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上がっていく時も。ダメな時も一緒。夫婦は運命共同体ですよね。-Marumittu(ゲーム開発チーム)

2019.10.21 05:07

ニソクノワラジ スピンオフ企画「ニニンサンキャク」をお送りします!

夫婦でチームとして創作や表現活動を行なっている方々を取り上げ、彼らの夫婦のカタチに迫ります。

今回はゲームのプログラマーとデザイナー同士で結婚し、現在は「Marumittu(まるみっつ)」として、夫婦でオリジナルのゲーム開発を行なっている三橋 彰さんと椎野 央子さんにお話をお伺いしました!


<Profile>

Marumittu(まるみっつ)

三橋 彰(プログラマー)椎野 央子(デザイナー)

福岡のゲーム会社で出会い、2013年4月に結婚。京都に転居後、2017年からオリジナルゲームの開発を始め、2018年にMarumittu(まるみっつ)として、iOS / Android版「StarONE : Origins」をリリース。その後も、夫婦でゲーム開発を進める。主な作品に、「Tap! Captain Star」「Shot! Shot! SPY」がある。


夫婦二人、両輪駆動で進んでいるイメージ


ー三橋さんと椎野さんはゲーム開発のチームとして夫婦で活動されていますが、そもそも、夫婦でチームを組んでゲームを作っていこう、と思ったきっかけはなんだったんですか?

三橋 実は、半ば強引だったんですよ。僕は京都に来る前は福岡の会社に勤めていたんですけど、その会社を辞める際に、一度妻に独立したいと相談したんですね。その時は却下されて・・・。そこから何年か経って、今度は妻が会社を辞めるタイミングがあったんです。それで、「これはチャンスだ!」と思って、思い切って僕も同じタイミングで会社を辞めたんです(笑)


椎野 私の方は会社を辞めて、他の会社への転職を検討していたんです。だから「独立するのは私の次の会社が決まるまで待っててね」って言ってたんですけど、ある日夫が突然、「辞めてきた!」って帰ってきたんですよ。

私は独立してゲーム制作をやろうと思っていなかったんです。夫婦仲はいいんですけど、一緒にチームを組んで仕事はしたことなかったんで。それで仲悪くなったり、夫婦仲がこじれるのもやだなあ、と思って・・・。経済的な面も保証があるわけじゃないので、独立するのはちょっと待っててね、って言ってたんですけど(笑)

プログラム担当 三橋 彰


ー椎野さんの方は独立に少しためらいがあったんですね。そこから独立に踏み込んでみようかなと思ったのはなぜでしょう?

椎野 夫が辞めて帰ってきた時に、「あぁ、これはよっぽど独立してやってみたいんだな」と感じたんです。それに、ゲーム作りにはデザイナーが必要なので、デザインは私が適任だと思ったんです。

最初は半年って期間を決めました。半年間とりあえずやってみてダメだったら、私は転職活動するし、夫はフリーランスで受注の仕事をやっていこうと。そうしたら半年で一本目ができて、思いのほか、感触がよかったんです。だったら、このまま続けてみようかってなって、現在に続いている感じですね。


ー感触が良かったっていうのはユーザーからの反応が良かったっていうことですか?

椎野 単純に夫婦でチームとして「やっていけそうだね」ってなったんです。


三橋 まあ、もちろん開発中は揉めたりもしてたんですけど(笑)


ー「揉める」というのは具体的にどういう時に?

三橋 僕はプログラマーなので、バランスとかを調整するんですね。その具合を妻に試してもらった時に「つまらない!」って突っぱねされたりして(笑)


椎野 意見の言い合いは多かったですね。でも、仕事上の議論なので、プライベートの空気は悪くなることはなかったです。

さっきも言ったように、最初は二人で作ることで仲悪くなるのは嫌だなあ、不安だったんですけど。


三橋 でも言い合いになってもあとには引きませんね。だいたいディベート合戦にはなるんですけど、自然とロジカルな議論になってます。


椎野 どっちの意見がより、ユーザー目線なの?って議論を重ねていますね。


デザイン担当 椎野 央子


ーそもそもお二人はゲームの趣味が合ったから、結婚しようと?


椎野 それもあると思いますね。話も合いますし、ゲーム作りに対するフィーリングもあった。話題に上がるゲームのことはだいたいわかってくれますし。お互いの職業も、趣味も同時に理解できるのは大きいですね。

夫の職種であるプログラマーの仕事って、どこの会社も忙しいんですけど、その忙しさをわかってあげられる。お互いを思いやれますね。


ーゲーム作りには企画やプランニングが欠かせないと思いますが、そこはどうやって進めているんでしょう?


椎野 お互いのイメージをプレゼンしてます。


三橋 お互い、自分が作りたいものが頭の中にあって、それを「次はこんなのどう?」って出し合っていますね。


椎野 プレゼンするときには感情的にならないように気をつけています。なるべくロジカルに、理論立てて。夫婦という関係でも、今まで会社に勤めていた時と同じようにプレゼンしています。


ーロジカルな議論を心がけて、なるべく感情的にならないようにしているのは、夫婦という関係でゲーム作りをしているからこそなのでしょうか?


