードとのハイブリッドであるKIPS ICOCAと似ています。
長崎スマートカードの老朽化に伴い、後継を巡って参加10社局が分裂したのは周知のところ。長崎自動車グループ3社は、長崎地域創生を謳って独自にエヌタスTカードを新規導入。残りの事業者はnimocaを採用することとなりました。せっかく地域内で足並みが揃っていたのになぜ?と外から見れば疑問に思うところ。
長崎自動車は「nimocaを使えば、長崎で生まれたお金と情報が他県に流れてしまう。地元で循環させ、長崎独自の新たな価値やサービスを創出したい」「カード利用に伴うビッグデータを分析し、新たなビジネス展開につなげる」と言い切っています。長崎スマートカードの取扱高の過半数を占めるほど巨大、かつ多方面に事業を展開する長崎自動車の立場を考えれば、納得できる理由ですね。全国相互利用サービスを片利用させれば、観光客の利便性も確保できますし。裏返せば、長崎自動車ほどの規模を持たない他の事業者にしてみれば、nimocaに相乗りした方がコストメリットが大きいと考えるのも理解できるところです。個人的には「多様は善」だと思うので、エヌタスTカードには頑張ってほしいです。
さて、新規のICカードは残り少なくなってきました。次にありそうなのは、長崎自動車グループ以外の7社局が2019年度末に導入予定のnimoca。他県の事例を見るに、独自デザインのnimocaになるんじゃないかと予想しています。その次は、山口県バス協会6社が2020年度に導入予定(名称未定)。宇都宮ライトレールが2021年度に導入予定のものは 2in1 カードの最初の事例になりそうです。