美しさのまとい方 腹部膨満感
【疾患の概念】
胃に一杯何か詰まった感じがして不快なもの、あるいは少量の食物摂取で満腹感や胃のつかえを感じる場合がある。
原因として考えられる主なものは、
①胃疾患、すなわち幽門狭搾を筆頭に、胃十二指腸潰瘍や慢性胃炎など
②慢性便秘
③精神的要因
④慢性の肝、膵疾患や胆石、胆のう炎など
⑤その他、尿毒症、電解質異常、内分泌疾患(機能低下も伴う)等
女性は、特に思春期から更年期にかけて、ストレスを感じると心窩部のつまりを感じる人が多い。心窩部は、東洋医学では「心下」と書き、気(エネルギー)の重要な通り道と考えらえており、この部分のつまりは非常に重要視されている。
思春期は、胸脇苦満も伴うことが多く、更年期に近づくに従って、腹満を訴える場合が多くなる。また腹部膨満感を訴える女性が体重減少をきたした場合、摂食障害からの評価が必要となる。一方、老年期になってくると、冷えや胃の機能低下のためであることが多い。
【治療】
<胃液過剰>
胃酸の分泌量が多い、あるいは体質的に胃の中に胃液が過剰にたまりやすい(胃下垂など)、あるいは水分の過剰摂取などの時も胃のつかえを自覚する人。
胃に余分な水分があると悪心嘔吐、腹鳴、下痢等を伴うことが多く、胃内振水音を聞くこともある。
♦二陳湯(にちんとう)
めまい、悪心、嘔吐、心窩部のつかえ、胃内停水音、腹部軟弱
♦五苓散(ごれいさん)
頭痛、めまい、水を飲むと嘔吐、口渇が強い、むくみ、尿量減少、尿毒症、軽度の胃部不快感、胃内停水音をみとめることがある、下痢
♦小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)
めまい、激しい悪心・嘔吐、動悸、著明な胃内停水音、急性胃腸炎、尿量減少
♦木坊已湯(もくぼういとう)
顔面蒼黒色、喘息、咳を伴う呼吸困難、口渇、心窩部に緊張圧重感、腹部膨満、むくみ、排尿困難
<胃腸虚弱>
体質的に胃腸が弱く、すぐ満腹して胃がつかえる人。体力低下、疲労、消耗性疾患で胃腸も弱っている人。あるいは冷え性で消化する力が弱く、飲食ですぐ胸がいっぱいになったり胃がつかえると訴える人などである。お腹が冷えると心窩部痛や腹痛を起こす人もいる。
♦四君子湯(しくんしとう)
顔色が青白い、食欲不振、嘔吐、心窩部の圧痛、胃のつかえ、慢性胃炎、胃のもたれ、胃内停水音、下痢、全身倦怠感
♦安中散(あんちゅうさん)
心窩部の圧痛、胃内停水音、胃痛または腹痛、食欲不振、神経性胃炎、、慢性胃炎、甘いものを好む、やせ型、冷え性、胃腸虚弱の思春期から更年期
♦人参湯(にんじんとう)
口内に唾がたまる、動悸、心窩部の抵抗痛、膨満感、腹部軟弱、急性・慢性胃腸カタル、胃内停水音、冷え性、体質虚弱により体力低下した老年期
♦呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
習慣性偏頭痛、習慣性頭痛、悪心、嘔吐、著明な心窩部のつかえ、腹部の冷え、手足が冷えやすい
<感情的因子>
精神的興奮や逆上、ストレス、心労、気苦労のある人、あるいは肝胆の病、薬の飲みすぎや副作用の人は、胃の働きが悪いため、胃の正常な機能が阻害されて起こるものである。
心窩部のつかえや時に胸脇苦満があることが多い。
♦半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
咽喉、食道部の異物感、げっぷ、咳、しわがれ声、つわり、心窩部のつかえ、腹部は軟らかいが張った感じがする、神経性胃炎、不安神経症
♦半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
悪心、嘔吐、げっぷ、口内炎、胸やけ、心窩部のつかえ、胃下垂、食欲不振、腹鳴(ゴロゴロ)、急性・慢性胃炎、神経性胃炎、下痢、神経症
♦黄連湯(おうれんとう)
口臭、悪心、嘔吐、口内炎、胸中微熱、心窩部のつかえ、胃部の停滞感や重圧感、食欲不振、急性・慢性胃炎、胃十二指腸潰瘍、腹痛、下痢あるいは便秘
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