三橋 そうですね。感情でモノを言ってしまうと、イラっともするし、喧嘩になりやすい。そこは仕事とプライベートで分別して、仕事はロジカルにを意識していますね。

まあ、最初のうちは感情的になってしまうこともあって、喧嘩し合ううちにできた技かもしれないですね(笑)


椎野 二人でゲーム作りをする上で一番怖いのは、独りよがりになることなんです。だから、つまらないと感じたら、なぜそれがつまらないと感じるのか、なるべく客観的に、ロジカルに、説明するようにしていますね。


三橋 逆になぜつまらないのか説明してもらえた方が、自分でも気づきがあるんです。自分の思考が一段階深くなるような感じですね。だから、妻から「つまらない!」って言われるのが今は嬉しいんです(笑)


椎野 やっぱり気兼ねなく自分の意見を言えるのは夫婦だからこそですね。


三橋 そうそう。夫婦だからこそ、なんでも言い合えるよね。ゲーム作りは本来、なんでも意見を言い合えた方が面白いものができる、って僕は思っているんです。でも会社だと上下関係があったり、人数も多いし、その中で人間関係のゴタゴタを避けようとしちゃうじゃないですか(笑)会社勤めしている時は、そこに息苦しさを感じていたんです。でも、夫婦だと議論になっても、後で絶対仲直りができるっていう安心感がある。


椎野 私の場合は、デザイナーの枠を超えて、プログラムの領域に踏み込んで意見を言えることが嬉しいんですよね。


三橋 お互いの意見がゲーム作りの燃料になっている。夫婦二人、両輪駆動で進んでいるイメージですね。

夫婦で初めて開発した「StarONE : Origins」


ー例えばお笑いだったら、男女で漫才コンビを組むように、ビジネスパートナーとして活動している方も多いですよね。夫婦ではなく、お互いにビジネス上のパートナーだったら、今の活動とはまた違っていたと思いますか?


三橋 それは変わっていたでしょうねえ。僕は夫婦だから良かったな、って思うことは結構ありますね。お金のこととか(笑)


椎野 どろっとした話するなあ(笑)


三橋 例えば友達同士で活動していたら、お金のこととかでどうしても上下関係ができてしまいますよね。それってすごく難しいことだと思うんです。仲悪くなってしまうこともあるだろうし・・・。でも、奥さんがパートナーだと、通帳も一緒だし、お金のことは「まあ、いいか」ってなる。


椎野 そういう人間関係のことだったり、経済面の問題をまるっと省略できるのは夫婦で活動している利点ですね。


三橋 上がっていくのも一緒だし、ダメな時も一緒。夫婦は運命共同体ですよね。


ープライベートでは二人の時間を作るようにしていますか?


椎野 していますね。一緒に外食もするし、お酒も一緒に飲みに行きますね。


ーお互いの共通の趣味はやはりゲーム?


三橋 そうですね。休日も二人でゲームしてるよね。


椎野 今もゲームを作りながら「ゲームした~い!」って言ってますね。


三橋 今はアプリでオンラインゲームを一緒にしているんですけど、オンライン上でも一緒に行動していますね(笑)


椎野 隣に座っているのにチャットで話しているよね(笑)




夫婦で独立する、ってこれからの女性の生き方としても、一つの選択肢になり得ると思うんです。


ー例えばこれから夫婦で何か活動してみようかなと思っている方は、まずはどこからスタートしてみるといいでしょう?


三橋 まずは今の仕事を続けながら、土日に二人で好きなことをやってみるのがいいんじゃないかって思います。


椎野 私たちは突然始めちゃったんですけど(笑)それは割と怖かったんで。まずはお試しでやってみるといいと思います。


三橋 そこから徐々に活動の範囲を広げてみるのがいいんじゃないでしょうか。


ー夫婦別姓の議論が盛んになったり、別居婚だったり、子供がいない家庭があったり、夫婦関係の多様性が注目されるようになりました。お二人はこれからの社会で、夫婦の関係はどのように変化していくと思いますか?


椎野 やっぱり女性って、まだまだ社会的に圧倒的に不利な立場にいると思うんです。年収格差もあるし、会社が出産や育児に対して消極的な印象も強いなと感じます。私が今、転職活動をしていたら、ハードル高かっただろうなあ、って思いますし。だから、夫婦で独立する、ってこれからの女性の生き方としても、一つの選択肢になり得ると思うんです。


三橋 夫婦で活動するいいところは、一人がダメになっても支えられるところなんですよね。夫婦二人、って形がリスクヘッジにもなる。僕らはデザイナーとプログラマーって職種が分かれているし、もしかしたらお互いが同じ職種だったら、ライバルになっていたかもしれない。


椎野 職種が違うからこそ、お互いにスキルを磨かなくては、という前向きな気持ちで仕事ができるんです。


ーお二人はこれから、未来に向けて、どんな夫婦になっていきたいと考えていますか?


椎野 今までもですが、これからもできるだけフェアというか対等な夫婦でいたいなと考えています。

仕事でも家庭の事でも、どちらかに頼ったり任せきりにならない。専門分野や得意分野をお願いすることはあっても、

それを当然とは思わず、できるだけ何事も一緒に頑張るスタンスでやっていきたいですね。

そうした方が、どちらかに何かあった時に、やっぱりカバーもできるし、ずっと仲良く、ゲームを作り続けられると思うので(笑)