もう一人分のパスタ 2019.10.26 04:46 過日、トランプ米大統領がマッタレッラ伊大統領を迎えて、 「合衆国とイタリアは古代ローマ時代から同盟を結んでいる」という超弩級のフェイクをかました。古代ローマのころ、アメリカ合衆国は影も形もない。英→伊の通訳の女性が、「このタコ!バカも休み休みに言え!。どう通訳すりゃいいんだ」という表情。そんなんじゃなく、例えば、こういう話にしてはどうだったんだ。そしてアメリカを代表してサンキューと。和むぞ。 § § § § § § § 【いい話】 7、8年前のtumblrに載っていた話。第二次大戦で北アフリカに派遣されていたイタリア兵であった爺ちゃんから聞いたと孫が語っている。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー アメリカ軍が参戦してきてどんどん北アフリカ戦線の状況が悪くなっていた。 イタリアのある部隊が一戦終わって野営していた時、見張りの兵士が何かを見つけたと報告。 見張りの兵士が双眼鏡で不審人物を発見した。どうやら軍服からはアメリカ兵。どこかで、ハグレてしまったのか一人ぽっち。 イタリアの部隊へ殴り込みにくるのかと思いながら皆で観察していた。 距離が大分離れているので、そのアメリカ兵は見張られている事に気が付いていない。服はボロボロで銃さえも持っていない。 そのイタリアの部隊が移動した時に、テントに要らなくなったものを纏めて捨てて来た。そのテントで兵はなにかを漁っている。テントから出て来たときには、アメリカ兵はイタリア軍の軍服に着替えていた。つまり、イタリア兵に化けたのだ。そして、イタリアの部隊の方へ向ってくる。 爺ちゃんは隊長に、 「まぬけなアメリカ兵がイタリア兵の振りをしてこちらに向ってきます」 と報告。部隊は丁度これから夕食にしようとしていた時であった。部隊長は一言、 「ならば、もう一人分パスタ作らなければいかんな……」 と言ってもう一人分用意させ、なんとなけなしのワインまで準備させた。 何も知らないアメリカ兵はイタリアの部隊の前まで来るとかなり流暢なイタリア語で(多少訛りはあるものの地方出といえば通じるレベル……多分イタリア系アメリカ人だったのだろう。)、 「すまない。部隊からはぐれてしまって……」 みたいな言い訳を言ったが、みんなは彼がアメリカ兵なのを知ってるので、笑いをこらえている。そのなか、部隊長は…… 「そりゃ大変だったな。パスタでも食ってけ」 と食事を勧めた。アメリカ兵はものすごい勢いで食べまくると、ワインも飲みきった頃合いになって、急にそわそわと…… 「西はどっちかなぁ。原隊に戻らなきゃ……」 などと言って居心地が悪そう。 すると部隊長はニヤリと笑って…… 「今年の野球はどこのチームが優勢なんだい?」 と訊いた。 そのアメリカ兵は真っ青になってヘナヘナとへたり込んでしまった。 その部隊は命令によって、次の日にはその陣地を撤退することになっていた。 捕虜を抱えていても面倒なだけなので、水と食料、そしてコンパスまで渡して、そのアメリカ兵を逃がしてやった。 彼は最後まで何度も何度もパスタとワインのお礼を言って夜のとばりへ消えて行ったという。 § § § § § § § 確かにいい話だが、イタリア人はこれだから戦争には勝てない。