声を出して 41
「なんだか、ウサギか青虫になった気分。」
「おい!」
「何?」
「まずくなる。」
ハニは無神経すぎる。
レタスの葉を洗っている時、ハニは気が付いていないけど青虫が付いていた。
青虫が付いていれば、それだけレタスが美味いという事だと判ってはいるが、それを食べている時に言う馬鹿が・・・・・・
ここにいて、それがオレと結婚をするのだから、長い人生退屈はしないのかもしれない。
「サラダだけなんて、夜中にお腹が空いて目が覚めるかもしれないから、アイスクリームを食べる?」
「オレがいったい何のために、野菜たっぷりのサラダにしたのか判っているのか?」
「何の為?」
ハニにそれが判れば、そんな話をすることも無い。
ハニだから、スンジョの気持ちや考えが判らないのではなく、スンジョが声に出して言わないから判らない。
「まず、今の時間は判っているな?」
「10時48分・・・・」
「もう夜中と言ってもいい時間だ。オレはいつももう眠っている時間だし、寝ている間は食べた物が消化されにくい。サラダで満腹感がある状態で寝て、明日の朝食の時には胃もたれしないで、その日の活動のためにしっかりと食べた方がいい。」
なるほどと言うくらいにスンジョの言う事が、よく判ったような判らないような。
考えて見れば、ハニが読む雑誌にもよく取り上げられる記事に、健康のために遅い時間にカロリーの高い物を食べない方がいいと書かれていた。
でも、アイスクリームは肉ではないし、口に入れれば溶けてしまうから問題ないと、ハニは自分勝手に納得をして冷凍庫のドアを開けた。
「大丈夫、私は明日の朝ちゃんとご飯を食べられるから。」
「知らないぞ・・・それに・・・・まぁ、言ってもハニにはハニの考えがあるだろうから。」
アイスクリームのカップの蓋を開けて、大きく開けた口に軽快に食べているハニを見ると、これ以上言っても仕方がないと思った。
心配は当たった。
「おばさん、今日はトーストはいらないです。」
「食欲がないの?」
「ええ・・・昨日の夜、遅い時間にサラダを食べて・・・・・」
チラッとスンジョの顔を見て様子を伺うと、美味しそうにトーストを食べながら、はっきりとハニに聞こえるように言った。
「ばぁ~か。」