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無為自然

2019.10.14 01:00

竜胆や人には見えぬ昼の星  高資

 地蔵院(一関市奥玉)

Gentians —

humans can hardly watch the stars

in the daylight  Taka Goto


facebook・相田 公弘さん投稿記事·

わたしと小鳥とすずと

  わたしが両手をひろげても、

お空はちっともとべないが、

とべる小鳥はわたしのように、

地面(じべた)をはやくは走れない。

わたしがからだをゆすっても、

きれいな音はでないけど、

あの鳴るすずはわたしのように

たくさんのうたは知らないよ。

すずと、小鳥と、それからわたし、

みんなちがって、みんないい。

   金子みすず

昼の野に星の降るなり岩煙草  五島高資ー 場所: 大谷観音

鬼怒川や熨斗目蜻蛉に導かる  高資

爽籟のままに晒菜升麻かな  高資ー 場所: 室根山

過ちを改めてはくれんの咲く  高資


http://www.roushiweb.com/category1/entry3.html 【「無為自然」という考え方】  より

この世は無常

ともすれば、悪よりも善、醜よりも美が重んじられるのが世の常。

しかし、老子によれば、

「悪があるから善があり、醜があるから美がある」

つまり、物事は全て相対的であって、

しかも様々な条件によって常に変化しているのだといいます。

だからこそ、世間一般の価値観にとらわれ過ぎることは危険!

余計な情報や一般論に惑わされることなく、言葉でよけいな説明を加えることなく、

ただあるがままに、“自然”でいなさい。

そうすれば、世の中の雑音に振り回されずに心穏やかに生きられるよ。

…これが、老子の思想で有名な「無為自然」の考え方です。

あるがまま生きる、「無為自然」な在り方

「聖人処無為之事、行不言之教」

(道にしたがう賢者は、よけいな振る舞いをせず、

言葉に頼らない教えを行うものだ)

老子によれば、「聖人」=道を知って道に従う賢者を意味しています。

「道」とは、「これが道だ!」と説明できるようなものではなく、

形もなければ音もない、何にも依存せず、何にも左右されないもの。

だからこそずっと変わらない、この世の根源のようなものです。

どんな出来事があっても、

言葉で余計な説明を加えて分かったような解釈をしたり、

物事に干渉し過ぎたり、余計な作為をしたりせず、

ただこの“道”に従い、自然体であること。

…老子は、そんな「無為自然」な生き方ができる人こと“賢者”であり、

そういった生き方が理想的だと考えていたようです。

確かに、会社の中を見回してみても、何かことあるごとに

「俺がやったんだぜ」

「俺のおかげなんだぜ」

…といわんばかりのアピールをする人がいる一方で、

手柄を立ててもそれを鼻にかけるでもなく

常に涼しい顔で次の一手を考えている人っていますよね。

結果的には後者のほうがより大きな仕事を成し遂げますし、

なにより人にも慕われます。

ことさらな作為はしないこと!

「道常無為、而無不為」

(道は常に何事もなさないが、それでいて全てを成し遂げている)

老子の教えの根幹を成す「無為自然」という考え方ですが、

これは決して、「何もせずにボケっとしているのが良い」という意味ではありません(笑)。

「無為」=為すこと無しの「為す」とは、“わざとらしい振る舞い”のことです。

これは、政治家を例に挙げると非常に分かりやすいですよ。

例えば、「私が当選したら、こんなことも、あんなことも実現してみせましょう!」

…なんてマニフェストを掲げる政治家は、道に従う賢者ではありません。

老子の言う「無為自然」の理想を実現できるのは、わざわざ言葉で説明しなくても、

「気付いたら人々の生活が穏やかになっていた」

「自然と穏やかな暮らしに導かれていた」

…と、自然に天下を治められる政治家。

そしてそれを、決して自分の手柄になどしたりしない政治家です。

無為自然、物事がおのずと善い方向に導かれるような政治が理想形なのです。

(「政治家=名誉職」という意識が根強い日本では、まだまだ難しいかもしれませんが)

少子高齢化、原発問題、年金問題、領土問題、TPP…と、

国内外で問題が山積している今だからこそ、

無為自然な政治をスマートに成し遂げてくれるような政治家の登場を期待したいですね。

果たして、そんな“できた”政治家が今の日本にいるのかどうかはともかくとして(苦笑)