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ハニー's Room

声を出して 43

2019.10.15 15:17

スンジョ君が待っている。

 待っていてくれるかな?

 何事も無ければ、授業も普通に終わっていたのに、私ったら結婚の準備やら・・・・・ 

ううん、気持ちが別の所に飛んで行っていた。

 スンジョ君から告白されて、どこか舞い上がっていた。 

だって・・・だって・・・・ 


好きだとか、付き合ってくれとかじゃなくて、行き成り結婚したいって言うんだもの。 

結婚しないか?とも聞かれなかったし・・・・ 

それはともかく、結婚宣言をしてあれよあれよという間に結婚式の話が出て、ドレスやら指輪を決める事で・・・・・・・・・ 


医学部棟まで全速力で走り、医学部棟の図書館に行くまでの道のりは不安でいっぱいだった。 

殆どの教室の電気が消えて、点いているのは非常灯。 

残っている人たちは、その部屋の中で何か研究をしている人や、先生と話し込んでいる人ばかり。

 図書館と言えば、隔離されているようなそんな場所だから・・・・・・ 


勢いよくドアを開けると、図書館の中に人がいる気配はなかった。 

点いている電気は、必要最低限の灯りだけ。 

「スンジョ君・・・・待っていてくれなかった・・・・・」 

ハニは急に涙が出て来て、鞄の中のハンカチを探すが、今日に限って家に忘れて来ていた。 

「どうしよう・・・・こんなに遅い時間になったら、バスも来ないし・・タクシーを呼ぶにも説明をする心の余裕がないし・・・・・・ぅ・・・っ・・・ぅわぁ~~~~ん!!!!!」 

堪えきれずに子供のように大きな声でハニは泣き出した。 


「うるさいなぁ・・・・・・鼓膜が破れる。」

 その声の方を振り返ると、図書館の入り口の壁にもたれて、図書館の札が付いた鍵を持ってスンジョが立っていた。

 「スンジョ君!!」 

「目の前を通り過ぎたと思ったら、大きな声でガキみたいに泣くし。」 

内心スンジョはホッとしていた。

 約束を忘れて帰宅してしまったのではないかと思っていたのだった。 


「待っていてくれたの?」 

「二冊分頭の中に入れておきたかったから・・・・・600ページ以上目を通したよ。」 

「ごめんね・・・・ごめんね・・・・課題をやり忘れていて・・・・」

 「んな事だと思ったよ。ここの所、忙しかったからな。オレならどうってことなくても、お前にとったら膨大な数だったのだろ?ハニの担当講師と休憩でコーヒーを飲みにラウンジに行ったら会ってさ・・・」

 しゃくり上げて泣くハニが、心が震えるくらいに愛おしく感じた。

 人を愛するというのはこんな気持ちになる事なんだ。 

ただただ謝って泣くハニを、スンジョは何も言わずに抱き寄せた。