プーチンが中東を平和にする!
田中宇の国際ニュース解説
【転載開始】
■プーチンが中東を平和にする
【2019年10月23日】トランプ米大統領に
よる米軍のシリア撤退は、米国からロシアへ
の中東覇権の大規模な移譲を引き起こして
いる。
私が驚いているのは、覇権移譲の速度が意外
と速くしかも広範囲であること、英米の
マスコミでこの覇権移譲を指摘するところが
意外と多いことだ。
覇権移譲が意外と速いのは、米議会での
トランプ弾劾の動きと関連しているかもしれ
ない。
全文はここ。
同じような内容の記事がありますので、
ここに載せます。
桜井ジャーナル
■オバマ政権が始めたシリアに対する
侵略戦争は失敗に終わった
バラク・オバマ政権が始めたシリア侵略
は失敗に終わったと言えそうだ。
10月22日にロシアのソチで行われた
ウラジミル・プーチン露大統領とトルコの
レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領
の会談が行われ、トルコとの国境から
30キロメートルの幅でシリア領に緩衝地帯
を設け、クルド軍は150時間以内にそこから
撤退することが決まったのだ。
その撤退をロシア軍とシリア政府軍が監視、
その後はロシア軍とトルコ軍が合同で国境
から10キロメートルの幅の地域をパトロール
するのだという。
ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相によると、
非武装のクルド系住民は撤退する必要はなく、
安全は保証される。
アメリカがリビアに続いてシリアへの
侵略戦争を始めたのは2011年3月のこと。
イスラエル、サウジアラビア、イギリス、
フランス、カタール、そしてトルコが侵略に
参加、その手先として使われたのが
サラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール
主義者)やムスリム同胞団を中心とする
ジハード傭兵。
オバマ政権はムスリム同胞団を侵略の核に
据えていた。
リビアが狙われた理由は、同国の最高権力者
だったムアンマル・アル・カダフィがアフリカ
を経済的に独立させるためにアフリカ独自の
通貨として金貨ディナールを導入しようとした
ため。
アフリカの富を盗めなくなれば、イギリスや
フランスをはじめとする欧米の国は大きな
ダメージを受ける。
シリアは1980年代から親イスラエル派の
ネオコンに狙われていた。
中東全域を支配するため、従属度の足りない
イラン、イラク、シリアが狙われたのだ。
ネオコンの計画は、まずイラクの
サダム・フセイン体制を倒し、親イスラエル派
を据えてシリアとイランを分断、その上でシリア、
そしてイランを破壊、中東全域を支配しようと
いうものだった。
これはエネルギー資源をイスラエルが支配する
ことを意味する。
この計画はフセイン体制をペルシャ湾岸産油国
の防波堤と位置づけるジョージ・H・W・ブッシュ
やジェームズ・ベイカーたちの反発を招き、
ロナルド・レーガン政権で内紛を誘発することに
なった。
イラン・コントラ事件やイラクゲートが浮上した
一因はここにある。
この権力バランスが大きく変化、ネオコンが
圧倒的な力を持つ切っ掛けが2001年9月11日
の出来事だった。
ジョージ・H・W・ブッシュの息子、
ジョージ・W・ブッシュはネオコンに操られて
いた人物で、イラクを先制攻撃してフセイン体制
を破壊するのだが、親イスラエル派政権の樹立
には失敗し、イラクとイランの接近を招く。
オバマ政権は侵略に自国軍ではなくジハード
傭兵を使う。 その中心はムスリム同胞団だった。
そして「アラブの春」が引き起こされ、
リビアと シリアで戦争が始まる。
両国に対する侵略戦争を「内戦」と呼ぶのは
正しくない。
傭兵には雇い主がいる。
最大の雇い主はアメリカ。
サウジアラビアは傭兵の最大の供給元であり
資金源でもあるが、そのほかイギリス、
フランス、カタール、そしてトルコも傭兵を
雇っている。
イスラエルも将兵を戦闘に参加させ、医療部隊
としての役割も果たした。
その構図を揺るがしたのがロシア軍。
2015年9月30日にシリア政府の要請で軍事 介入、
ジハード傭兵を敗走させた。
そこでアメリカが新たな手先にしたのがクルド。
イラクでは1960年代後半からイスラエルが
クルドを手先に利用していた。
ロシア軍の介入はトルコの離反を招き、
アメリカ軍は離反したエルドアン政権を
クーデターで倒そう目論むのだが、失敗に終わる。
ロシアから事前に情報が伝えられていたと
言われているのだが、その結果としてトルコと
ロシアは接近していく。
クルドはネオコンの侵略に協力することで
自分たちの国を持てると妄想したのだろうが、
トルコとアメリカとの対立でその妄想は悪夢
となった。
その悪夢からクルドを救い出したのがロシアだ。
21世紀に入ってからネオコンが行ってきた
戦略はアメリカの利益に反するのだが、
ネオコンの背後には西側の巨大資本が存在
している。
その巨大資本とは別の権力集団に担がれた
ドナルド・トランプは昨年12月にアメリカ軍
をシリアから撤退させる方針を示した。
しかし、トランプ政権のマイク・ペンス
副大統領やマイク・ポンペオ国務長官は
キリスト教系カルトで、国家安全保障補佐官
になったジョン・ボルトンはシオニスト。
国防長官を務めたジェームズ・マティスも
好戦派だ。
マティスは撤退への抗議で辞任、ボルトンは
解任された。
ペンスやポンペオは抵抗してきたが、NATO
加盟国であるトルコの軍事侵攻でトランプ大統領
の方針は実現することになった。
現在、誰がトランプの後ろ盾になっているかは
司法長官にウィリアム・バーが座ったことから
推測できるだろう。
シリアでの敗北を受け、アメリカの好戦派は
今年に入ってイラクに軍事拠点を増設、
ジハード傭兵を集めている。
シリア東部、ユーフラテス川沿いにある油断地帯
の支配を続ける一方、再びシリアとイランを攻撃
するチャンスを待つつもりなのかもしれない。
が、そうした行為がイラクとの関係を悪化
させている。
【転載終了】
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世界でこのように言われています。
「アメリカは世界に混乱をもたらす、
ロシアは世界に安定をもたらす」と。
中東は、アメリカ寄りのイスラエル、
サウジなどの国が孤立する可能性があり
ますね。
それは、アジアでの日本も言える
事かも知れませんね。