星出尚志先生のバンドディレクション
東京音大吹奏楽アカデミー専攻の授業、バンドディレクションでは吹奏楽に関わりの深い方をお呼びしております。
今回の講師は、2週に渡って吹奏楽アカデミー客員教授の星出尚志先生のご登場です。
この名前を見ただけで「知ってる!」という方もたくさんいらっしゃることでしょう。ニューサウンズ・イン・ブラスでは「ディズニー・ファンティリュージョン!」「Mr.インクレディブル」などディズニー作品を多く編曲されている印象がありますし、オリジナル作品「丘の上のレイラ」を演奏された方もいらっしゃるかと思います。
ニューサウンズの編曲を数多く手がけている星出先生は当然ポップス音楽に関して造詣が深く、今回のテーマも吹奏楽とポップス音楽についてのお話しが中心でした。
1週目は星出先生の幼少からのプロフィールと、ニューサウンズに関わるようになってからの話で、ウラ話も聞かせてくださり、やはり吹奏楽と共に育ってきた我々にとってこの話は大変興味深いものでした。
2週目はポップス音楽について、より深いお話しを聞かせてくださいました。特に編曲についてのお話しは大変興味深くて、今回のために星出先生が編曲された童謡の「ちょうちょ」をクラリネットの学生によるソロと星出先生のピアノで(うらやましい!)演奏されました。
非常にシンプルな「ちょうちょ」を、いわば小さなお弁当箱におせち料理を強引に詰め込んだかのような音とリズムの多さ、そしてコードを様々に変化させていく編曲を披露されていました。
最近はニコ動などでPCで音を足して足して足して足して、人間ではできないようなことを詰め込んだ楽曲アレンジが多いので、もしかすると学生のみなさんは今回の星出先生の編曲の凄さにあまりピンと来ていなかったのかもしれませんが、これはとてもすごいことですよ。
吹奏楽の世界では、コンサートで後半にポップスステージを設ける団体が多いですが、前半のクラシカルな作品や吹奏楽オリジナル作品に比べ、ポップス音楽を軽く見てしまう価値観の偏りを残念に思っていらっしゃいました。
確かに、音楽ジャンルの知識、打楽器の使い方やスタイル、リズムの捉え方、そして作曲家ならではのオーケストレーションに対する考え方など多岐にわたる吹奏楽ポップスの問題点について語ってくださいました。
クラシカルな音楽とは違ったポップス音楽への追求、確かに大切なことだと思います。
僕もだいぶ前ですが自分の昔のブログに宝島の演奏について書いたことがあります。
宝島のテンポが速すぎる、というお話しです。よかったらこちらもご覧ください。
星出先生は3年生になると吹奏楽ポップスの授業を担当してくださいます。その時には、もっともっと深く実践的なポップス音楽に出会えることでしょう。楽しみですね。僕も授業、聴講したいです。
星出先生、ありがとうございました!勉強になりました!
ちなみに星出先生は写真が苦手だそうで、これまでも写真撮影になるとどこかへ消えてしまっていたので、今回のトップ写真、貴重です。
荻原明(おぎわらあきら)