S1-Ep8 蝶々
海外ドラマ『COLD CASE』各話のレビューと、このドラマ最大の特徴である挿入歌について紹介していきます。舞台となった時代にアメリカでどんな音楽が流行っていたのか、僕も勉強していきたいと思います。また、同時に当時の日本の様子(世相や文化)も合わせて見てみます。
今回は2001年、比較的新しい事件が題材です。ある夜、アパートの部屋から窓を突き破って転落した母娘。娘・トーヤはそのまま亡くなり、母・ロージーだけが昏睡状態のまま生き永らえて2年が経過。担当の刑事は押し込み強盗の線を追っていましたが、犯人は捕まらず。リリーたちのところに話が来たのは、ロージーが昏睡から目覚めたからでした。
事件の根底にあったのは小児性愛や虐待。自らの欲望を満たすために、強い立場を振りかざす。それは時に親だったり、本来であればその人を守るべき力を持つ者だったり。最近は日本でも、"目黒女児虐待事件"や"野田小4女児虐待事件"といったその手の事件が頻繁に報道されていて、急増しているかのように思えますが、マスコミや世間の目がそこに向いているだけのことだと思います。
密かに胸の中にしまい込んで忘れさられようとしている苦痛や悲劇は、もっともっと町に溢れているんじゃないでしょうか。
今回は、リリーの過去も少し明らかになります。アルコール依存症の母親に辛い目にあわされていたようです。ロージーが子供を乗せて飲酒運転した事実を知り、自分と母親の過去を重ね合わせるリリーでしたが、事件の真実が徐々に明らかになると同時に、彼女の中に変化が。エンディングで自分の子どもの頃の古いビデオを見ているリリー。「もしかしたら、母にも理由があったのかも」そんな思いが彼女の中に芽生えたのではと思えるシーンでしたね。
原題「Fly Away」〔初回放送日:2003年11月30日〕
2001 in MUSIC
オープニングのまどろむようなメロディは、アメリカ人デュオ、 アズール・レイのデビューアルバムのタイトル曲「Sleep」。この年の1月にリリースされていますが、アズール・レイとしてのアルバムはこの1枚で終わっている模様。その後、2006年に映画『プラダを着た悪魔』の劇中歌として、マドンナらの曲とともにフィーチャーされ、更に2018年にデュオの一人、マリア・テイラーが自身で立ち上げたレーベルから、このアルバムを再リリースしています。
I can't sleep(私は眠れない)
I can't speak to you(あなたに話しかけることが出来ない)
I can't sleep(私は眠れない)
Now these years locked on my drawer I'll open to see just to be sure
(引出しに仕舞い込んだ歳月。今、私はそれを確かめるためだけに開ける)
という一説は、昏睡から目覚めて失っていた記憶を取り戻そうとするロージーの姿と被ります。
次の挿入曲はアメリカのバンド、フュエルの「Hemorrhage (In My Hands)」。2000年9月リリースのセカンドアルバム『Something Like Human』からのシングルカット曲。米モダンロックトラックスで12週間トップを保持した、彼らにとって最もヒットした曲だそうです。その他にもメインストリームロックトラックスで2位、ビルボードホット100での最高位は30位など、数々のチャートで上位に食い込んでいます。メンバーを目まぐるしく変えながらも、リードボーカルのブレット・スカリオンは現在も健在で活動を続けているんですね。なかなか地味に人気のあるバンド?
