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鏝絵(こてえ)取り外し作業

2019.10.14 12:17

築120年の土蔵造りの蔵を取り壊すにあたり、

妻面に付いている鏝絵を取り外すとのことで、

お手伝いに行って来ました。


鏝絵とは左官職人さんが、

お家の繁栄を願って思い思いに漆喰で塗り込めたレリーフのこと。

愛媛県内には恐らく1000ほどの鏝絵があるといわれていて、

多くは農村集落に見られるそう。


図柄は様々で、

龍、鶴亀、のぼり鯉、七福神、ネズミやウサギ、などの縁起物や、

時代の流行や、その家の縁のモノなど。


今回取り外した鏝絵は、

波乗りしたウサギ、『波兎』と呼ばれる図柄でした。



作業は、外から中から並行して行われました。

鏝絵の周囲余白をとった部分に切り込みを入れ、

土壁の竹小舞が見えるまで少しずつ土壁を削り、

竹小舞を切り離し、鏝絵を取り外す、という。


なんか、文章にするとめっちゃ簡単そうに聞こえるんだけど。。。

いやいや、土壁の土埃りにまみれながら、

鏝絵にヒビを入れないように慎重に慎重に、

この神経の使う作業。


そして竹小舞ごと壁から切り離した後が大変。

直径約70㎝、厚み10㎝ほどですが、

土壁がずっしり残った鏝絵は、

男性大人4人で抱えてもやっと。

(↑ ここ、私は見守る係。)


外側で慎重に受け取って、

そぉっっっと養生しながら下し、

さらに足場の上からも下に下す作業は、

皆さんの力をかりてようやくです。




力仕事は出来ない分、

廻りで出来る限りのフォローをさせて頂きました。

そして鏝絵が取り外されたときの感動といったらもう!


取り外された鏝絵は、

家主さんのご希望で今後きれいにして保管される予定です。


私たちが生まれる前に建てられた建物でもまだまだ丈夫、とはいえ、

いろいろな理由があって、残すことが難しいことが多いです。

壊されてしまうことは残念なことではあるのですが、

このような形で保存されることは本当に嬉しい。

そして、ヘリテージマネージャー養成講座がご縁で、

このような保存作業に携わることが出来たこと、

本当に貴重な体験をさせて頂きました。

感謝です。

ありがとうございました。