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やっぱり物件は内見しないとわからない

2019.10.16 06:20

 一年ぶりに物件紹介をした。お客様にカウンターに座ってもらい、レインズなどを操作して物件紹介をする。なにせ数年前まで、年から年中これをやっていたので、抵抗感のようなものは全くない。しかし、この数年間でいろいろ仲介業務的なものが変わっていっているな、と感じることも多々あった。勿論、それと同時に変わっていないことも沢山ある。


 ひとつは、物件を確認する際に、自動応答機能を使う管理会社がとても増えた印象を受けた。これはこれで管理義務の大幅な軽減になる。電話応対は、現場の手を止め、思考自体を一旦中断してしまう。そういった意味で空室確認の自動応対は管理会社にとっても、とても便利なものだ。

 しかし実際、接客中の仲介会社にとっては、以外と微妙なものだ。通常はカウンター越しにお客様とお話しながら管理会社に電話をし、空室確認を行う。


 通常は、

「○○不動産ですが、物件確認をしたいのですが、Aという物件はご紹介可能でしょうか?」

「はい、ご紹介可能です」

「内見はできますでしょうか?」

「現地対応です」


 長く見積もっても約30秒で終わる。しかし自動応対機能だと、少なくとも3倍は時間がかかってしまう。


 機械「こちらは○○不動産です。空室確認の場合は1のボタンを。契約中のかたは、2のボタンを、云々」

 ボタンを押した後、

 機械「マンション名を受話器に向かってお伝えください」

 滑舌が悪い営業マンであればこの段階で挫折するだろう。

 機械「○○マンションで宜しいでしょうか?よければ1ボタンを、違う場合は2を云々」

 機械「現在、○○マンションは即入居で募集中です。内見希望のかたは云々」


 不便というよりも、お客様との空気感がなんとも言えない「ビミョー」な雰囲気になる。勿論システムは素晴らしいし、便利だと思うが、接客中のこの不思議な「空気感」はなんとも言えない。仮に電話をスピーカーにしたとしても、電話機に仲介の営業の人間とお客様が2人して耳を澄ませるという、シュールな光景になってしまうだろう。


 また物件撮影の写真技術が「向上しすぎて」どれもハイグレードな物件に見えてしまうことも感じてしまう。

 少し前までは、室内写真が良い意味でも悪い意味でもリアルだった。広角レンズもなく、そのまま写真を撮影すると、リアルな広さがある意味「わかって」しまうし、明るさの調節がない場合は、リアルな部屋の明るさが「わかって」しまう。現在は、なるべく広角レンズで部屋を「広く」見せようとするし、明るさ調整をして、部屋を「明るく」見せようと撮影する。これもお客様に注意を惹くうえではとても良い対策かもしれないが、写真があまりに上手すぎて、実際、内見してみると、思いのほか狭かったり、暗かったりするケースも多いのではないだろうか。


 当然、先日も内見してみたら、同様のケースが発生した。あれ、思ったより暗い、あれ、思ったより狭い、あれ、思ったより汚い、という素直な感想を頂いた。

 

 不動産業務の改善は、ここ数年で一気に進んでいる。しかしながら、実際の物件の印象というのはなかなか変えられない。データや広告では補完できないものがあるということを忘れてはいけない。

 ちなみにその写真上、「綺麗な」物件のエントランスはチラシなどが散乱し、ゴミだらけだった。まずはこのあたりから見直してみたほうが、良いのかもしれない。