今回は挿入曲少ないですな。エンディングに使われたのは、DJサミー&ヤヌーによる「Heaven (Candelight Mix)」という曲。知らない曲でしたけど、DJサミーは、スペインを中心にヨーロッパで活躍するアーティストで、この曲自体は1985年にブライアン・アダムスが大ヒットさせ、Billboard Hot 100で1位を獲得した楽曲なんですね。
Baby 僕がほしいのは君だけなんだ
君を抱いて横たわってると信じられない気分になるんだ 僕らは天国にいるのさ
僕に必要なのは愛だけなんだ
それを君の心の中に見つけたんだ ハッキリと見えるよ 僕らは天国にいるんだ
という歌詞がまたロージーとトーヤの姿にオーバーラップしますね・・・。哀しいけど。
ちなみに、フューチャリングしているDoというシンガーがルックスも声も気になります! オランダのシンガーで、本名はドミニク・リジプマ・ヴァン・フルスト(長ぇ(゚Д゚;))現在もオランダ国内での活動が中心のようですが、2011年には「Hij Gelooft In Mij(彼は私を信じている)」で、国内チャート1位を獲得、2019年には「Gewoon Speciaal」を8月にリリース。いろんなタイプの曲を歌いこなせる人みたいですね。声の質が非常に僕好み。
2001 in JAPAN(平成13年)
そういえば、ドラマ初の2000年以降の時代なんですね。僕もアラサー! これくらい最近になるといろいろ覚えていそうなもんですが、不思議なことに18歳あたりまでは、学校の学年に照らし合わせて「ああ、あの頃はこんなことがあったなあ」とか多少は言えるんですけど、社会に出ちゃうと、なかなかそれが出来なくないですか? ガイドラインになるものが無くなってきて。
21世紀が始まったこの年、お世話になっているウィキペディアやが誕生してた模様ですが、日本はどうだったのでしょう?
3月にはあのUSJがオープンしておりますな。大阪在住の時に何度か行きましたね。関西人にとってはTDLは物理的に敷居が高い分、USJはありがたかったなあ(笑) そういえばこの年、ディズニーシーがオープンしてるんですよね。僕はそのシーのほうに1回だけ行きました(笑)
4月にはマリナーズでイチローがデビュー戦を飾っております。そのイチローも今年3月に引退。時の流れを感じますねえ・・・。
6月には忘れもしない附属池田小事件がありました。お隣の豊中市に住んでいたこともあり、身近な事件に感じていました。あの事件以降、学校が閉鎖的な場所にならざるを得なくなったような気がします。今、教育現場を知るところに居ると、そういう意味では残念な事件。本当なら学校は地域と密接にオープンに繋がるべき場所なんですよねえ・・・。
ああ、そうか! この年か・・・911、アメリカ同時多発テロ事件。会社のテレビでリアルタイムに送られてくる映像を見ていました。貿易センタービルへ2機目が突入した瞬間は、今でも忘れられません。「これリアルな映像なの?」と思考停止してました。世界が大きく変化した日でしたね・・・。この年は炭疽菌によるテロなども続出し、テロの脅威への対策は進みましたが、それでもまだ世界は不安定なままですね・・・。これは日本の話じゃないですが、影響力はデカいですよね。
日本では小泉政権による聖域なき改革がスタートし、DV防止法が制定された年です。リストラ問題や狂牛病騒ぎが巻き起こる不穏なムードの中、ホンダからフィットが誕生し、その年のカー・オブ・ザ・イヤーをかっさらっていきました。他のメーカーは軒並みモデルチェンジ程度だったので、景気的にはダメダメな時代ですね。
カルチャー的には『千と千尋の神隠し』や『ハリー・ポッターと賢者の石』が大ヒットし、桑田佳祐が『波乗りジョニー』や『白い恋人達』を、夏川りみが『涙そうそう』、『アゲハ蝶』をポルノグラフィティがをヒットさせましたが、時代はまだまだモー娘。や浜崎あゆみ、宇多田ヒカル全盛期。ジュディマリが解散し、コブクロがデビューした年でもありました。
この頃はアニメなんか見てなかったですね・・・菊地先生の『バンパイアハンターD』が公開になっていたとは・・・。ゲームはカプコンの『デビルメイクライ』がリリースされた年みたいですが、僕がやったのはもっと後になって中古になってからだもんなぁ(笑)
というわけで締めは、この年のオリコン1位を獲得した宇多田ヒカルの「Can You Keep A Secret?」で! 当時18歳だった宇多田ヒカルも今や36歳だよ・・・。