椅子に座って歩く
昨日は連動性のことを考察してみました。
乗り手と、その車の特性を見極めて、うまく乗りこなすと機能を発揮しますが、乗りこなせないと、どこかが故障します。乱暴な乗り方したらどんな車でも壊れます。
車なら新しい部品に変えられますが、生物は部品を取り換える訳にはいきません。
ただ生物の細胞は常に入れ替わっています。
乗り手の志しで身体は大きく変化していくのです。
それを変化させなければ、どれだけ治療をしても変わることはありません。
虚しく元の木阿弥です。
できるだけ簡単にその機能をあげる工夫が必要です。それを技術として伝授していくのが私達の使命だと思っています。
一般の勉強会をする意味もそこにあります。
もちろん、乗り手がそれを意識して行わなければ変化することはないでしょう。そこは乗り手に任せなければなりません。決めるのはあくまでも乗り手です。
私達はあくまでも補助でしかありません。
椅子に座って歩く動きを紹介します。
と言ってもこれも以前何度も紹介した動きです。
しかし、体幹の動きから股関節や肩関節の動きが関係あるということから話しを続けてきたので、新しい気持ちで読んでみてください。
まず坐位になってください。
無理をしなくても良いのですが、腰を少し立てるような感じで、座骨の後側でなく前側で座るような感じで座ってください。
できるだけ足先の力を抜いて、踵が床から1mmしか浮かない程度にあげてください。
爪先はついていても構いませんが爪先に力は入れないというのが条件です。
これを左右交互にあげてください。
ここまでは今まで何度も書いている運動ですが、この運動をした時の仙骨や腰、股関節あたりの使っている筋肉を詳しく感じとってみてください。
ゆっくりやらなければ絶対にわかりませんので、ゆっくり足をあげようとだけしてください。床から踵が離れないぐらいでも構いません。離れないぐらいの方が詳細によくわかると思います。
大きくあげてしまうと足に力が必然的に入り違いがわかりにくくなります。あくまでも体幹で動かすイメージです。大きく動かすと、雑な動きと代償運動をしてしまう結果、感覚が鈍ります。これでは絶対に認識はできません。
右をあげた時と左をあげた時の違いをよく感じてください。
よく観察すると左右で違いがあると思います。
基本的には、右足をあげようとすると左の座骨で踏ん張ろうとするはずです。
あげにくいと感じた方の足をあげると、対側の股関節が吊りそうな違和感を覚えたり、身体が横に倒れたりするはずです。
これは代償しています。それを治そうとせず認識だけしてください。ここが非常に重要です。
ただ認識することに努めてください。
それが重要です。
あげにくいと感じた側は、反対側の足で床を踏ん張っているのがわかると思います。足に力が入った状態です。本当は座骨の圧力だけであがるはずですが、これができません。
また、あげた方の足の肋骨が回転しようとするのに気づきます。足であげてしまうと、その感覚が起こりません。特にあげにくい側は全く感じません。
対側の前側の肋骨が、その動きを補助しようとしているのも観察できます。
つまり胸のあたりで捻れを作っているのを観察することができると思います。
もし、このような感覚がない場合は、早くやったり大きくやっているか、身体が柔らかくて動きが良いかのどちらかです。
身体が柔らかいことは、必ず良いとは言えません。支持力も弱っている状態なので、ちょっとしたアンバランスで問題を起こしやすい身体ということになります。
この運動に身体の柔軟性は全く関係ありません。なぜなら認識するだけだからです。
これらの動きが左右同じに近い動きをしているかどうかです。
そうなっていたら体幹の動きが股関節を屈曲するという運動において正しく働いていると言えます。
しかし、かなり意識の高い運動選手でない限り、これが左右均等にできる人はいないと思います。
なにがしかの片寄りがあるはずです。
それを認識してください。絶対に治そうとはしないでください。
硬いからと言ってストレッチなんかしたら駄目です。
腰痛がある場合なら、座骨の前側で座ることすら叶いませんからね。
いかに体幹部の異常を手足が補助しているかを正確に確認することに努めるというだけの運動です。
身体の気づきは、今自分が、どんな車にのっているかを確認することです。
スポーツカーなのか一般の車なのか、普通車か軽自動車か?
特性さえわかれば、それに合わせた乗り方ができます。
特性を生かせば壊れることはありません。
どんな身体であっても結局は乗り手次第ということです。