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マヤ

臣隆妄想劇場⑨(修正版)

2019.10.18 15:25


『葛藤②』


臣はずっと葛藤していた。


自分のマンションで簡単に渡欧の準備を済ませ、リビングに座りコーヒーを飲んでいる。



こんなとこ、隆二が見たらなんて言うかな…


「しばらく会えないのに、コーヒー飲んでる時間があったら、早く帰ってこい!」


言いそう…


いま腰掛けているソファーに手を置き、ふと記憶を辿(たど)ってみる。


ここから始まったんだよな…俺たち。



(回想)



「酔ってんのか?いい加減にしねぇと、ぶっ飛ばすよ!」



クス…


臣が笑った。


だが、すぐに笑顔は消えた。


隆二…ごめん。


まだ答えが見つからないんだ。


もう数時間しかないのに…




同居するマンションに臣が帰った頃には、夜の10時を過ぎていた。


これ100%怒ってるでしょ?


「…ただいま」


「お帰りーっ!晩飯は?」


ソファーの方から、明るい声が飛んできた。


「…外で済ませてきた」


「あっそう…。臣、シャワーするでしょ?着替えとバスタオルそこに置いてあっから」


「うん…」


いつもと変わらない。


スニーカーを脱いでると、隆二が玄関までやってきた。


「あれ?荷物は?」


「ん…もう宅急便に出してきた」


「相変わらず、やる事早いね!臣は」



シャワーを済ませて、

冷蔵庫の前でアイスを口に入れ立っていると、


「臣、早よおいで」


いつものように隆二が、

ドライヤー片手にソファーでスタンバイしている。


あと数時間…


せめていつも通りでいなきゃ…


臣は隆二に向かって微笑んだ。




今夜は極力明るく振る舞おうとしていた隆二だったが、臣の髪を触っていると、胸に込み上げてくるものがあった。



この生活とも、しばらくお別れか…


「ハァー…」


隆二がため息をついた。


「ん?どした?」


半分だけ振り向いて、臣が横顔を見せた。


食べ終わったアイスの棒を口に咥えている。


臣の横顔を見たまま隆二は無言でいる。


「あっ、お前さぁ!この間キスした時、めっちゃ甘かったやん。このアイス食ってたんでしょ?」


そんな…どーでもいいことを。


「…違げぇよ。丸っこい方だよ」


「やっぱりアイス食ってたんじゃん!」


「びっくりしたよー!お前、口からあんな甘い香りを出すようになったのかって」


「なんだそれ?」


「俺の為にローズヒップとか食うようになったのかなって、色々想像してた」


今日の臣、よく喋るな。


「……」


「…どうした?さっきまで元気だったのに」



「臣……しよっか?」




長い沈黙があった。



後ろから臣の表情は見えない。



「…俺も死ぬほど考えたけど、もし俺達そうなって、すぐに離れて暮らすのって…お前平気なの?」



「…想像できない」



「俺にもわかんないよ…」



「わかんないなら…さ」



「トライするしかないんじゃねーの?」





『TRY①』



TVを消し、ソファーでキスし始める二人。



「…臣」



「臣って…」



「ん…?」



「ここじゃ…狭いよ」



久しぶりだと、深くのめり込んでしまう。



隆二がようやく告げた甘ったるい声で、臣は我に返った。




ベットに移動し、ここ数日真剣に悩んでいた素朴な疑問を隆二にぶつけてみる。



「こっからどうすんの?」



「どゆこと?」



「…つまり…どっちが女役すんの?

…って、俺に言わせんなよ」



「知らねーよ…ってか、臣、あの晩どうするつもりでいたの?」



「そりゃ…流れで…その」



「おまっ…⁉︎だいたいよくわかってないんじゃねーの?」



「知っててたまるか!おれ、元々ゲイじゃないって前から言ってんじゃん」



「……」



「お互いに、して欲しいこと言う…とか?」



「うわー…なんかそれってワチャワチャするわ。ムードもへったくれもねーし」



「しょうがねぇだろ」



「…おれ、臣って完璧両刀使いなんだって思ってた」



「んなわけねーじゃん」



「男相手なんて、初めてだし…」



チラッと時計を見る。



しまった…!



呑気に会話してる場合じゃない。



臣はおもむろにTシャツを脱いだ。



「脱がして欲しい?」



「じ…自分で脱ぐ」



Tシャツを脱いでベットに目をやると、

仰向けに臣が寝ていて、「おいで」と言って手を広げている。




ダメだ…キュンとする。



でも…



「なんか…嫌ぁ」



「隆二…恥ずかしがってる時間なんかねぇぞ」



「……」



緊張した様子で、隆二が臣の腕の中に入ってくる。



また長めのキスを始める二人。



「ん…臣…」



「ん…いい感じ…」



そのまま臣は手を伸ばし、隆二のトランクスに手をかけた。



いきなり「ぷーっ!」と隆二が吹き出した。



「お前…!?せっかくのムードぶち壊す気か?」



「いや…マジ無理…俺の見て今更何が楽しい?」



「臣、散々サウナとかで見てんじゃん」



「それ言い始めたら、身も蓋もねーだろ」



「俺のだって、お前散々見てるし…」



「へへへ…言えてるぅ」



「こんな状況で笑うな!」



臣は呆れた顔をしている。



「ごめんごめん」



「どうすんの?…しないの?」



「……」



「俺…明日の夜は日本にいないぞ」




口元だけ笑ったまま、固まる隆二だった。